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大谷を怪物にした花巻東高校の「目標達成用紙」

NewsPicks 3月27日(金)10時31分配信

夢と目標と決意の区別

選手に応じた指導指針をつくったら、次に教えるのは「夢のかなえ方」だ。その前提として、指導者は自身の役割と限界を理解しておくことが必要になる。

「僕は160km投げたことがないので、その投げ方を大谷に教えられません。でも指導者として教えなければならないのは、打ち方とか投げ方ではなく、考え方。身体能力を失うことはあっても、考え方はほぼ失うことがありませんからね」

夢をかなえるためには、第一に目標を見定める必要がある。佐々木は自身を反面教師に、生徒たちにその方法論を説いている。

「私にはプロ野球選手という目標がありましたが、夢と目標と決意の区別がつかず、夢をかなえる秘訣が分かりませんでした。例えば『太ってきたので、痩せたい』というのは、目標ではなく決意。『今日はこれしかカロリーを摂らない』が目標。そうやって追っていくと、必ず結果が出ます。これって足し算や掛け算より、本来であれば小学生のときに教わらないといけないテクニックだと思います」

72のアクションとして具体化

夢をかなえるために、花巻東で導入されているのが目標達成用紙(図を参照)だ。例えば大谷は高校1年生のとき、「ドラフト1位で8球団から指名される」ことを掲げた。それを縦、横3×3のマス目の中央に書き、夢をかなえるために必要な要素を周囲の8マスに記す。

次に、その8要素をそれぞれ3×3で並ぶマス目の中心に書き、それぞれの項目を達成するために求められるものを周囲のマスに書いていく。この作業を行うことで、どうすれば夢をかなえられるかが72のアクションとして具体化されるのだ。

夢をかなえるためには、発想のコツもある。例えば球速160kmを出したいと思ったら、163kmくらいに目標を設定するのだ。それは、花巻東の代名詞のように言われる「全力疾走」の考え方にも通じる。

「僕自身がそうなのですが、あの電信柱まで全力で走ろうと思っていたら、その2、3歩手前で抜いてしまう。だから、電信柱の先にゴールを設定します。うちの全力疾走ではベースをゴールにせず、3mくらい先がゴール。その考え方は目標設定でも同じことです」

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最終更新:3月27日(金)10時31分

NewsPicks