マー、初勝利も「情けない」5回3四球4失点
◆ヤンキース14―4レッドソックス(12日・ニューヨーク)
ヤンキースの田中将大投手(26)が12日(日本時間13日)、辛うじて今季初勝利を手にした。Rソックス戦で今季2度目の先発マウンドに上がり、5回97球を投げ、1被弾を含む4安打4失点(自責点3)。大量点の援護を受けて、何とか勝利投手となった。田中が24勝無敗の偉業を達成した13年に楽天担当を務めていた畑中記者が、当時との違いを分析した。
内野は「1点OK」の守備隊形でも、田中の気持ちは、「もう1点も与えない」だった。初回に7点の援護をもらいながら、2度の暴投や守備の乱れで4点差に縮められた4回1死二、三塁。バットに当てられればさらなる失点を許す状況で、ハニガン、ベッツを「狙った」とスライダーで連続三振に仕留め、踏ん張った。
決め球のスプリットを見逃される場面が多く「相手が振りたくなるような動きをしていなかった」。5回97球を費やして4失点で降板した。3四球と制球も乱したが、昨年9月21日の本拠ブルージェイズ戦以来の白星を手にした。「僕自身は仕事ができなかった。締まらない試合にしてしまって情けない。その中でも勝てて良かった」と反省しながらも前を向いた。
地元メディアからは開幕戦での球速を抑えた投球への不満や、右肘の不安の声が上がっていた。2度目の登板でも負ければ、さらなる批判を浴びかねなかった。田中はこの5日間、自分自身と向き合って映像を見返し、投球以上に「実際に試合に投げている時の気持ちを思い出した」。150キロに届いたのは1球だけ。力勝負にこだわらない投球を貫いた。
田中には一つの信念がある。米国生活の苦悩を問われた時、「環境が変われば、いろんなことが変わるのは当たり前」と平然と答えた。成功したスタイルにこだわらず、常に変化を求めている。
全米中継された一戦で、すべての雑音を吹き飛ばす快投とはいかなかったが、今のスタイルで結果を残す自信はある。「一気に完璧になるものではない。でも少しずつ良くなってきているという感覚はある」。長いシーズン、真価を見せるのは、これからだ。(畑中 祐司)