統一地方選の前半戦が12日、終わった。10道県の知事選を中心に総じて自民、公明の与党が有利に戦いを進めた。多選知事が増え、道府県議選で無投票当選者が続出するなど、地方政治の活力が低下している現状は心配だ。
与野党が実質的に対決した北海道と大分の知事選ではともに与党が支援する現職が勝利した。現職のこれまでの実績に加えて、安倍内閣の政権運営に一定の評価が与えられたといえよう。
北海道の高橋はるみ氏は道政史上初の4選知事になる。歴代の女性知事としても初の4選だ。大分の広瀬勝貞氏も終始安定した戦いで4度目の当選となった。
他の8県の知事選でも与党もしくは与野党の支援を受けた現職が当選した。5つの政令指定都市の市長選では、札幌市で現職の後継候補として野党の支援を受けた秋元克広氏が初当選したが、残る4市は現職が勝利した。
今回当選した10人の知事をみると、高橋、広瀬の両氏に加え福井の西川一誠氏、徳島の飯泉嘉門氏が4選になる。知事全体ではこれで8人が当選4回以上になった。
手堅い行政運営が評価されている面もあるから、一概に多選が悪いというわけではない。しかし、新人候補を擁立する政党の力が低下している結果とすれば、多選知事の増加はやはり問題だろう。
41の道府県議選では全選挙区の3分の1が無投票になり、総定数の5分の1が無投票当選になった。投票する機会さえ与えられなかった有権者が多かったのだから、候補者不足はゆゆしき事態だ。
そのひとつの原因は野党第1党の民主党にある。道府県議選の公認候補を4年前の前回(571人)より4割少ない345人しか擁立できなかった。依然として党勢回復のきっかけをつかめず、候補者難に苦しんでいるためだ。
安倍政権が地方創生を掲げるなかで、今回の統一地方選では人口減少が続く各地域をどうやって活性化するのかが争点だった。候補者の主張すら聞けない地域が続出したことは残念でならない。
どうすれば地方政治に活力を取り戻せるのか。空洞化をこれ以上進めないためにも、より立候補しやすい環境を整えるべきだろう。
道府県議選の投票率で軒並み前回を下回り過去最低が相次いでいるのも深刻だ。地方自治は有権者が自ら参加することからはじまるのを改めて確認する必要がある。