日系企業の多くが、製造拠点と市場の両面から注目するミャンマー。民主化から4年。世界的なカネ余りから過剰な投資が舞い込む。実体無き経済成長を続けるアジア最後のフロンティアの今後を探る。
ホテルは1泊5万円、携帯電話のSIMカードは1枚20万円で、オフィス賃料は東京の丸の内レベル。駐在員の住居は空きがなく200人待ちで、新築でもない1LDKのアパートの賃料が50万円を超える──。
こんな海外事情を聞けば、シンガポールか香港か、はたまた米ニューヨークのマンハッタンでの話かと思われるかもしれない。だが実際の舞台は途上国。それもつい数年前まで国を閉ざしていたミャンマーの話だ。
1962年のクーデターで独裁体制の社会主義政権が誕生し、88年以降は国軍が政権を掌握。民主化推進派の象徴であったアウン・サン・スー・チー氏が何度も自宅で軟禁され、欧米が経済制裁を強めて国際社会との距離が広まる一方だった。