再審への審理が続いている「袴田事件」の弁護団が4月13日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開き、「袴田巌さんが逮捕された直後に、弁護人とやり取りした内容が、警察に盗聴されていたことがわかった」と警察の対応を批判した。
今年になって検察から開示された「取り調べ録音」を弁護団が分析したところ、袴田さんと弁護人とのやり取りが含まれていたことが分かったのだという。
弁護団の戸舘圭之弁護士は、「被疑者と弁護人が誰にも知られずに話をする『秘密交通権』は、憲法で保障されている重要な権利。接見の盗聴は、前代未聞・言語道断。捜査機関が、絶対やってはいけないことをあえてやっていたことがわかった」と指摘した。
●テープ外箱に「午後4時40分~45分 岡村弁ゴ士」
弁護団によると、問題の録音が含まれていたのは、検察から開示されたオープンリールテープ23巻のうちの1巻で、その外箱には「8月22日 No.2 午後4時40分~45分 岡村弁ゴ士」と記載があった。
テープが古いため、袴田さんが話す内容は非常に不鮮明だったが、「パジャマ」「血」「僕はわかんないんですよ」などという言葉は聞き取れたそうだ。戸舘弁護士は「袴田さんは一生懸命無実だと伝えようとしているように思えた」という。
袴田事件は、1966年に静岡県清水市のみそ製造会社専務宅の一家4人が殺害された強盗殺人・放火事件。袴田さんは事件の犯人として同年8月18日に逮捕され、1980年に「死刑」が確定。しかし、2014年、証拠が「ねつ造」だった可能性があるとして、静岡地裁が裁判をやり直す再審決定を出したため、釈放された。
ただ、その決定に対し、静岡地検が即時抗告をしたため、まだ実際に再審が開かれるかどうかは決まっておらず、現在、東京高裁で審理が行われている。
戸舘弁護士は「捜査機関による接見の盗聴が明らかになったのは、異例のこと」と指摘。「(確定判決が)違法に違法を重ねた捜査によって成り立っていることがあらためて明らかになった」として、速やかな再審開始と、無罪判決を求めていく考えを強調していた。
(弁護士ドットコムニュース)
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