佐藤英彬
2015年4月13日17時54分
戦後70年の今年、愛知県内の高校生らが、全国各地で平和を呼びかける多くの催しを計画している。19日に前夜祭があり、断続的に12月まで続く。「原爆の火」の自転車リレーや70万羽の折り鶴アートなど。大人になった時も平和であってほしい。そんな思いを込めた手作りの取り組みだ。
■「無関心」変えた語り部
催しは「高校生・戦後70年『未来』プロジェクト」。同県内の私立高校の生徒が中心のボランティア組織「愛知県高校生フェスティバル実行委員会」が主催し、現時点で大小12の企画を検討中。実行委は約30年前に結成され、現在では県内約50校600人が運営に携わる。歴代の実行委は、生徒や部活動の学校間交流を深める催しをする一方で、平和に関するイベントも節目節目でやってきた。
今の実行委も昨冬、戦後70年を前に平和企画を立案。しかし、戦争について考えたことがあるメンバーは少なく、節目の催しに過ぎなかった。それが変わったのが今年に入ってから。2~3月に戦争体験者の話を聞いて、伝える価値を見いだした。
「私たちは戦争を体験してないし、死の恐怖というのを感じていない世代。それは学ばないと気づかないし、わからない」。委員長で愛知淑徳高校3年の足立知奈津さん(17)は、戦争体験者の話を聞いたことをきっかけに、戦争について考えるようになった。空襲警報が鳴り響き、焼夷(しょうい)弾で街が焼け野原になる。「死の恐怖」と隣り合わせの生活を想像して身震いした。「感じたものを伝えないといけない」。そう思った。
「戦争」は高校生には遠い出来事だ。実行委を支える教員らによると、修学旅行先の沖縄で語り部の話を聞き、「自分には関係ない」などと話す生徒が増えたと感じているという。
副実行委員長で名古屋経済大学高蔵高校3年の日比野和真さん(17)も同じだった。映画などで戦争の歴史に触れても、実感がわかず「あまり関係はない」と思っていた。3月に会った語り部は、自身の祖父と年齢が同じくらい。戦争の悲惨さを一生懸命伝えようとしている姿に心が動いた。
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