朝鮮中央通信によると、北朝鮮の国会に当たる最高人民会議が9日、平壌で開かれ、人事や2015年度の国家予算などが報告された。金正恩第1書記の出席は伝えられず、欠席したとみられる。最高人民会議は年1~2回開かれ、金正恩体制では今回で6回目。金第1書記は、脚の不調が伝えられた昨年9月を除いた4回は全て出席していた。その北朝鮮が今月15日の故金日成国家主席の誕生日に向けて祝賀ムードを盛り上げる狙いで、開発中の長距離弾道ミサイルを日本海側に向け発射する準備を進めている。
米本土防衛を担当する北方軍のゴートニー司令官は7日、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功し、開発中の移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)KN08に搭載する能力を既に持っているとの認識を示した。韓国国防省報道官は9日、ゴートニー氏の認識に否定的な見方を示し、定例記者会見で「まだ核兵器を小型化し、弾道ミサイルに搭載したとの情報はない」と語った。
平壌情勢に詳しい関係者は「KN08は4段式のミサイルといわれる。射程は3000キロメートル。運搬車両は16輪です。脱北した軍人などの証言によると、今度のミサイルは北朝鮮国内で『火星12号』と呼ばれています」と明かす。
北朝鮮は1998年、射程2000キロメートルのテポドン1号(光明星1号)と呼ばれるミサイルを日本海に向けて発射実験を行った。テポドン1号は日本列島を越えるコースを飛行し、1段目は日本海、2段目は太平洋に落下して大騒動に発展した。
政府関係者は「テポドンより射程が長いKN08は、日本海に面した場所に移されたという情報も流れている。北朝鮮が本当に長距離ミサイルを発射するなら、11~14日とみられます。安倍政権は米軍と協力してミサイル発射の兆候をつかめば、北朝鮮に抗議する方針です。事前通告なしに日本列島を越えるミサイルを飛ばされたらたまったものじゃない」と警戒を強めている。
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