SKE48とNMB48の同時発売に見る、AKBグループの最新戦略 次世代台頭をうながす仕掛けとは?
リアルサウンド 4月14日(火)17時0分配信
3月31日に同日発売となったSKE48の17thシングル『コケティッシュ渋滞中』とNMB48の11thシングル『Don’t look back!』の初週売上は、『コケティッシュ渋滞中』が64万451枚、『Don’t look back!』が44万7282枚となり、4月13日付オリコン週間CDシングルランキングの1、2位にランクインした(参考:2015年03月30日〜2015年04月05日のCDシングル週間ランキング(2015年04月13日付))。先日の柴那典氏のチャート分析記事【SKE48とNMB48、同日リリースの楽曲を徹底比較 両グループの傾向を読む】でも述べられていたように、この両者の同日発売は期末を目前にしたレコード会社の思惑が先行した結果という色合いが強く、当初話題になったような姉妹グループ同士の「対決」という趣きは、日を追うにつれて後退していったように思える。
SKE48は絶対的なWエースだった松井珠理奈、松井玲奈をセンターに戻したシフトでグループ結成以来最高の初週売上枚数を記録し、他方NMB48は前作『らしくない』のカップリング曲「友達」から続く、山田菜々卒業に向けたリリースの集大成として、表題曲のセンターに山田を据えてそのはなむけとした。『Don’t look back!』は、このシングル単体というよりは、山田菜々という稀有なポジションにいたメンバーの卒業を飾る一連の盛り上がりのピースのひとつという感覚も強く、その意味でも同日発売による「対決」の志向にはなじみにくいものだった。一見するとこうした状況は、グループごとの対抗という当初の見立てに対しては肩透かしだったようにも感じられる。
ただ、今回の両グループの同日発売は、タイミングとしては新たにグループごとを対抗させる機運をつくっていく、そのはじまりに位置すると考えることもできる。上述した山田菜々は、今回のシングルリリースが決定した時点で、NMB48とSKE48の両グループを兼任していた。同じくNMB48の渡辺美優紀もSKE48を兼任、またSKE48の高柳明音もNMB48を兼任していたため、同日発売決定に際して彼女たちがどのような活動スタンスになるのかが問われた。結局は『コケティッシュ渋滞中』および『Don’t look back!』に関しては、双方を兼任しているメンバーは本所属のグループのみの選抜となり、両グループ内での混交は避ける格好となった。双方の選抜メンバーが発表された際にはまだ、この措置は「対決」をよりすっきりさせるためのものと見られたし、実際そうした意図も少なからずあっただろう。しかし、両シングルリリース直前の3月26日に行なわれた『AKB48 春の単独コンサート〜ジキソー未だ修行中!〜』で発表された「AKB48 春の人事異動」では、そうした姉妹グループ同士の混交を一旦まとめてリセットするような意思が感じられた。
川栄李奈の卒業発表やNGT48への北原里英の移籍および柏木由紀の兼任など、大きな動きが相次いだ先の人事異動だが、それらの動きのひとつに兼任メンバーの相次ぐ兼任解除があった。とりわけ特徴的なのがAKB48以外の、姉妹グループ同士での兼任メンバーがことごとく解除されたことだ。AKB48本体と姉妹グループとの兼任は引き続き行なわれ、AKB48は引き続き「中央」として機能していくものと思われるが、SKE48、NMB48、HKT48といった姉妹グループ間での往還は整理され、よりグループとしての独立性が強くなる方針へと切り替わっているように見える。本来、一線を引くものとして存在している乃木坂46との交換留学終了も含めて、姉妹グループ間の交流を制限し、各グループが独自のカラーを鮮明にしやすくする格好になっているのだ。そう考えると、『コケティッシュ渋滞中』と『Don’t look back!』で本来ならば両方の選抜に入っておかしくない兼任の人気メンバーの配属が整理され、本来の所属に専念するかたちになったことは、結果的にではあるが2015年の48グループの方針に先駆けた動きになっていたとも考えられる。
メンバーの移籍や兼任、特に48グループが巨大組織になった現在の「大組閣」では、発表当初にはその意図が読み取れないものも少なくない。先月の人事異動もまた、一聴して全容が把握できるようなものではなかったし、それはこれからも続くのだろう。兼任を活発にさせた昨年の組閣から一年での、今回の姉妹グループ兼任の整理からは、運営のひとつひとつの采配もまた、確信を持った上のものではなく、試行錯誤の一環であることがうかがえる。もちろん、交換留学生として乃木坂46に配属された松井玲奈が、グループとしてまだ若い乃木坂46にプロ意識を伝導する役目を果たし、最終的にメンバーからもファンからも大きな感謝をもって見送られているような例を考えれば、人事異動当初のメンバーやファンの反応や感慨がそのまま正しいのかどうかもわからない。しかし、ともかくも2015年が過去一年よりも各グループのカラーを示しやすいシフトになるのであれば、それぞれのグループが対照をなして拮抗する姿が見てみたいし、兼任がシンプルになった今回の方針の中で、SKE48、NMB48の次世代メンバーがより台頭しやすくなるならば、48グループ全体にとってもさしあたりの成功といえるのだろう。
香月孝史
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