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法案審議を滞らせる国会の構造問題

2015/4/11付
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 2015年度予算が成立し、通常国会は後半戦に入った。安全保障法制の整備など重要課題が目白押しだが、気がかりなのは法案が集中し、審議が滞りそうな委員会がいくつかあることだ。熟議は大事だが、古い慣例に縛られ法案処理が非効率になっていないか。国会運営のあり方を見直すときだ。

 今国会の法案のうち安保関連は衆参両院とも特別委員会を置き一括して審議する見込みだが、それ以外は常任委員会で扱う。このうち最も渋滞が予想されているのが、厚生労働委員会だ。

 昨年からの持ち越しである労働者派遣法改正案のほか、同じ労働分野では高度な専門職の報酬は労働時間の長さでなく、成果で決めてよいとする労働基準法改正案がある。社会保障分野では年金の支給水準を小刻みに下げていく公的年金制度改革法案、国民健康保険の運営主体を市町村から都道府県に移す改正案などが対象となる。

 人口減や少子高齢化に伴い、日本社会は年金・医療や雇用制度の大改革を迫られている。政府は今後も不当解雇を金銭補償で解決する仕組みづくりなどを進める意向で、厚労委の渋滞は今年だけの問題ではない。

 原因はどこにあるのか。01年の中央省庁再編で総務、厚生労働、国土交通の各省などの巨大官庁が生まれ、内閣府も肥大化した。国会もそれに合わせて常任委を再編した結果、総務、厚労、内閣などの委員会は常時パンク状態に陥っている。

 各委員会とも閣僚が多忙なときは副大臣や政務官が答弁に立つなどして審議の促進に努めているが、さらなる改善が必要だ。

 国会には重要法案の審議時間は100時間超、一般的な法案は30時間程度といった暗黙の了解がある。与野党の距離がさほどない法案はもっと迅速に採決してよいのではないか。

 与野党対決法案の処理が長引くと、その後に提出された法案がたなざらしになることが多いのも問題だ。審議の順番は柔軟でよい。

 参院はしばしば、衆院で各法案にかけた時間の7割相当の審議時間の確保にこだわる。二院制の意義は否定しないが、議員数でいえば衆院のほぼ半分であることとの整合性をどう考えるのか。

 与党は今国会の6月24日までの会期を8月上旬まで延長する方針だが、それで足りるかどうか。会期の通年化なども検討すべきだ。

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