(テーマ音楽)
銀行商社そして大手メーカー。
日本経済をけん引する大企業の本社ビルが建ち並びます
東京・大手町。
7万人を超える人が働くビジネス街です
今大手町は大きく姿を変えようとしています
東京オリンピックを5年後に控え4つの再開発プロジェクトが進められているのです
そんなビジネス街の一角に緑に包まれた場所があります
ここだよね将門塚。
おっここだ。
ビルの谷間にある小さな塚
平安時代関東で兵を挙げた平将門が祭られています。
手を合わせるのは近くの会社で働くサラリーマン
取り引きがうまくいくように転勤の希望がかなえられますように願をかけているのです
長い時間祈っていたのは金融機関に勤めているという男性
随分熱心に拝まれて…。
それはまあ…いろいろやっぱり難しい事もお願いしてますんで。
厚かましい事と言うべきですかね。
世の中うまくいってくれればという…仕事もよくなりますし。
再開発プロジェクトを担う工事関係者の姿
(かしわ手)
長年お参りを欠かさない人もいます。
大手商社の関連会社で働く岡田俊男さんです
足を運ぶようになったのは14年前。
当時大阪に家族を残し単身赴任が続いていました。
「家族と一緒に暮らしたい」その願いはかなえられました
東京さ近い言いながらね月に一回帰るか帰らんかぐらいでしたんでね。
そういう意味ではさみしかったというかつらかったというか。
その当時から非常に御利益のある霊験あらたかな神様というふうには聞いておりました。
以来岡田さんは忙しい仕事の合間将門塚を訪れるようになりました
何か心配事があればここへ来て。
苦しい時の神頼みじゃないですけど結構来てますね。
この辺ってビルの合間にねこういう静寂なとこがあるというのね。
だから何となくここへ来ると気が落ち着くといいますかね和むといいますかね。
ビジネス街大手町。
階段を下っていくと…
地上とは打って変わった空間が広がっていました
すしうなぎそばイタリアンからエスニックまでオフィスで働く人たちの胃袋を満たします
その一角に昔ながらのたたずまいの店があります
48年続く老舗の喫茶店です
じゃあコーヒーを下さい。
ちょっとおなかすいたんで何かありますか?こちらメニュー。
じゃあトーストを一緒に。
はい。
営業は平日朝7時から夜7時まで
仕事の合間やお昼のあとちょっと一服という人
仕事の打ち合わせをする人など昔も今も客は大手町のサラリーマンが中心です
大手町で働いても昼御飯食べたあとはこういう所でたばこ吸いながらコーヒー飲みたいなと思いますよね。
昔ながらの喫茶店を探してよく入ります。
のんびりして午後からの仕事みたいな。
店の雰囲気は開店当時のまま。
レトロなテーブルとソファーが客を迎えます
この店のマスター…
狭いカウンターでコーヒーを作り続けてきました
注文したのは定番メニューのハムトーストのセット
懐かしいというかバターがよく利いて。
ハムとキュウリをトーストで挟み自家製のからしマヨネーズの味付けです。
そしてマスター自慢のコーヒー。
昔から変わらない味です
コーヒーの味にうるさいですよ。
やっぱりいっぱい喫茶店がありますでしょう。
だから競争ですよ。
やっぱりおいしいところにお客さんが行くっていうのは。
柏原さんが喫茶店を始めたのは大学生の時。
高度経済成長のさなか詰め襟姿でコーヒーをいれていました
最もにぎわったのはバブルの頃。
50席の店内は相席しても足りないほど
近くの会社からは会議の席で飲むコーヒーの注文が相次ぎ休む間もなかったと言います
もう朝から晩までコーヒーたてまくり。
だから今から考えりゃよき思い出だよね。
中42℃ですよカウンターの中。
汗びっしょびしょ。
それでここの中なんて熱が逃げるとこがないからここの中もう蒸し風呂みたい。
開店当初からこの店に通う常連も少なくありません
いただきま〜す。
60代から70代の元サラリーマン。
商社や生命保険会社石油会社で働いていました
会社も近かったからそれで通り道だからお互いの情報交換の場としてね活用させて頂くと。
そうや。
俺休憩の場所や。
二日酔いの時。
ああそうそうそう。
そういう場でもあるし。
俺も何かとね愚痴とかねそういう事をね発散する場所でもあるんだ。
大体そうだな。
退職した今も企業戦士として懸命に働いた街を訪ね共に語り合う事が楽しみとなっています
基地みたいなもんだよね。
必ず通り道になるからそんな事で。
オーナーの顔見てねああでもねえこうでもみたいな話してそれで帰ると。
それがず〜っと続いていると。
そんな感じですね。
これからも続くと思いますよこの店が存在するかぎりは。
店は第一線で働く女性会社員たちにも人気です
大手人材サービス会社に勤める…
社会人になって間もない頃から20年近く店に通っています
ふだんコーヒーすごい飲むんですけどここではマスターのとこサンマリではアイスティーなんです。
お疲れさま。
最近忙しいの?昨日さ雨だったから忙しかったんじゃないの?
悩みや愚痴を聞いてもらう事もあります。
働いていた大手メーカーから別の会社に総合職として転職する時後輩を指導する立場になった時ここでは素直に打ち明けられたと言います
マスターとお話しするようになって何か大人の友達ができたみたいなになってここに来れば常にいるからその安心感というか。
息抜きの時もあるし「ちょっと聞いてよ」みたいな時もあるしとかっていう感じでちょくちょくというかもう長いおつきあいになりますね。
大手町の移り変わりを見つめてきた柏原さん。
いつまでもこの店を心安まる場にしたいと考えています
友達が必ず来ても俺は必ずここにいるから。
柏原いない今日はいませんという事はないから。
そういうのも一つの使命感ではないけどそういうのがある。
そんなもんだよね。
それだけ。
何しろ頑張るとこまで頑張りますよ。
やっぱりそうやって言って下さる友達とかお客さんいるかぎりね。
大手町の近く皇居に面した通り沿いに90を超す会社や店が入るビルがあります
午前10時。
新聞包みを持ち足早に歩く女性がいました
おはようございます。
おはようございます。
色がちょっとさみしいからちょっと明るい色。
このビルで花屋を営む…
受付や応接室に飾る花を自ら生けています
結構いろんな方受付に見えるのであ〜春だなとかあ〜夏だなとかそういうのがちょっと分かるような感じも大事なんです。
北郷さんはビルが出来て間もない44年前から花屋を切り盛りしています
忙しくなるのは夕方5時すぎ。
会社帰りのサラリーマンが次々にやって来ます。
この時期多いのは送別会で使う花の注文です
近くの出版社に勤めるこの男性退職する先輩に贈る花束を受け取りに来ました
お疲れさまって言うのかな?みんな。
そうですね今日はそういう…。
私の先輩上司にあたる方ですのでそういう意味ではお世話になった今までのお礼を込めて。
オフィスが移転しても利用し続ける客も少なくありません
北郷さんとの会話を楽しみにやって来るのです
人生の先輩として。
すごいねいい青年なのにまだ彼女もいない。
はははっ。
暴露する暴露する。
いろんな事をしゃべっちゃうんですよね。
ここに来るとお花の注文は5分で済むのに1時間ぐらい立ち話しちゃうとか。
20年近く前からこの花屋に毎週通い続けている男性がいます
年末にもらったシクラメンまだもってる。
(北郷)そうですか。
すごいね。
それは優秀ですね清水さんにしては。
はははっそうそうそう…。
去年まで新聞社に勤務していた…
退職後も千葉県にある自宅から30分以上かけてやって来ます
(北郷)これはトルコキキョウっていうのね。
トルコキキョウねふ〜ん。
ちょっと春の感じで。
これだけつきあい長いとね特にやっぱり北郷さんのお花のセンスはなかなか。
(北郷)そういう話もしたんですよねもう会社辞められるから清水さんやっぱりお近くの花屋さんで買われる方がこんなとこまで来なくていいんでね遠いからって。
「う〜ん考えてみましょうね」なんて言ってたんだけど結局ずっといらしてます。
時々こっちに出る機会があるからねその時に週一ぐらいはと思って。
清水さんが毎週必ずこの店に来るのは花が好きだった妻の洋子さんの墓前に供えるため。
18年前がんで亡くなりました。
そのころ記者をしていた清水さんは家庭を十分顧みる事ができなかったと言います
北郷さんは清水さんから洋子さんとの思い出を聞く中で淡い色のかわいらしい花を選び続けています
何か思いがこもってるような感じがしますよね。
「今の季節はあなたの奥さんはきっとこういうのが好きだったからこうじゃないの」とかいうのがあると思うんでね。
その辺はものすごく信用してるっちゅうかなかなか他の店に替え難いなという感じはありますね。
古くからいらしているから何となしに仲良くなってるでしょう。
いらっしゃったら「また今年もあの日ですね」みたいなそういう会話がありますよね。
だからそういう安心感じゃないですか。
(テーマ音楽)
ビジネス街の片隅にぬくもりが息づいています
(テーマ音楽)2015/04/11(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「オアシスを探して〜東京 大手町界わい〜」[字]
東京・大手町界わい。再開発が進む中、昔ながらのものも残されている。ビジネスマンが願掛けする将門塚。一息入れるのは昔ながらの喫茶店。ビジネス街のオアシスを訪ねる旅
詳細情報
番組内容
日本経済を支えてきた大企業が集まるビジネス街、東京・大手町界わい。再開発が進められ、街は大きく姿を変えようとしています。多くのビジネスマンが働くこの町には、昔から大切にされてきたものが残されています。取り引きがうまくいくよう、願掛けにくるのは将門塚。仕事の合間にほっと一息つく、レトロな風情の喫茶店。異動の時期、花屋には送別会用の花を求める人の姿が。ビジネス街で働く人たちの“オアシス”を訪ねる旅。
出演者
【語り】国井雅比古
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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