コンプライアンスのコンサルタントIMASが英国金融行動監視機構(FCA)のデータから割り出した定着率調査が興味深いです。
これによるとドイチェバンクが最も長く勤め上げられる会社であり、ゴールドマンサックス、JPモルガン、クレディスイスがそれに続くということが読み取れます。
なお、この調査にはシティの名前が見当たりません。あくまでもドタ勘ですけど、シティはリーマンショックの後遺症がひどかった関係で、たぶん定着率は悪いと思います。
このデータポイントには、限界があります。まずロンドンしか調査の対象になっていないということ。
同じインベストメント・バンク内で、たとえばニューヨークからロンドンに転勤になったら、ロンドンでの外務員登録は「新人」ということになってしまいます。
だから実際には永年勤続している社員の割合はもう少し大きいはずです。
それを断った上で、インベストメント・バンカーには「一生、ひとつの会社で勤め上げる」という意識は希薄です。「ゴールドマンよりモルスタの方が高い給料払ってくれるなら、サッサと転職しよう!」そういう考えを、誰もが持っています。
アメリカの場合、勤続年数に応じて昇進、昇給するなんてコトはアリマセン。だからずっと同じところで、同じ仕事をやっているのは、ある意味、無能であることの証です。
(自分の今のポジションを、ずっと守りたい)というような消極的な考えしか出来ない社員は、社内の人間から寝首をかかれるよりも先に、他社で自分と同じ仕事をしているライバルから急襲を喰らいます。
もう10年以上昔の話になるけれど、僕の場合、自分の営業成績(委託手数料)は、すべて顧客別にマグラーゲンズというコンサルタント会社にデータが渡されました。こうして各投資銀行から集まったコミッションのデータを元に、「あなたの順位は○○生命を担当しているウォール街各社の営業マンの中で、何位です」ということが明快にわかってしまうのです。
上司はそのデータを元に営業マンをぎゅうぎゅう絞ります。
だけど同じデータは逆に営業マンが上司とのボーナス交渉で、グイグイねじこむ道具としても使えるのです。
例えばJPモルガンがアナリスト・ランキングでNo.1だったとします。いまUBSの営業マンがリサーチ・ランキングが低いにもかかわらず、「会社の格」以上に多くのコミッションを稼いでいたなら、その営業マンは「俺はこれだけやっているのだから、もっとボーナスを呉れ!」と上司に主張できます。
それで上司が四の五の言ってボーナスを出さないなら、話はカンタン、JPモルガンの営業部長に電話すれば良いのです。
「アンタのところのセールスマンは、○○生命のアカウントで第5位だった。リサーチがNo.1なのに、これはふがいない。オレは営業成績No.1だ。We need to sit down and talk.」というわけです。
そして次の日、JPモルガンの営業マンはクビになり、他社から来た、もっとデキるセールスマンに交換されるというわけ。
つまり投資銀行で社員の定着率を上げようと思えば、それなりのものを払わないとダメということ。そのためには、普段からコンスタントに利益を上げ、思わぬトレーディング損などでボーナス・プールを毀損しないように気を付ける必要があります。
社風が良いとか、悪いとかは、カンケーありません。
どんなに仲良し和気藹々でも、ボーナス・プールが吹っ飛んで、株価が自分が貰ったオプションの行使値段を割り込むようなヌルい経営をやっていたら、社内のムードはささくれてしまうし、優秀な社員は沈む船から鼠が逃げ出すようにどんどん去ってゆきます。
これによるとドイチェバンクが最も長く勤め上げられる会社であり、ゴールドマンサックス、JPモルガン、クレディスイスがそれに続くということが読み取れます。
なお、この調査にはシティの名前が見当たりません。あくまでもドタ勘ですけど、シティはリーマンショックの後遺症がひどかった関係で、たぶん定着率は悪いと思います。
このデータポイントには、限界があります。まずロンドンしか調査の対象になっていないということ。
同じインベストメント・バンク内で、たとえばニューヨークからロンドンに転勤になったら、ロンドンでの外務員登録は「新人」ということになってしまいます。
だから実際には永年勤続している社員の割合はもう少し大きいはずです。
それを断った上で、インベストメント・バンカーには「一生、ひとつの会社で勤め上げる」という意識は希薄です。「ゴールドマンよりモルスタの方が高い給料払ってくれるなら、サッサと転職しよう!」そういう考えを、誰もが持っています。
アメリカの場合、勤続年数に応じて昇進、昇給するなんてコトはアリマセン。だからずっと同じところで、同じ仕事をやっているのは、ある意味、無能であることの証です。
(自分の今のポジションを、ずっと守りたい)というような消極的な考えしか出来ない社員は、社内の人間から寝首をかかれるよりも先に、他社で自分と同じ仕事をしているライバルから急襲を喰らいます。
もう10年以上昔の話になるけれど、僕の場合、自分の営業成績(委託手数料)は、すべて顧客別にマグラーゲンズというコンサルタント会社にデータが渡されました。こうして各投資銀行から集まったコミッションのデータを元に、「あなたの順位は○○生命を担当しているウォール街各社の営業マンの中で、何位です」ということが明快にわかってしまうのです。
上司はそのデータを元に営業マンをぎゅうぎゅう絞ります。
だけど同じデータは逆に営業マンが上司とのボーナス交渉で、グイグイねじこむ道具としても使えるのです。
例えばJPモルガンがアナリスト・ランキングでNo.1だったとします。いまUBSの営業マンがリサーチ・ランキングが低いにもかかわらず、「会社の格」以上に多くのコミッションを稼いでいたなら、その営業マンは「俺はこれだけやっているのだから、もっとボーナスを呉れ!」と上司に主張できます。
それで上司が四の五の言ってボーナスを出さないなら、話はカンタン、JPモルガンの営業部長に電話すれば良いのです。
「アンタのところのセールスマンは、○○生命のアカウントで第5位だった。リサーチがNo.1なのに、これはふがいない。オレは営業成績No.1だ。We need to sit down and talk.」というわけです。
そして次の日、JPモルガンの営業マンはクビになり、他社から来た、もっとデキるセールスマンに交換されるというわけ。
つまり投資銀行で社員の定着率を上げようと思えば、それなりのものを払わないとダメということ。そのためには、普段からコンスタントに利益を上げ、思わぬトレーディング損などでボーナス・プールを毀損しないように気を付ける必要があります。
社風が良いとか、悪いとかは、カンケーありません。
どんなに仲良し和気藹々でも、ボーナス・プールが吹っ飛んで、株価が自分が貰ったオプションの行使値段を割り込むようなヌルい経営をやっていたら、社内のムードはささくれてしまうし、優秀な社員は沈む船から鼠が逃げ出すようにどんどん去ってゆきます。