阿部、2安打でも反省!勝ってもため息
2015年4月13日6時0分 スポーツ報知
◆巨人6―1ヤクルト(12日・東京ドーム)
疲れ切った表情で、阿部はベンチ裏の通路に出てきた。「ふぅ~」と深く息を吐いた。報道陣にリードした高木勇の配球面を聞かれても、「そうだなあ」と言葉は続かない。定位置の4番から5番に“降格”して2安打2打点も「まあ、勝利に貢献できれば、それでいいよ」と笑顔はなかった。
3点リードの8回2死満塁、秋吉の外角チェンジアップをとらえた。低いライナーで右翼線へ運ぶ2点打。自身6試合ぶりの打点でダメ押した。4回先頭でも右前打していた。開幕から調子が上がらず、「なかなか打球が上がらないな。でも、ヒットの延長がホームランだと思っている。今は強い打球を打つことだけ」と語っていたが、ようやく好結果につながった。
3日の阪神戦(東京D)から捕手に復帰した。やはり、勝手が違った。「体は動きを覚えていたよ。でも『何とかしたい』と張りつめているのか、朝、早く起きちゃうんだよね」。ナイター試合で夜遅くに就寝しても、早朝6時には目が覚めるという。高木勇やポレダ、マイコラスら、先発ローテーションに入った新戦力をいかにして勝たせるか―。女房役としての仕事が、頭から離れない。
関係者には、口をそろえてこう言われる。「やっぱり慎之助はキャッチャーが似合うよ」と。毎度、笑ってごまかすが、「もっと打てるように頑張ります」とだけは返している。捕手での貢献はもちろんだが、4番として打線を引っ張りたい思いが、何よりも、強い。
7回、坂本が決勝の押し出し四球を選んだ直後に遊飛に倒れた。奥歯をかみしめ、悔しがる表情が印象的だった。「ああいうところだよ」。勝っても反省を忘れない。理想とする姿には、まだ遠い。(水井 基博)