(2015年4月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
女性にとって、サウジアラビアよりもひどい国はほとんどない。だが、この王国が有給の出産休暇を4週間とする制度を先日導入したことは、出産休暇・給付の面では今や、サウジの女性の方が米国の女性よりも恵まれていることを意味している。
米国の働く女性に与えられる給付が驚くほど貧弱であることに、遅まきながら注目が集まっている。
ヒラリー・クリントン氏の米大統領選挙出馬の取り組みが軌道に乗るまでには、長い時間がかかった。
しかし、同氏が選挙戦で女性票を狙い通りに掘り起こすことができれば、次の大統領はクリントン氏でほぼ決まりだろう。
投票する人の数は男性よりも女性の方が多い。そして、米国経済の未来のカギを握っているのも女性なのだ。
潜在的な金鉱脈でもあり落とし穴でもある女性票
クリントン氏は2008年の選挙戦で、自分が女性であることをほぼ無視していた。米国初の黒人大統領が誕生するかもしれないという見通しのために、もう1つの大きなガラスの天井は影が薄くなってしまった。
クリントン氏はすでに名前が広く知られているため、2016年の選挙では女性の有権者をわくわくさせることができないと見られがちだ。
米国では、黒人男性の投票権獲得は女性のそれより半世紀以上も早かった。オバマ氏の2008年の地滑り的な勝利では、黒人票の獲得が大きな勝因になっている。