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4月12日に投開票が行われた統一地方選挙で、ネット上の人気者となった候補者がいる。千葉市議会議員に立候補したニートの上野竜太郎氏(25)だ。残念ながら落選してしまったが、供託金の没収は回避。ネット上では健闘を讃える声が挙がっている。

上野氏は同市の花見川区選挙区から立候補。無所属で全く後ろ盾がない状況だったが、最終的に1399票を獲得した。15人中12位だったので、定数の10位以内には入らなかったものの善戦した形だ。

「私は今回の選挙で8000円しか使っていません」

ブログによると、上野氏は中学2年生のころから引きこもり状態。自己紹介でもこんな風に書いている。

「私は、ニートです。私は、毎日自分の部屋にこもり一人で過ごしています。私には、友達はいません。知り合いすらいません」

しかし本やニュースで日本の現状を知り、問題意識を持つようになった。ブログでは、若者の貧困や、サービス残業に苦しむサラリーマンなどの社会問題に触れ、「人生に絶望してしまっている人々が未来に希望を持てるような そんな国に、私は暮らしたい」と宣言。市議会議員に立候補ができる25歳になったのを契機に出馬した。

「ニートの若者候補者」ということで4月上旬からネット上で話題になり、ツイッターのフォロワーも1万3000人を突破。特に注目を集めたのが、なるべくお金をかけないという選挙戦スタイルだ。

選挙ではポスターや選挙カーの費用を公費負担できるが、上野氏は全て自腹で工面。「上野竜太郎 ニート 25才」と書かれただけのシンプルなポスターを自作して、コンビニでコピーした。選挙カーも使わずに自転車で各地を回り、投開票後の13日にも誇らしげに「私は今回の選挙で8000円しか使っていません」とツイートしていた。

「若い人達が未来に希望の持てるような社会になれば」

そんな上野氏を見守るネット民が心配していたのが供託金の没収だ。一定の票数を獲得しないと、千葉のような政令指定都市の市議会選挙では50万円没収されてしまう。

しかし1399票を獲得したことでこれを無事回避。ツイッターには「私の様な底辺の人間にとって50万円という供託金はとても大きな金額です。皆さんが私を救って下さったのだという事、生涯忘れません」と支持者への感謝の気持ちを綴った。

また、今回自分が立候補したことで、政治が若者にとって身近なものになることを期待しているという。

「若い人達の主張が政策に反映される様な議会になれば、若い人達が未来に希望の持てるような社会になれば、私はとても嬉しいです」

今後については、「平凡な社会人」として社会に貢献していきたいとしている。4月上旬には「よし!選挙終わったら面接行くぞ!」と書いていたので就職を目指すのかも知れない。当選はできなかったが、上野氏の奮闘ぶりは多くの人に感銘を与えたようで、ネットには

「上野竜太郎さんすげえなあ。同年代&ひきこもりとして素直に尊敬するよ。あんなことできないわ」
「私にまで生きる勇気のようなものを与えてくれた」「感動をありがとう!」

といった声が出ていた。

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