コラム:膨張する歳出圧力を制御できるか、「国債急落」の現実度

2014年 09月 26日 14:40 JST
 
  • Mixiチェック

北海道と北陸の各新幹線の前倒しには5400億円がかかり、2000億円を民間から借り入れるとの構想のようだが、3400億円分は今のところ、宙に浮いたままだ。

世界で最も深刻な財政危機に直面している国の政府・与党が、こうした検討をしていて、果たして「債務を返済する気があるのか」と、市場から思われたらどうするつもりなのだろうか。

仮に10%への増税を実施して、整備新幹線の前倒し開業に代表される政治家の歳出増大圧力を放置したままなら、引き上げ分は社会保障費に充てるという政府・与党の約束は「空文化」するおそれが高まると指摘したい。

また、社会保障制度を今の少子・高齢化社会における支払い能力に見合った制度に変更していく「勇気」が、安倍政権になければ、10%に引き上げても、10年を待たずに日本の財政悪化の深刻さが、内外から指摘されることになるだろう。

<安倍政権の覚悟問われる歳出管理能力>

歳出膨張圧力のコントロールが安倍政権にとって、極めて重要であるとあらためて指摘したい。もし、この点に関し、無力であることを露呈した場合、市場は反乱を起こすだろう。

私は、債務膨張を抑止し、着実にプライマリーバランスを改善する強い意思と着実なプランを示すことができれば、来年10月の消費税10%実施を延期しても、直ちに長期金利急上昇することはないだろうと予想している。

しかし、101兆円を超すような概算要求に対し、大ナタを振るうこともせず、地方創生予算でばらまきまがいの査定が横行するなら、マーケットには安倍政権の政策実行力に対し、疑問が広がることになるのではないか。   続く...


 

この記事に対する皆さんのコメントをお寄せください

コメント投稿の注意
blog comments powered by Disqus
 
写真

「普通の米国人の擁護者に」

米民主党のヒラリー・クリントン前国務長官は、インターネットで発表したビデオ声明で2016年大統領選への出馬を正式表明。
  記事の全文 | 特集ページ 

注目の商品

 9月26日、市場が注目する消費税の再増税では、「景気優先」か「財政再建」かという対立軸に焦点が当たっている。安倍晋三首相は「ハムレット」並みの苦渋の決断を迫られている。2013年10月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

話題の記事

コラム ランキング

(24時間以内のアクセス)

外国為替フォーラム