2015年3月27日、みなとカーニバルの第2弾『姉小路直子と銀色の死神』が発売された。
タカヒロ氏原点回帰の"姉ゲー”とくればプレイしないわけにはいかず、発売日に購入。ひと通り遊んでみたので、以下レビュー。
ネタバレ注意。ぶっちゃけバレてどうこうなるようなネタなんてありゃしないけどな!
【みなとカーニバル】姉小路直子と銀色の死神 OP - YouTube
本作は主人公のシンクローとその姉の直子、そして留学生キルスの3人(とその他大勢の姉属性キャラ)の日常を描く。
素晴らしく個性的なキャラ達が彩る日常劇
タカヒロゲームの目玉といえばなんといっても個性あふれるキャラクター達だ。
今作も例に漏れず、登場するキャラクターたちもそれぞれ強烈な個性を放ちまくっている。さらに毎度のことながら金に糸目は付けんと言わんばかりの豪華声優陣がキャラクターに息を吹き込んでいるため、どのシーンを抜き取ってみても笑いがたえない。
個人的には主人公の担任の富士先生などとても好ましい。あの飄々とした柳のような性格に桑谷夏子甘井林檎氏の声と演技がドはまりしていて最高だ。
ボイスは公式HPで聞けるので気になった人は参照されたし↓
http://www.minatocarnival.com/anekouji-sd/character-s.php
その他にも個性的なヒロインが数多く登場しているので、きっとお気に入りの娘が見つかるはずだ。
キャラクターの数は多いものの、それぞれが基本3~5人程度のグループに分かれて行動しているために雑多な感じがしないのも良い。・・・ワンシーンの登場人物が6人を超えると途端に相関関係の把握が面倒なるのは何故なのだろう(単に私の脳内メモリが残念なだけかもしれないが)。
正統派のナオ姉・個性派のキルス
さて、メインヒロインの話に移ろう。一人目の姉小路直子はタカヒロ作品にしてはめずらしい、ど真ん中ストレートな正統派姉キャラだ。しっかり者で頼りがいがあり、なんだかんだ言いながら弟の世話を焼かずにはいられない甘々おねいちゃん。逆に新鮮味を覚えるほどに王道なキャラクターに仕上がっている。純度100%の可愛いお姉ちゃんだ。
一方で、キルスの方はフィンランドからの留学生で死神の異名を持つ現役軍人、となかなかにキャラが濃い。なにを隠そう、ゲームをプレイするにあたっての私の一番のお目当てはこのキャラだった(他人の感想を拝見、拝聴してもキルス目当ての人は多いようだ)。
タカヒロ氏が手掛ける眉毛逆ハの字型笑顔のヒロインはいつだって天下一品だ。系譜の一員たるキルスも、十分以上に期待に応えてくれる魅力的なキャラに仕上がっている。かっこよくてかわいい。普段はきりっとしてるのに主人公の前だとフニャっと笑うのサイコーですよ・・・。
それにしても白猫参謀さんは絵柄がずいぶん変わったように思う。もともと綺麗な絵を書く御方だったけど、一段と魅力的なイラストを描かれるようにになった。
ゲーム中盤のクリスマスパーティにおけるキルスのCGを観た時には、あまりの美麗さにため息が出た。未プレイの人のためにあえて画像添付はしないので、気になった方は実際にゲームをプレイして確かめていただきたい。
魔性の年上キラー 姉小路新九郎
続いて主人公のシンクロー君について。
ずばりモテすぎ。というより、彼のソレはすでに特殊能力の領域に足を突っ込んでいる。相手が年上である限り、彼がそこにいるだけで何もしなくても女のほうが勝手に堕ちるという異常事態が当たり前のとんでもない姉キラーである。公式HPの人物紹介には“年上にからかわれてしまう苦労人”とあるものの、全然苦労してるようには見えんのですが・・・。
そんな彼が主人公ということで、ゲーム開始時点でヒロインの大半が半ば攻略済みという超イージーモード。まじこいで言えば登場人物が全員ミヤコみたいな状態になっている。正直、主人公がモテることに説得力のある説明が無いままヒロインが勝手に堕ちていくさまにはちょっと鼻白むところがある。まあでもある意味では、清く正しいエロゲーの主人公といえるかもしれない。このへんは人によって捉え方が違ってくるだろう。
一応フォローしておくと、「立派な男になる」という目標に向かって日々鍛錬を欠かさないひたむきさや、過去のトラウマにきちんと向きあって逃げようとしないところなどちゃんと好感をもてる主人公ではあった。一方で姉離れも出来ず、年上に押されれば流されるがままに性行為に及ぶ軟派さは どうかとも思ったが。
小気味良く愉快なシナリオ しかし物足りなさも否めず
既に何度か言っているが、このゲームの最大の魅力は個性的なキャラクターが織りなす会話劇だ。ゲームの始まりから終わりまでだらけすぎず、張り詰めすぎずの絶妙なテンションで繰り広げられる日常は飽きが来ず、ついつい時間を忘れて読み進めてしまう。読み進めば読み進んだ分、ただでさえ愉快なキャラクター達の個性がいっそうににじみ出てくるのでずっと読んでいたいと思えるほどだ。
残念なのは、ずっと読んでいられるほどシナリオの分量が多くないこと。ミドルプライスゲームということもあって、固有ルートを持っているのはナオ姉とキルスの2名のみ。その2つの固有ルートでさえ、はっきり言ってかなり短いと感じる分量しかなかった。
さらに、固有ルートの内容もちょっとがっかり。キャラ同士の掛け合いこそ面白いものの、ストーリーそのものに起伏がほとんどない。ルートに入ったとしてもヒロインといちゃつくばかり(いちゃついている最中のヒロインは最高に可愛いからそれ自体は問題ないのだが)で、山場といえるほどの山ものなく、気づけばいつの間にかエンディングを迎えている。スタッフロールを見ながら「・・・これで終わり?」とあっけにとられてしまったのはきっと私だけではないだろう。せっかく魅力的なヒロインなのに、まだまだいくらでも掘り下げらるところはあるだろうに、と思わずにはいられなかった。そんなところまで原点回帰しなくていいんですよタカヒロさん・・・。
キャラゲーとしては最高 続編を待つ
総じて、このゲームの魅力はキャラにこそあるといっていい。シナリオ面はボリュームにおいて非常に不満が残る内容だった。税別¥6,900という価格も、総CG数75枚(差分含めず)、ボーカル曲はOP、ED合わせて5曲6種類(なお友情ルートのEDは必聴)、OPはハイクオリテイなアニメーション付きであることを考えれば不当に高いとは言わないが、消費者視点ではお世辞にもコストパフォーマンスが良いとは言いづらい。
とはいえ商機には敏感なタカヒロ氏のこと、これだけ食べるところが残ってるゲームをこのままポイしてしまうとは思えない。ルートを持たない多くのヒロインは言うにおよばず、メインの2人でさえまだまだ底が見えていないので、そう遠くない内にFDなり続編なりが出てくると勝手に期待している(辻堂さんだってバージンロード出たしね)。
・・・続編といえば、既にゲームは発売されているにもかかわらず公式HPの人物紹介にまだ未公開の枠が残ってるのが地味に気になる。ただのミスなのだろうか。
以上より、購入を迷ってる方は、よほど娯楽に飢えているか、または重度のタカヒロファンで無い限りはとりあえず"見”が無難だろう。
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おまけ
タカヒロゲームの魅力といえばもうひとつ、自重をしらないパロディの連発を抜いては語れない。とくにタカヒロ氏は特撮に造詣が深いこともあって特撮ネタが非常に豊富に出てくる。この辺り、いち特撮ファンとしては大変好ましい。
そこで、ひと通りプレイして目についた特撮ネタを以下に挙げていく。だれも求めてなくても挙げていく。
おそらく見落とし&私の知識不足による勘違い等が多数あるので、見つけた方はぜひブコメなりブログコメントなりに「無知乙www」とでも書き込んで欲しい。心に余裕のある方は正解を併記してくださると私が喜ぶ。
1)第一話タイトルカット
開幕超必ぶっぱである。タカヒロさん、アンタ最高だ。
ゲームスタート後、2クリックでこのカットになる。正直、体験版をプレイした当初は10秒ほど笑いが止まらなかった。
言うまでもなく、元ネタは『帰ってきたウルトラマン』のタイトルカット。サブタイトルそのものもパロディされている。
元ネタ↓
2)カマボコマンのベルトさん
現在放送中、『仮面ライダードライブ』のフォームチェンジ時のベルト音声のパロディ。
ターイーヤーコウカーン!
タカヒロ氏、相変わらず流行に敏感である。
3)カマボコマン必殺技
パロディどうこうの前にこのシーンにCG5枚もさいてんじゃねーよと激しく突っ込みたい。メッセージウインドウを見ていただければわかるが、この間私は一度もクリックをしていない。そしてこれ以降、これらのCGは二度と使用されない。
元ネタは本編中でシンクロー君も言ってる通り、ウルトラマンタロウの自爆技『ウルトラダイナマイト』。タロウ劇中では1度しか使われていないにも関わらず、自爆技というインパクトからやたら知名度の高い必殺技である。
4)第三話タイトルカット
初代ウルトラマンのタイトルカット+仮面ライダー龍騎第43話サブタイトルの合わせ技・・・だとおもう。2作品に関連性が見いだせないので、ひょっとしたら私の勘違いかもしれない。ちなみに、ウルトラマンのタイトルカットはこんな感じ↓
5)タマラさんの告白
正体の告白でBGMがピアノとくれば、真っ先に思い浮かぶのはウルトラセブン最終話。ダンがアンヌ隊員に自分がセブンだと打ち明けるシーンだ。
まぁこれをパロディというのは少々無理筋な気もするが、しかしタカヒロ氏がかのシーンを知らんとは到底思えないので、少なくとも着想のフックぐらいにはなってるだろう。タマラさんも"世直し三太の正体は私”ではなく、"私の正体は世直し三太”と言ってるくらいだし。
「ウルトラセブン」最終回#2 衝撃の告白 - YouTube
6つめ 回想中のひつじキック
みんな知ってるライダーキック。
語調から仮面ライダーカブトのソレと判断できる。
7つめ 第六話サブタイトル
ウルトラセブン第14話、第15話サブタイトル「ウルトラ警備隊西へ」が元ネタでは無いかと思う。『独立愚連隊西へ』等、セブンより古い例も見受けられるので断言はできないが・・・。また、タイトルロゴのデザインも見覚えがないので分かる方いらっしゃったら情報を頂きたい。
8)第七話サブタイトル
帰ってきたウルトラマン第37話サブタイトル「ウルトラマン夕陽に死す」からだと思われる。これまたタイトルロゴの元ネタがわからない。帰ってきたウルトラマンのアイキャッチに似てなくもない?・・・いや似てないか。
番外編 ニスケの一言
ヤロウ……タブー中のタブーに触れやがった……………
おまけ2
学生時代の富士先生がマジ好みなのでスピンオフお願いしマス。なんでもしますから。