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便座まで爆買いする中国人の“日本製信仰”(下)

――ジャーナリスト・中島恵

中島恵
2015年4月14日
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>>(上)より続く

 しかし筆者が言いたいのは、「中国のレベルが日本に比べていかに低いか」ということではない。あくまでも「中国はまだその段階にある」という現状を伝えたいのであり、かの国を否定するものではない。多くの日本人は中国が置かれている現状を認識していないのではないか、という懸念からこのように述べた。おおまかに言えば、中間層に位置する私でさえ、中国で「日本並み」の生活をしようとすれば、相当なお金を出さなければまともな商品やサービスが手に入らないことは確かであり、中国での生活は現地に慣れている筆者でさえストレスに満ちている。

日本に爆買いで訪れる中国人は
非常に厳しい審査を受けている

 中国人にとっても、ストレスフルな生活であることに変わりはない。たとえば海外旅行についての違いだ。日本では「爆買い」のニュースが流れるが、彼らが非常に複雑な手続きを踏んで出国していることを知っている日本人は、ほとんどいない。日本人が海外に行く際、ビザを必要とする国はほとんどないが、中国人が海外に行くには、逆にほとんどの国でビザを必要とされる。

 しかも、その取得も非常に厳しい審査を伴うものだ。つまり、ビザの取得を要求されるということは、その国(と国民)の信用度が低いことの表れであり、世界における中国の信用度はまだまだ低いと言える。

 最近では、団体旅行よりも個人旅行の人気が高まっているが、ビザ取得は団体よりも個人のほうが圧倒的に厳しい。個人旅行の申請には、不動産取得証明書、預金残高5万元(約95万円)以上、銀行通帳コピー、在職証明書、航空券の実物、日程表、宿泊先ホテルの予約表など、数多くの書類が必要になるという具合だ。

 今年になって日本の外務省は、一定以上の収入のある中国人観光客に対して数次ビザの要件を緩和したが、日本人に比べれば中国人の海外旅行はいまだに不自由極まりない。中国人はそのくらい大変な思いをして、海外に出ている。その事実を知れば、「爆買い」してストレス発散する気持ちも、理解できようというものだ。

 「爆買い」から話は逸れるが、中国人の生活で日本人にはほとんど見えないものとして、この機に戸籍問題も説明しておこう。日本人にとって、戸籍は結婚や出産、死亡時などに必要な紙切れ1枚という程度の印象だろうが、中国人の人生と戸籍は切っても切り離せない重要なものだ。

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