さいたま市北区:ダブル無投票に「投票させて」785人

毎日新聞 2015年04月10日 22時14分

 ◇県議選と政令市議選 市選管は「投票に来ないで」

 ああ、無投票−−。統一地方選の埼玉県議選と政令市のさいたま市議選がダブル無投票となった同市北区で、選挙になったと勘違いした有権者が続々と期日前投票に訪れ、市選管が広報車3台で「投票に来ないで」と呼びかける事態となっている。投票所となるはずだった区役所など2カ所を訪れた有権者は9日までに785人を数え、職員が対応に追われている。

 同市北区の有権者数は2日現在11万5584人で、県議選南4区選挙区(定数2)と市議選北区選挙区(定数7)に該当するが、ともに無投票だった。

 10日、期日前投票で区役所を訪れた会社員の畠山悠梨さん(23)は、無投票だったと知らせる張り紙に落胆の表情を見せた。告示前に投票所の入場券が届き、仕事が休みでわざわざ来た。「これまで必ず投票してきた。女性議員が増えてほしいので女性に投票しようと思っていたのに」

 やはり区役所に来た60代の夫婦は「報道で無投票と聞いたが、念のため来た。信任か不信任かも示せないのは納得できない」。悔しげな表情で、無投票の告知をカメラ付き携帯電話で撮影していた。

 市選管は区内の大型店や鉄道3駅にも張り紙を掲示。投票前日の11日から広報車を5台に増やし、当日12日は投票所に予定していた区役所に職員が待機する。担当者は「県議、市議のどちらかは選挙があるだろうと思って来る人が多い」と頭を抱えている。

 一部選挙区で告示前に入場券が郵送された広島県議選でも、無投票となった大竹市選挙区(定数1)で10日午前までに約50人が無投票と知らず期日前投票に訪れた。

 香川県議選で初の無投票となった県庁所在地の高松市選挙区(定数15)では、市選管に有権者から数百件の問い合わせが殺到。無投票だったと知らず「投票所の入場券が送られてこない」という問い合わせも多く、10日だけで約60件あった。【西田真季子、鈴木理之、大西岳彦】

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