坂本、4番初安打&初打点に「ホッ」
◆巨人6―1ヤクルト(12日・東京ドーム)
天性の勝負強さが目を覚ました。塁上はすべて走者で埋め尽くされていた。8回2死満塁。この日3度目のフルベースに坂本は奮い立った。2球目、内寄りの直球に詰まりながらも力で押し返した。中前に弾むタイムリーは、19打席ぶりの安打だった。「最近ずっと打てていなかった。正直うれしいし、ホッとしました」。第82代4番打者としての初ヒットに、本拠地が沸いた。
プロ9年目で初めてだった11日の同カードに続き、4番に座った。阿部はスタメン復帰したが、期待を込めての起用だった。高橋由、亀井の連続四球で同点に追いついた7回1死満塁。「どんな形でもいいから点を取りたかった」。初球から2球連続見逃しで追い込まれたが、フルカウントから四球を選び、決勝点をもぎ取った。「高木が頑張っていたのでよかった」。3回2死満塁では空振り三振に倒れていただけに、主砲としての責任感が終盤の2打席に込められていた。
11日まで3試合連続ノーヒットだった。開幕から右肩が下がり、バットが下から出る悪癖が抜けなかったが、心は折れなかった。同じ巨人の4番を経験したゴジラからの金言を胸に、必死に修正に励んだ。
宮崎キャンプ中の2月4日、視察に訪れた松井秀喜氏と木の花ドームで約5分間、話した。「実績のある選手なので自分の形をしっかりと固めていければいい。自分はティーや素振りでそれをやってきた」。松井氏の言葉に聞き入り、うなずいた。シーズンが開幕しても「自分はティーでやるようにしています」とスイング量を落とさず、復調の糸口を探っていた。継続は力となって実を結んだ。
原監督は、坂本の4番継続について「デン、とした4番バッターがいないことは、感じ取ってもらえるかな。そこで、どうするかでしょう」と話すにとどめた。
チームはここ5試合、最大2点止まりだったが、6点を奪った。主軸が打てば、自然と活気づく。「どこの打順でも気持ちは一緒。満塁で打ったことを、いいきっかけにできれば。今日みたいに、どんな形でもいいのでみんなで点を取っていきたい」。打線のカギを握るキャプテンは、力強く決意表明した。(中村 大悟)