巨人の高木勇が開幕３連勝　チーム１５年ぶりの快挙

　巨人の新人の高木勇が７イニング１失点で開幕３連勝。多彩な球種で要所を締め、味方の逆転を引き出した。打線は７回に３つの押し出し四球でひっくり返し、８回は坂本、阿部の適時打で加点。ヤクルトは安定していた中継ぎ陣が崩れた。

　７回に１点を先制された。直後には代打を送られた。それでも巨人・高木勇はベンチで「逆転してもらえることをイメージしながら待っていました」と信じていた。すると３つの押し出し！　３つ目の白星が転がり込んできた。

　「あまり調子は良くなかったね」と斎藤投手コーチ。持ち前のテンポの良さが鳴りをひそめ、２回は安打、４、７回は四球で先頭打者の出塁を許した。７回はその走者を犠打で得点圏に進められ、連打で１点を失った。

　原監督に「高木ボール」と命名された得意のカットボールをヤクルト打線に狙われていた。「みんな手を出してきていた」と高木勇。同じように感じた阿部は「途中から（配球を）ちょっと変えた」。１００キロ前後のカーブを増やして打者の目先を変え、粘りの投球で最少失点でしのいだ。

　「自分は自分のピッチングをするだけ」と、口癖のように繰り返す。そのために日々の練習で苦しい思いをする。「試合では結果オーライもあるけど、練習は全部が良いボールじゃないとダメ。しんどいですよ」。ブルペンでは一球一球を試行錯誤しながら投げ、試合では「目の前のバッターを一人一人」と無心で勝負する。その積み重ねが白星につながっている。

　初登板からの３戦３勝の新人は、長い球団史でも２０００年の高橋尚成（現ＤｅＮＡ）以来１５年ぶり４人目。チーム７勝のうち３勝を稼ぐ新人に、指揮官も「非常に安定感がある。しっかり戦っていると勝利投手というものも来るのかな」と目を細める。

　もっとも当の本人は快挙に関心がない様子。「素直にうれしい。ただ、次に向けた準備をしっかり今の段階からしていきたい」。目の前の一球に全力投球。そんな信条を貫く。　（小林孝一郎）