デンソー、知られざるその強さの秘密とは?
あくまで「国内量産化」にこだわるワケ
「日本企業の強さは現場力にある」という視点から、現場力を鍛える仕組みをわかりやすく読み解いた1冊で、「私の職場でも応用できるヒントを見つけた」「現場で働くことが楽しくなった」などの声が、読者から多数届いています。
今回から2回にわたって、『現場論』の中でケース事例として紹介した、デンソーの加藤宣明社長との対談を掲載。連結売上高が4兆円を超える自動車部品トップメーカーの知られざる「強さ」の秘密に迫ります。
「モノづくりの頭脳集団」にリストラの危機
遠藤:車に乗っている人の体温を感知して、必要な座席だけを省エネ空調する先端技術など、日本の高性能な車づくりには欠かせない、部品メーカーの地位を築かれましたね。
加藤:ありがとうございます。最近は、「車の挙動制御など電子技術に強い」との評価をいただきますが、ウチのモノづくりは「あくまでハードあってのソフト」と考えています。
遠藤:ハードとソフト両面で「モノづくりへのこだわり」は今後も変わらないわけですね。
加藤:そうです。しかし、実は当社でも、固定費削減が流行した1998年ごろ、「モノづくりの頭脳集団」といわれる「工機・型部門」(製造加工の設備や精密部品用の金型製造)を別会社化しようという動きもあったのです。
遠藤:モノづくり重視のデンソーでさえ、そんな動きがあったのですか。
加藤:ええ。当時で1000人以上の配転案なので、「短期的な業績」を見れば、固定費削減として大きなインパクトが見込めました。結局は、取りやめになったのですが、そこで思いとどまっていなければ、その後の業績の急回復もなかったと思います。
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