コラム:日欧を批判した米為替報告書の「偽善」
Daniel Indiviglio
[ワシントン 10日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米国は新たな1次産品を輸出している。それは「偽善」だ。米財務省が9日に公表した為替報告書は、日本とユーロ圏の経済が中央銀行の金融緩和に過度に依存していると批判し、さらなる財政支出や構造改革を求めている。
しかし、米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートが2008年の金融危機以降で約4倍に膨らんでいることや、米議会の機能がまひしていることを考えれば、こうした批判はあまり適切とは言えない。
もちろん、米財務省が同報告書で指摘していることは概ね正しい。ユーロ圏と日本は政策をもっとバランス良く組み合わせた方が恩恵を受けることができたかもしれない。だがそれは米国も同じだ。長い間、財政問題が政治的行き詰まりのあおりを受けるなか、FRBは量的緩和策を続けた。
確かに、現在の日銀のバランスシートは2014年の国内総生産(GDP)の60%強に達する。これは、FRBの同約25%と比べればはるかに大きい。だが、日銀の資産が2008年以降で3倍に増えた一方、FRBはそれまでの4倍となる約4.5兆ドルまで資産を膨らませた。一方、欧州中央銀行(ECB)のバランスシートの対GDP比は米国を少し下回る程度で、資産は半分程度しか増加していない。
また、経済協力開発機構(OECD)のデータによれば、日本は米国よりも大きな財政赤字を抱えている。財政赤字の対GDP比は日本が8.4%だったのに対し、米国は3.9%。バーナンキFRB前議長は、もっと財政刺激策を講じるよう議会に繰り返し要請していた。
今回の報告書では、為替操作をしていると他国を批判することはしなかった。同報告書の作成者は、自分たちも「たたかれれば埃が出る」と分かっていたに違いない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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