クープランの墓

岩井聡輝(PugMog Inc. 共同代表/ 市民団体はじめのいっぽ代表/ 予備校現代文・小論文講師/ 復活オワタシリーズ中の人)のブログ。時事から思想、音楽などまで様々な事柄を語ってみよう。 連絡先はこちら→toshiki.iwaiあっとgmail.com

普天間基地移設問題は沖縄のわがままとしか言い様がない

本土側からの論理として言わせてもらうと、沖縄のわがままとしか言い様がない。
そもそも、民意で一度はOKしている問題で、政策もそれを元に動いている。
それを選挙で反対派が通ったからって、ひっくり返すっていうのは、ちょっと余りにも自己中。
だって、そのためにいくらの予算が動いたと思ってるんですか?関係者たちがどれだけ調整をしてたと思ってるんですか?

 

それを拒否・ひっくり返すのであれば、実現可能性高い代替案を沖縄も出すべき。
「沖縄は苦しいから」は、理由にならない。苦しいのはどこでもいっしょ

 

もちろん、WWⅡ末期、沖縄戦で苦しんだことには同情するし、それから、長らく占領下にあったことも辛かっただろうと思う。一方で、東京は大空襲で焼き払われ、広島・長崎には原爆が投下された。散発的な空襲は様々な都市部であっただろう。また、疎開先は安全・安心だったのか?というと、そんなことはない。経済面では全国的に苦しんでいた。コメが食べられなかった。主食はイモや水のようなすいとん。そして、鉄製品は軍が接収していった。溶かして、軍需品にするから。また、赤紙が来たら問答無用でお国のために奉公しなければならなかった。16、7歳の少年までもが、特攻し、戦火に散った。大した軍事的効果も上げられず、だ。女性も工場労働しなければならなかったし、男親がいない中、必死で子供を育てなければならなかった。子供たちは「将来はお国のために死ね」と言われて育っていた。「お国のために死んだら英霊になる」・・・と。・・・あの時代は、どこもかしこもが苦しかったはずだ。それもこれも、分岐点であったミッドウェー海戦から、ずるずると勝てる見込みのない戦争を続けてしまったせい。「誰が続けた?」って、ここで、軍部やら当時の政府やら昭和天皇の責任にするのが昔の人たちだけど、客観的に見て、あの戦争を煽ったマスコミにも責任はあるし、それに扇動された国民にも責任はある。「誰が悪かった?」って、みんなそれぞれ悪かったんだよ。

 

実際に、伊丹十三の父、伊丹万作は、『戦争責任者の問題』という論考で以下のように語っている。

 

「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でも既に別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。

 

ほかにも示唆に富んだ表現や論考が山ほど出てくるので、読んでみるといいかもしれない。

 Kindleだと無料なので、是非。

戦争責任者の問題
 

 

 

この論考は、昭和21年の8月、つまり、戦争翌年の8月に発表されている。あの、「一億総歴史忘れの時代」においても、実体験からしっかりと歴史を総括している人はいたということだ。

もちろん、最終的に責任を担うべきは国家のトップだと思うから、本来であれば、昭和天皇サンフランシスコ講和条約の段階で譲位された方が良かったのではないか・・・とも思う。だけど、そうはならなかったんだから、仕方ない。

 

閑話休題

 

普天間基地移設問題は沖縄のわがままな件について。

 

「沖縄は苦しんでいる」は言い訳にならない。もちろん、国土の1%にも満たない沖縄に日本中の米軍基地の70%以上が集中していることは、大きな問題だといえる。しかし、だ。沖縄がどれだけ戦略的に重要な拠点なのかを考えて欲しい。沖縄を取られたら、日本列島だったら九州が取られるし、南下すればグアム、そして、東南アジアにも乗り込んでいける。軍事戦略的には沖縄がハブになるのは、ある種の必然性がある。だからこそ、沖縄は長らく独立国家としては歩んでこられなかった。大国が押さえたがるからね。琉球王朝だって、朝貢をしていたわけだ。中華文明の覇権を握っていた王朝の傘下にあったということ。そして、日本に吸収され、次はアメリカに取られた。沖縄人にとっては、たしかに悲劇だが、歴史は、沖縄がいかに重要な場所であるかを雄弁に物語っている。

 

日米地位協定などの不平等条約はとっとと直さなければならない。「米軍犯罪人を訴追するまで拘束できない」・・・こんなルールがあるせいで、何人もの罪なき沖縄人が被害にあったことか。そのためには、憲法九条の改正なども必要になるだろう。それは、まさに「国民を守るため」に粛々と行われるべきだろう。

 

さて、彼らに夢を見させて、実行性の全くない、グアム移転や、「最低でも県外」を言った、当時の与党であった民主党の責任も重い。それを言うなら、実現性を担保するために、関係各所としっかりと調整しておかないと。夢だけを語るのが政治ではない。政治は夢を実現するために、実現可能なロードマップを描くこと。それをノープランで”特攻”した当時の首相が「鳩ぽっぽ」と揶揄されるのは、合点がいく。沖縄県民に夢を見させた民主党は本当に反省するべき。・・・ついでに言うと、そういう総括がないから、民主党は支持率が低迷し続けてるんだと思う。

 

 

そして、沖縄人と話してて思うのは、「俺らはうちなんちゅ~であり、琉球王国なんだ」ということを言う人が未だにかなりの数いる。
それほどのパトリオット(郷土愛に溢れた人)なんであって、自民族に誇りを持っているのであれば、独立すれば?と思う。琉球王国は、結局中国大陸にあった国家たちに従属していたという歴史的経緯を見ないようにしているとしか思えない。そして、現在のパワーポリティクスの関係上、沖縄は超重要な拠点になる。そうなると、独立すると、中国かアメリカに(同盟という形の隷属として)確実に取られるよ。それを守るほどのパワーが沖縄にあるとは思えない。

 

今回の辺野古は、普天間よりはマシなのは間違いない。
それを受け入れずに、ひっくり返して、「それが民意だー」なんて言うのは駄々っ子の論理。