【マスターズ】松山、記録ずくめの5位「優勝したら歴史変わる」
◆米男子プロゴルフツアー 今季メジャー第1戦 マスターズ・トーナメント最終日(12日、米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC=パー72)
【オーガスタ(米ジョージア州)12日=榎本友一】松山英樹(23)=LEXUS=が日本男子初のメジャー制覇に大きな自信をつけた。10位から出て1イーグル、4バーディー、ボギーなしのベストスコア66をマーク。日本人最少スコアの通算11アンダーで、自身メジャー最高の5位に入った。マスターズ2回出場の羽川豊さんも「可能性は十分」と、メジャー次戦の全米オープン優勝に期待。21歳のジョーダン・スピース(米国)が大会最少スコアに並ぶ18アンダーで初優勝を果たした。
まるで勝者をたたえるようだった。松山が最終18番グリーンへ歩み寄ると、周囲のパトロンは総立ち。スタンディングオベーションで出迎えた。それに応えるように松山は3メートルのバーディーパットを沈め、ベストスコアの66締め。「60で回れたことはすごくうれしい」と緑豊かな世界一美しい難コースでのノーボギーラウンドに胸を張った。
最大の見せ場は“アーメンコーナー”の出口で訪れた。13番パー5だ。残り209ヤードの右の松林の枯れた葉の上からの第2打。「少しカット気味に打った」。5アイアンでスライスをかけ、ピン左4メートルへ2オンに成功。両膝を折りながら、日本人初の3日連続イーグルとなるパットを沈め、右拳を突き出した。
マスターズ日本人最少スコアでもある66で、最終日に強烈な輝きを放ったが、6日の練習場で左手首痛に顔をゆがめるなど状態は万全ではなかった。それでも日本人初の4日間連続アンダーパーで、自身メジャー最高の5位。パットに苦しむ中、アイアンショットに加え、ドライバーの精度も1段階上がったことを証明し「納得いくプレーが4日間続けば絶対上位にいられる」と世界の頂点で戦う自信を得た。
TBSのリポーターとして、松山の過去4度の挑戦を全て見た芹沢信雄(55)=TSIグルーヴアンドスポーツ=は「ここで勝つには、硬いグリーンで止められる高い球と300ヤードを超える飛距離が必要。米ツアーに参戦してどちらも成長した。あと2回くらい出場すれば、いつ勝ってもおかしくない」と近未来の日本男子初の4大大会制覇に太鼓判を押した。
マスターズには特別な思いがある。初出場は東日本大震災直後の11年3月。大学時代を仙台で過ごした松山は日本人初のローアマとなり、被災地にエールを送った。憧れのタイガー・ウッズ(米国)のメジャー初優勝も97年大会で「一番勝ちたいメジャー」と公言してきた。
12位以内に与えられる来年の出場権を獲得。01年4位の伊澤利光は33歳、09年4位の片山晋呉は36歳だったが、松山はまだ23歳。「来年はしっかりと優勝争いできる位置で4日間戦いたい。優勝したときに歴史が変わると思う」。次戦は29日開幕の世界マッチプレー選手権。メジャーは6月の全米オープン。「やっぱり一番大事かな」というパットを磨き、1年後再び夢舞台に挑む。
◆マスターズで健闘した日本人選手 最も優勝に近づいたのは09年大会の片山晋呉。第1日に首位と2打差の4位でスタート。第2、3日はいずれも5打差6位。最終日に68をマークし、2打差の4位まで詰め寄った。01年大会の伊澤利光も日本人最高位の4位だったが、第3日は74と苦戦し、7打差の16位。最終日にベストスコアの67で6打差まで巻き返した。
◆松山のマスターズ記録アラカルト
▼日本人最少の11アンダー 01年伊澤利光と09年片山晋呉の10アンダーを1打更新
▼日本人最少スコアタイの66 伊澤(01年2R)に並ぶ
▼日本人初の4日間連続アンダーパー
▼日本人3人目のベストスコア 伊澤(01年2R・66、同4R・67)、丸山茂樹(02年4R・67)に並ぶ。ベストスコア達成者にはクリスタル製の花瓶が贈られる
▼日本人2人目の1大会3イーグル 01年伊澤(1R13番、3R15番、最終R15番)に並ぶ。3日連続は史上初
▼日本男子の海外メジャー3大会でのトップ10入り 青木功、尾崎将司、中嶋常幸についで4人目。中嶋(マスターズ86年8位、91年10位、全米オープン87年9位、全英オープン86年8位、全米プロ84年10位、88年3位)は唯一4大会で達成
▼来年大会出場権 12位以内に入り獲得