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 航空自衛隊は13日、空自那覇基地(那覇市)で、領空侵犯のおそれがある他国軍機などに対する緊急発進(スクランブル)訓練を報道陣に公開した。公開のさなか、実際に発進命令が出て、F15戦闘機2機が飛び立つ場面もあった。

 「ピピピピピ」。実際に発進準備を命じる電話が鳴り、那覇空港の滑走路脇にある警戒待機所から、パイロット2人が専用格納庫へ向かって走り出した。それぞれミサイルを搭載したF15戦闘機のコックピットに滑り込むと、民間機の離着陸の合間を縫って北西へ飛び立った。空自は緊急発進の理由を明らかにしなかった。

 尖閣諸島をめぐる日中間の緊張の高まりとともに、那覇基地からの緊急発進は急増し、2010年度は115回だったが13年度は402回と4倍近くに。14年度も昨年末時点で379回だ。対中国機が中心という。

 緊急発進する戦闘機が待機するのは那覇をはじめ、千歳や小松など全国の7基地。中国漁船衝突事件があった10年度は計386回だったが、13年度には810回と倍増した。14年度は中国機に加え、ウクライナ情勢の緊迫を背景にロシア機への緊急発進が急増。昨年末時点で744回で、年度を通じて過去最多だった1984年度の944回に匹敵する見通しだ。(福井悠介)