【北京=島田学】中国の2015年の国防予算は引き続き米国に次ぐ世界2位となる見込みだ。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の傅瑩報道官は4日の記者会見で15年国防予算について「前年実績比の伸びは、だいたい10%前後」と述べ、過去最高を更新するとの見通しを示した。8890億元(約17兆円)規模となる計算だ。
ドル換算では、5343億ドル(約63兆円)を計上した米国の16会計年度(15年10月~16年9月)の国防予算案(戦費除く)の約4分の1に相当する。円換算では、日本の15年度防衛予算案(約4兆9800億円)の約3.4倍の規模だ。2兆4672億ルピー(約4兆7800億円)としたインドの15年度国防予算案の約3.5倍にあたる。
中国の国防予算の増額は、世界の軍拡を誘発する一因だ。最新の予算案では、日米印各国が中国への対応などを念頭に、それぞれ国防関連予算を前年から上乗せした。なかでも日印両国は過去最高額を計上した。対中脅威論が根強い東南アジアなど周辺国の軍拡につながる可能性がある。
英国のシンクタンク、国際戦略研究所(IISS)によると、14年の世界全体の軍事費総額は前年比3.6%増えた。インフレ率などを加味した実質ベースで4年ぶりの増加に転じた。アジア全体での13年から14年にかけての軍事費増加額のうち63%を中国が占めるなど、中国の軍拡が突出していると指摘した。
中国の15年国防予算の具体額は、李克強首相が5日の政府活動報告の中で発表する。14年の国防予算は前年実績比で12.2%増の8082億元(約15兆4300億円)だった。今年も伸び率が10%以上なら5年連続の2けた増となる。
国防予算、李克強