統一地方選はきのう前半の投票があり、10道県の知事選はいずれも現職が当選した。

 前半戦で際立ったのは、道府県議選での民主党の候補擁立の低調さと無投票当選だ。無投票の増加は26日の市区町村長・議員選でも懸念されている。

 自民党の1強体制のもと、こうした選挙が繰り返されるようでは、日本の自治や民主主義はやせ細っていくばかりだ。政党の存在意義すら問われかねないこんな状況を、座して眺めているわけにはいかない。

 2012年から国政選で連敗を重ねる民主党は、今回の地方選を「党再生の第一歩」(岡田代表)と位置づけていた。だが、知事選で与党との対決構図に持ち込めたのは北海道と大分だけ。道府県議選では共倒れを避けるなどの理由で公認候補を前回より約4割も減らした。

 自民党や共産党は候補者を増やしたが、道府県議選では全選挙区の33・4%、総定数の21・9%が無投票となった。山形県議会は告示日に早くも自民党の過半数が確実となった。

 民主党幹部は「もはや民主党は都市部で風によって当選できる党ではない。農村部での足腰も弱い」という。地道な候補者育成を怠ってきたツケは大きく、地方での足場が弱いままでは来夏の参院選にも影響する。国会に緊張をもたらすためにも党の立て直しは急務だ。

 後半の市区町村の議員選では、無投票どころか候補者が定数に足りず、規定を超える欠員が出た際に実施される再選挙を避けるのに四苦八苦の自治体もあるという。

 こうしたなり手不足の背景のひとつに、議員の職に「やりがい」を見いだせなくなったとの指摘がある。

 どの自治体も財政が苦しく、かつてのように地元のインフラ整備に予算を引き出すことができなくなった一方で、介護保険料の引き上げのように住民に負担を強いねばならないことが増えてきたのが理由だという。

 そうした「旧来型」でない議員をめざそうとしても、サラリーマンであれば職を捨てる覚悟など、立候補には相変わらず高いハードルがある。

 議場でのやりとりは形式的で、首長の出す条例案の追認ばかり。選挙も同じような顔ぶればかりでは、投票率が下がるのも無理はない。

 もはや「投票へ行こう」といったかけ声だけですむ話ではない。首長と議会との関係や住民参加など、地方自治のあり方を根本から問い直すべき時に来ているのではないか。