経産省が3月30日にリリースした地域の生活コスト「見える化」システムがスゴイ。
市区町村別に、地域の家計収支や地域の暮らしやすさを貨幣価値で示すことにより、生活に係わる様々なコスト・ベネフィットを比較・検討することができるのだ。
具体的には次の機能を有している。
- 第一は、「地域の家計収支を見る」機能であり、選択した地域で生活する場合の平均的な家計収入を見ることができます。家計収支は、家族構成、職業、住宅の取得方法を選択することができ、お使い頂く方に合ったきめ細やかなシミュレーションが可能です。
- 第二は、「地域の暮らしやすさ指標の貨幣価値を見る」機能であり、約1万人を対象としたアンケート調査のデータを用いてコンジョイント分析の手法で推計された、利便性、教育・子育て、福祉・医療などの暮らしやすさに関する指標に関する貨幣価値が表示されます。
- 移住を検討する地域間の暮らしやすさを金額で比較することに加え、全国、地域ブロック、都道府県内での上位ランキング市区町村も知ることができます。
詳しい使い方は、利用マニュアル(PDF:1,917KB)を参照していただくこととして、実際にどのくらいスゴイのか、以下に例示してみよう。
超高層マンションが群立している豊洲のある江東区と、まだ東京で消耗してるの?ブログで有名なイケダハヤト氏の移住先である高知市とを比較してみた。
経産省のサイトからダウンロードしてきたエクセル形式の「見える化」システム(21MBもある!)を立ち上げ、「夫婦と子供(小中高生)」「30歳代」「利便性志向」を選択し、実行ボタンを押す(次図)。
すると、江東区と高知市の22項目ごとの「貨幣価値(円/年)」が表示される。
総合評価としての紙幣価値(最下段に表示される22項目の合計値)は、江東区の5,421,012円/年に対して、高知市が5,975,184円/年。
高知市の暮らしやすさのほうが紙幣価値にして554,172円/年高いことが分かる。
比較した22項目は、次のように6つ大項目に分類されている。
- 生活利便性
- ショッピングセンターへの距離
- 飲食店の集積度
- バス停までの距離
- 鉄道駅までの距離
- 働きやすさ
- 通勤通学時間
- 地域の求人倍率
- 教育・子育て
- 小中学校までの距離
- 学校での子供に対する先生の目の届きやすさ
- 大学(短大除く)までの距離
- 地域の保育所の待機児童率
- 医療・福祉
- 老人福祉施設の定員充足率(利用のしやすさ)
- 病院又は診療所までの距離
- 高度な救命措置が可能な救命救急センターまでの所要時間
- 災害
- 今後30年間に、震度6以上の揺れが発生する確率
- 津波避難対策地域(市町村単位)の該当
- 自然環境
- 周辺での緑(農地や森林)の多さ
- 空気のきれいさ(大気汚染物質の濃度)
- 水のきれいさ(名水・湧水の有無)
- 年間平均気温
- ライフスタイル
- 地域で採れた食材の入手のしやすさ
- 治安の良さ
- 地域の活動(まちづくり、町内会、PTA活動など)に関わる人の割合
そこで6つの大分類ごとに合計し、比較したのが次のグラフ。
高知市は、「教育・子育て」「自然環境」「ライフスタイル」「働きやすさ」の貨幣価値が高いのだ。
(本日、マンション広告なし)