2015年4月9日02時00分
沖縄の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄の対立が先鋭化している。そのなかで日米防衛相会談が何事もなかったかのように進められたのは、一体どういうことなのか。
来日中のカーター米国防長官と中谷元・防衛相による会談がきのう防衛省で開かれた。
今月末に予定される日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改定に向け、詰めの協議を進めていくことで一致。日米協力と安保法制について比較的長めに話し、政府と沖縄の意見の違いについて詳しいやりとりはなかったという。
菅義偉官房長官が沖縄を訪問し、翁長雄志県知事と会談したばかり。日米安保と負担の問題を、両国間で議論する絶好の機会だったはずだ。なぜ、もっと沖縄の現状を語らないのか。
中谷氏は共同会見で「辺野古への移設については普天間の固定化は避けなければならない。これが大前提であり、政府と地元の共通認識だ」と述べたが、誤解を招く表現だ。
翁長氏が菅氏に伝えたのは「辺野古の新基地は絶対に建設することが出来ない」ということだった。「辺野古が出来なければ本当に普天間は固定化されるのか」とも問いかけた。世界一危険な基地だと認識しながら、それを放置できるのか、という疑問である。これだけ考え方に差があるのに、共通認識だと説明するのは無理がある。
翁長氏が当選した昨年11月の県知事選が分水嶺(ぶんすいれい)だった。政府はまず、そのことを認識しなければならない。もはや地元の移設拒否の民意は逆戻りできないところに来ている。
政府は反対の強さを見誤っているのではないか。かつて沖縄県知事や名護市長が条件付きで辺野古移設を認めたことがあるが、そのときから局面は大きく転換している。埋め立て工事を強行すれば、県民の心に決定的な傷痕を残すだろう。
これだけ米軍基地が集中している沖縄で、「ヤマト(本土)対沖縄」の構図が鮮明になり、さらに反米感情が高まれば、危機管理の観点からも大きな問題になる。そもそも、それを避けるための普天間返還ではなかったか。県民の声に背を向け、米国ばかりに目を向ける姿勢は問題の解決につながらない。
安全保障は民意の支えなしに成り立たない。新ガイドラインも安保法制も、しかりである。特に沖縄はその試金石となる。日本政府は沖縄の現実を正面から受け止め、米政府と実現可能な対応策を協議すべきだ。
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