41道府県議選などが行われた統一地方選の前半戦で12日、大阪府議選と同市議選で、橋下徹大阪市長(45)が代表を務める地域政党・大阪維新の会が“上西ショック”も何のそのの善戦を果たした。いずれも単独過半数の獲得はできなかったものの、改選前の勢力を上回り、第1党を維持。“浪速のエリカ様”とは一線を画す新たな女性議員の象徴も誕生した。
維新の会は府議選で、議席占有率を41%から48%に上げた。前回は定数109のうち45議席を占めたが、新定数88で行われた今回は42議席を獲得。市議選では改選前の29議席を上回る36議席を得た。ただ、橋下氏が掲げる大阪都構想の推進を左右する過半数には届かなかった。
大阪を地盤にする上西小百合衆院議員(31)に“ズル休み”疑惑が持ち上がり、所属する維新の党と大阪維新の会は同議員を除名処分に。統一地方選への影響も懸念されたが、余波は少なかった。橋下氏が先手を打って上西氏に厳しい処分を下したからだ。
「あのときに除名していなかったら、尾を引いていた。『維新は何やってんねん』という批判にもつながった」と維新の会幹部。選挙結果は、現状で賛否が二分されている5月17日の大阪都構想の住民投票に弾みをつけた格好となった。
市議選では元グラビアアイドルの佐々木りえ氏(32)が初当選。佐々木氏と上西氏は維新政治塾の同期という間柄だが、歩んできた道は大きく異なる。
上西氏が初当選した2012年の衆院選で佐々木氏は敗れ、13年の東京都議選でも連敗。今回は“落下傘候補”として、夫でボートレーサーの中野次郎(33)とともに大阪市住之江区に住居を移して、3度目の選挙に挑んだ。住之江区は4人区で、維新の会は2人を擁立。激戦の末に2人が当選し、維新の会の躍進を象徴する区になった。
三度目の正直を果たした佐々木氏は「とにかく、みなさんのおかげ。このまま、大阪都構想の住民投票まで走り続けたい」と笑顔を見せた。不安なのは議員になったことによる“上西化”だが、心配は無用のようだ。
支援者の一人から「これからは先生って呼ばないと」と言われると、佐々木氏は「やめてください。一生、りえちゃんでお願いします」。祝福に駆けつけた東徹参院議員(48)からも「選挙のやり方を見ても、しっかりと場数を踏んで、経験もしているのがよく分かる。上西みたいにポッと通ってきたのとは違います」と太鼓判を押された。
中野も感慨深げだ。長女・百花ちゃん(3か月)が生まれたばかりで、3月にはボートレースのGIで優勝した。休日返上で妻の応援にも駆けつけるハードスケジュールだったが、「全てがプラスに働いた。体重も落ちましたし、最近の好調は(市議選の)影響なのかもしれない」と充実感をにじませた。年末のSGグランプリは住之江ボートレース場で開催。「いい成績を収めていかないといけない」と、妻の支援をしてくれた地元のボートレースファンへの恩返しを誓った。
佐々木氏は最後まで平身低頭。支援者に感謝の言葉を述べながら「ヒールでカツカツ歩いていたら、お尻を叩いてください。これからもスニーカーで頑張ります」と宣言。上西氏を“反面教師”にした、新たな維新の象徴の誕生になった。
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