インタビュアーコメント
第一弾は片山さんです。片山さんと呼ぶよりは、「五月さん」と呼んだほうがしっくりくるかもしれません。
そんな五月さんは元々個人投資家で、藤野さんとの出会いがきっかけでレオスに入社するというユニークな経緯をお持ちです。
片山 晃(五月 ‹ごがつ›)
運用部 シニアアナリスト
2013年5月入社
かたやま あきら。2005年、個人投資家として運用を開始。2006年、前職を退職して専業投資家に転じ、以後2012年まで7年連続で2桁の年間リターンを達成。ファンダメンタルズベースの中長期投資を軸に、トレーダーの視点も持ち合わせた発想力が強み。
企業とお客様の橋渡しをする存在でありたい
堅田 まずはこの質問から始めたいと思います。ひふみ投信はどのようなものだと思いますか?
片山
まずは優秀な金融商品であり続けなければならないと思っています。
しかしそれだけではなく、日本が持っている若い力、新しいチャレンジをしている企業を見つけ出して応援していくことが、ひふみ投信には託されていると思っています。
市場を通して、そうした企業とお客様の橋渡しをする存在でありたいと思います。
堅田 市場を通じて応援するというのは、具体的には投資をするということだと思いますが、五月さんはなぜ投資をしようと思ったのでしょうか?
片山
一番はじめは、単純に面白そうだなというところから始まりました。
しかし、個人投資家として投資をしていくうちに、より深い所でその面白さがわかるようになって来ました。
堅田 "面白そうだな"と思ったきっかけは何だったのでしょうか?
片山 ビックマネーという株をテーマにしたテレビドラマです。
堅田 どの部分に面白さを感じられたのでしょうか?
片山
株に対して凄いポテンシャルを感じました。
例えば、老練な相場師が窮地に陥った企業の株を買い支えて救ったり、逆に物語の最後では、過去に悪質な保険商品を販売して多くの被害者を作った銀行に報復しようと、主人公たちが経営危機のウワサを流しながら同時に株を売り浴びせて株価を暴落させると言う大きな仕掛けをやるんです。すると、それを見てパニックになった一般の人々が本当に取り付け騒ぎを起こしてしまい、それが引き金となって狙い通りに銀行は破綻してしまう。
現実世界でそんなことをやったら犯罪ですし、実際に主人公は最後に逮捕されているのですが、一個人が銀行を潰そうと目論んで、それが本当に出来てしまうと言うストーリーには、いかにフィクションとは言え興奮を覚えました。
それで、自分が知らなかった株という世界では、実は物凄いことが起きているんじゃないかという疑念がその時初めて芽生えたんです。
そうしたら、もうその日の夜には口座開設の申請をしていました。
この先どうなるのかということを常に考える
堅田 株を通して世の中の動きというものを感じたということ?
片山
その通りです。
その話以外にも、全般を通して株と世の中はこんなにも繋がっているんだという視点を多く与えてくれる作品でした。
堅田 これまでの株式投資の経験から、五月さんは、投資は何だと考えますか?
片山
マーケットとは何かと言われれば、世界最大のオンラインゲームと答えるのですが、投資とは何かと言われると、あまり考えたことはなかったかもしれません。
あえて言うなら人生そのもの。
特に最近ですが、長生きしたいと思うようになりました。
世の中がどういう風に移り変わっていくのか、その行く末を見ていきたい。
投資をしていると、世の中の変化をとても近いところで感じることができます。
この先どうなるのかということを常に考えるのが投資家だからこそ、世の中の変化にワクワクする。
思ったようになるにせよ、ならないにせよ、こういう風に変わってきたんだなという、当事者性を持って世の中の変化を感じ取ることができる。それが投資だと思います。
堅田
五月さんにとっての投資は、変化がキーワードになるわけですね。
では具体的に投資する銘柄を選ぶときには、どういう部分に着目されているのでしょうか?
片山 僕が好きなのは、やはり変化のある企業。何かが起こっているなと感じたら注目します。
堅田 何の変化ですか?
片山
業績でも良いし、新しい商品やサービスでも良い。
何か新しいアクションがあった時に、それが企業に将来何か大きなインパクトを与えるかどうかを考えます。
堅田 大きなインパクト?
片山 例えば株価で言うなら、2倍3倍になるようなことです。
お客様の資産を守ることも重要
堅田 変化に着目するという投資スタイルは、五月さんの投資観ととてもマッチしたスタイルだと思うのですが、どうして変化を重視するようになったのでしょうか?
片山 これまで株価の様々な上昇のパターンを見てきて、最も効率よくリターンを取れるのが、変化の初動を取るところだとわかったんです。
堅田
変化の初動ですか。
初動を掴むという点では個人投資家と現在のいわゆる機関投資家との違いは感じますか?
片山
機動力の部分では個人が有利だと思います。
トライアンドエラーがしやすいので、良いなと思った時点で損を覚悟で買えます。機関投資家であればお客様の資産を守ることも重要なので、それだけ慎重にならなければならないと思います。
堅田 情報量の差はありますか?
片山
初動狙いで言うならば、あまりないと感じます。
個人ではアクセスできないような深いところにある情報では、実は思ったほど株価は上がらない。テクニカルトレードと同じで、情報というものは、広く周知されて初めて価値を持つわけですから。
堅田 誰もが知るようなレベルまで落ちてこないと?
片山
そう、しかし遅すぎてもだめなので、情報が水面下から世の中に出てくる半歩前に把握する。
世の中に見つかるタイミングはいつかは来るんだけど、その初動に乗るということ。
表にでないものを知るということは緻密で深いリサーチが必要になるから、それでは株価は動きません。
堅田 個人投資家から今は機関投資家として、ひふみ投信のアナリストとして五月さん自身はどうなっていきたいか、そしてひふみ投信のお客様にはどのような価値を提供していきたいと考えていますか?
片山
個人投資家を8年やってきて、今度は全く知らない機関投資家サイドに入ることで、個人と機関の両面を知り、投資家としての幅と深みを出していきたい。
投資家としてもっと高みを目指していきたいです。
お客様に対しては儲けてもらいたい。
国内の株式はバブル崩壊から基本は下がっていて、参加者はほとんど全員が負けている状態が続いていた。だけども投資信託の販売会社は商品を売って手数料を稼がなきゃいけないので、顧客本位ではない商品開発をする。
そうした流れがずっと続いてきて、日本人は株に対して悪いイメージを持ってしまっている。
それが今アベノミクス効果で久しぶりに大きな上げ相場が来て、投資は自分に利益をもたらしてくれる、可能性を豊かに広げてくれる、そういうものだと理解してもらえる状況が出てきている。
このことをもっと多くの人に感じてもらいたいし、そのためにはまずいい商品を作る、そして投資は儲かるんだという事を発信していくことが必要だと思っています。
ひふみ投信は意義深い存在でありたい
堅田 最後に、ひふみ投信を買おうと思っている方や、持っているお客様に対して何か伝えたい事はありますか?
片山
専業投資家として最も充実していた時には、人にお金を預けることなんて考えられませんでした。
投資信託はパフォーマンスが悪いと思っていたし、何より自分で投資することのほうが楽しかったから。
でも多くの人に会って色々な話を聞いていくにつれて、、特にこの1,2年ぐらいで考え方が大きく変わって来ました。
普通は仕事もあるし、家族との時間も大切にしたいし、勉強や趣味にかける時間も必要で、その中でマーケットで勝ち続けるためのリソースを常にさけるかというと、それは非常に難しい。
それはバランスの問題であって、その人が本当に株が好きかどうか、投資で儲けたいかどうかとはまた別の話で、決して全員に求めるべきものでもないと思います。
そこで、そういう人たちの代わりに運用をするプロの集団があってもいいと思うようになりました。
ニコニコ動画の人気ジャンルに、ゲームのプレイ動画があります。自分ではプレイせずに、他人がゲームをやっているところを見るだけ。
それの何が楽しいのかと思うかもしれませんが、時間や腕の問題で、自分では出来ないやり込みや凄いプレイを見たり、逆に下手なところにツッコミを入れたりして楽しんでいる人が多いんです。
もちろん、ツッコまれるような運用は絶対にあってはなりませんが、自分のやりたい投資を代わりにやってくれるようなプロ集団としての投資信託があるのであれば意義深いですし、ひふみ投信はそういう存在でありたいと思います。
堅田 ありがとうございました。
インタビュアーによるあとがき
個人投資家として厳しい市場環境の中で結果を残してきた片山さん。ひふみ投信の運用に関わり始めてまだ2ヶ月ですが、経験に裏付けされた「変化を捉える」力は今後のひふみ投信のパフォーマンスに大きく貢献するのではないかと、こちらまでワクワクします。淡々と語る言葉の中に株に対する思い、結果を残すための執念が伝わってくるインタビューでした。
これからの活躍に期待です!!
次回はレオスのファウンダーの湯浅さん。ひふみ投信に対する熱い想いを聞いちゃいます!!
片山さんによる運用部紹介
藤野さん:面白いことが好きな人
湯浅さん:いい意味でこだわりのない人
渡邉さん:逆に、細かい事に手を抜かない職人という感じ
八尾さん:バランスの取れている人。
蛭田さん:縁の下の力持ち
栗岡さん:行動力