「羽柴秀吉」の名で、北海道夕張市長選など各地の選挙に出馬した青森県五所川原市の会社経営、三上誠三(みかみ・せいぞう)氏が11日午後5時40分、肝硬変のため五所川原市内の病院で死去した。65歳。青森県出身。葬儀・告別式は17日午前11時から五所川原市金木町菅原367の1、金木公民館で。喪主は妻澄子(すみこ)さん。

 三上氏は、住職に「秀吉の生まれ変わり」といわれたことから「羽柴秀吉」と名乗り、出身地の青森県旧金木町(現五所川原市)の町長選をはじめ、東京都知事選や大阪府知事選などにもたびたび立候補。長野県知事選ではヘリコプターで上空から選挙戦での論点となったダム建設予定地を視察するなどユニークな選挙活動を展開した。「有力泡沫(ほうまつ)候補」と呼ばれることもあった。一方、2007年の夕張市長選では当選者と342票差の次点まで迫った。

 三上氏は、地元の中学卒業後、運送業や製材所、出稼ぎなどの仕事に就き、運送業で成功。天守閣の自宅を持つ小田川城を建造。また、平等院鳳凰堂や国会議事堂を模した「小田川温泉ホテル 秀吉のやかた」などを経営していたが、相次ぐ火災で焼失。現在は、建設や産廃処理などを手掛ける会社を経営していた。

<三上氏アラカルト>

 ▼00年3月 平等院鳳凰堂を模したホテルが火災で焼失。壁も天井も調度品も金という1泊100万円の「黄金御殿・黄金の間」のある施設も一部被害に遭った。当時、土建業など約15の会社を経営し、年商数十億円、総資産200億円と豪語していた。

 ▼同年11月 「東京ドームが14個入る」という約18万坪の敷地内に、約10億円をかけて、建築面積約1320平方メートルの「国会議事堂」を建造。

 ▼01年10月 自宅に拳銃と散弾銃のようなものを持った2人組の男が押し入り、現金約160万円の入った財布と貴金属類の入った金庫を奪って逃走。三上氏は「これからは自宅にもガードマンを雇うし、防犯装置もつけて完璧な防犯策を取る」と話した。

 ▼02年8月 長野県知事選で、スピーカー付き軽飛行機を使った選挙戦。長野県上空を旋回し、スピーカーから大音量で「羽柴秀吉が上空からあいさつにきました」などと流した。

 ▼10年4月 国会議事堂を模したホテルが火災で焼失。

 ▼11年8月 社長を務めていた「東北興産建設」の炭選別作業所から出火。木造平屋建て約200平方メートルを全焼。