光浦さんが選んだこの花どう育っていくのでしょうか。
コクがあるのに甘すぎずさっぱりしていて潔く喉の奥に消える。
そんなジェラートが登場する映画といえばこれ。
ご存じ「ローマの休日」です。
オードリー・ヘップバーン演じる王女が食べたジェラートは一日限りの恋と自由の象徴。
一体どんな味だったと思いますか?そもそもイタリア生まれのジェラートとはどんなスイーツなのでしょうか?今日は「ローマの休日」のジェラートの味を推理しながらジェラートの魅力に迫る事にしましょう。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末裔が暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
「グレーテルのかまど」へようこそ。
うれしい時悲しい時もうひとふんばりしたい時一口頬張ると何だか元気が湧いてくるのがスイーツ。
その一つ一つに思いがけない誕生のドラマやその味を愛してやまなかった人々の物語が秘められています。
そんな不思議なスイーツの物語を我が家のかまどで最高においしく焼き上げましょう。
今宵ひもとくお菓子は「ローマの休日」のジェラート。
1953年に公開された映画「ローマの休日」。
ヘップバーン演じるアン王女が大使館を抜け出し新聞記者ブラドリーと1日だけの恋に落ちるストーリー。
最も印象的なシーンの一つが…そうスペイン広場でジェラートを食べるシーン。
窮屈な籠から放たれた小鳥のように王女が生き生きとした表情を取り戻していく。
アン王女とジェラートは世界中をとりこにしました。
このシーンの影響から広場でジェラートを食べる観光客が急増。
今ではここでジェラートを食べるのは禁止されているそうです。
しかしそもそも皆さんジェラートとアイスクリームの違いご存じですか?ジェラートとはイタリア語で「凍った」という意味でもともとは氷菓子全般の事。
しかし一般的には専門の職人が手作りしたものをジェラートと呼びます。
洋梨など旬を迎えたフルーツを使ったり…エスプレッソの香りを閉じ込めたりとお店によってこだわりも味もさまざま。
街のジェラート店にはほかにもミルクやナッツなど色とりどりのジェラートが並んでいます。
アイスクリームと比べると糖分や脂肪分が控えめですっきりとした味わい。
空気の含有量が少ないためしっとりとした口当たりが楽しめるのがジェラートの特徴です。
ところで気になるのは「ローマの休日」でアン王女が食べたジェラート。
一体どんな味だったのでしょう?う〜ん何だろうな〜?白黒だし…これ映画だけじゃ分からないね。
ねえ。
実はねあのシーンのジェラートが何味だったかっていうのははっきりとした記録に残ってないらしいのよ。
え〜!?分かってないの?そう。
これ分かってなきゃ作れっこないじゃん…。
あらあらあらどうしたの?ヘンゼル。
だってまた姉ちゃんにどやされちゃうよ〜…。
あっ!そういえばグレーテル昨日「ローマの休日」見てたものね。
あれ見るとやっぱりジェラート食べたくなっちゃうのよね。
うん…。
何味か分からないとさ作りようがないじゃない?まあまあヘンゼルなりに推理して作ってみればいいんじゃないの?うん?推理か…。
ああ推理ね。
まず色は?はっきり分からないけど白っぽかったよね?でもそれだけじゃな…。
プロが見たらどんなジェラートだと思うのかしらね?うん…。
アン王女が食べたジェラートの味はどんなものだったのでしょう?鎌倉でジェラート店を営む…エミリアーノさんはジェラート発祥の地ともいわれるシチリア伝統の製法を守り続けています。
そんなジェラートのプロにアン王女が食べた味を推理してもらいました。
注目したのはジェラートを買うシーン。
王女のセリフをよくお聞き下さい。
ジェラート。
ジェラート。
特に味を指定せず「ジェラート」とだけ言っています。
そこから推理できる味とは?その店の力量が分かるといわれるほど基本の味であるミルク。
「ジェラート」と言って出てくるのは最もシンプルなミルクではないかと推理しました。
では基本の味ミルクジェラートを作ってもらいましょう。
まずは新鮮なミルクに少量の生クリームを加えます。
そして取り出したこの粉は…。
ジェラートのなめらかな口当たりを長もちさせるというカロブ豆。
シチリアの職人が伝統的に使っていたものでこうした自然由来のものを使い素材の味を生かすのだといいます。
大切なのは素材だけではありません。
ジェラートのおいしさを左右するのが配合。
産地や季節によってミルクは甘みや濃さが違います。
その微妙な差を見極め糖分や脂肪分の配合を調節します。
職人の腕が試されるシンプルなミルク味。
だからこそジェラートの代名詞なのです。
エミリアーノさんの推理どおりアン王女はこのミルクジェラートを味わったのでしょうか。
一方このシーンにアン王女が食べたジェラートの味の謎を解く鍵があるという人がいます。
王女が花を薦められるシーン。
手元のジェラートは真っ白ではないように見えませんか?ここに目をつけたのは中井洋輔さん。
イタリアで行われる最大規模のジェラート大会で去年第3位に輝いたジェラート職人です。
日本語で言うとヘーゼルナッツなんですけど。
中井さんが注目したヘーゼルナッツはイタリアでは最もポピュラーなナッツの一つ。
ジェラートにも昔から使われてきました。
そのヘーゼルナッツをローストし香ばしい香りを立たせます。
それを一気に砕くとナッツの油分でペースト状に変わります。
ここでもナッツの味に合わせて糖分や脂肪分との配合を調節していきます。
これらを凍らせながら混ぜていき…最後にミルクのジェラートと混ぜ合わせて盛りつけます。
中井さんが推理したミルクとヘーゼルナッツのジェラート。
伝統的なナッツの香ばしさがアン王女を魅了したのでしょうか。
なるほどね。
だけどいろんな推理が出てきちゃって迷っちゃうな〜。
そんなに難しく考えなくたっていいのよ。
ヘンゼルがね王女様にどんなのを食べさせてあげたいかなって考えてみればいいんじゃない?ああ!だったらさ…。
何?きれいな色のやつが絶対いいよねピンクとか。
あっ!イチゴとかどう?あっイチゴ!いいわねかわいいわね。
いいでしょ?うん。
あっミルクも使ってさイチゴミルクならアン王女らしいじゃん!OK!いいわ!じゃあ始めましょうか。
頂きま〜す。
あっ!ちょっ…あっ!食べちゃってるもう!甘い!まずはイチゴをピュレにするのよ。
ピュレにするんだね。
ピュレってね潰してなめらかにする事なのよ。
イチゴにはねペクチンが含まれているから家庭でも簡単になめらかなジェラートが出来るの。
いいチョイスよヘンゼル〜!よ〜し!こんな色になるんだね!ねえ!すごい!あのねなめらかな感じを感じたらOK!OKかな?これから材料を合わせるんだけどここがポイントよ。
はいヘンゼル!うん!よし!よくできました!お砂糖入れるんだけどお砂糖の量はねイチゴの味によっても変わるのよ。
へえ〜。
あなたさっきつまみ食いしてたでしょ。
どうよ?えっとね酸っぱさというよりも甘さの方があったかな。
あっ甘かった?砂糖の量はちょっと少なめねじゃあ。
少なめに入れる?OK。
うんそう。
全部入れちゃ駄目よ。
じゃあ…よいしょ。
大さじ1杯分ぐらい残した感じかしら?このくらいか?OK。
じゃあこれは残す。
混ぜるね。
あのね糖分が多すぎると素材の味消しちゃうでしょイチゴの味。
だから入れ過ぎないように要注意な訳です。
OK!よいしょ!よっ…よいしょ。
ちょっと味見してみよ。
あっいいな〜。
頂きます。
おいしい〜!完璧!おいしい?はいじゃあこれでベースが出来たから冷蔵庫で冷やすのよ。
よし!アン王女が食べたジェラート。
その味を共演者に着目して推理した人がいます。
アン王女と恋に落ちる新聞記者ブラドリーを演じた…彼は新人で緊張がとれないオードリーを休みの日に連れ出しては優しく心をほぐしたといいます。
そんな彼がオードリーのためにジェラートを選んだのだとすると…。
藤田さんの推理したクレマ・アラ・バニーリアとは卵黄のコクとバニラの香りが特徴のジェラート。
濃厚でも軽やかさを失わないのが味のキメテ。
卵黄やミルク生クリームにバニラビーンズを合わせて寝かせておきます。
するとバニラの甘い香りが広がる優しい味に。
藤田さんの推理したクレマ・アラ・バニーリア。
それは共演者グレゴリー・ペックの優しさの味です。
なるほど!すごい視点からの推理だね。
面白いね!ねえ面白いね。
じゃあ続きやるわよ。
うん!ここからがさっきのベースをジェラートにする大事なところです!OK!さあヘンゼル!ポイントは?うん!…ってどういう事?食感を決める最大のポイントは凍らせながら混ぜる作業。
お店では専用の機械を使います。
この中に入れた材料は周りから冷やされ凍った部分をプロペラがそぎ取りながら全体を攪拌。
この時に攪拌する事で空気を含ませていきます。
ジェラートの場合ソフトクリームに比べ含まれる空気の量は半分ほど。
それがふわっとし過ぎずジェラート独特のきめこまやかな食感を生み出すのです。
でもさ機械とかないけど大丈夫なの?だから今回は特別に家庭でもできるやり方をお教え致しましょう!用意した氷に塩をたっぷり入れます。
塩を!?はい。
塩を入れるとなんと温度は氷点下20度近くまで下がるの。
そんなに下がるの?ねえ。
じゃあ混ぜるね。
はい。
よいしょ!うわ〜!ああ〜!ああもう氷点下20度近くまで下がってるかもしれないね。
下がったよこれ絶対にもう!どんな感じ?ヘラで様子を見てみてよ。
これ中突っ込んじゃうね。
うん。
おっ!すごい!凍ってる。
大体ね5分以上たったら徐々に周りが凍ってくるからね。
うん。
あっこれこれこれ!あっそれそれ。
そのね今のやつをこそげ落とすようにして。
そぎ取って…。
うん。
こそげ落とす感じね。
ここで注意なんですけど混ぜた時に空気が入り過ぎちゃうからねヘラでは練るように混ぜて空気を抜いていくのがポイントよ。
空気入れ過ぎちゃ駄目なんだ。
よいしょ〜。
よいしょ!ヘンゼルどんな感じ?うんとね…よいしょ!固くなってきた。
ああいい感じになったじゃないのほら。
これどう?もうちょい。
う〜ん…。
根気のいる作業だけど頑張って!しっかりやらないとねイタリアの人に怒られるから!え〜…そうなの?そうよ!イタリア人にとってスイーツの中でも特別な存在だというジェラート。
イタリアの繁華街などでは1つのブロックに2〜3軒以上のジェラート店があるのが当たり前とか。
至る所でジェラートが売られています。
それだけイタリア人にとってジェラートは毎日のように楽しむとても身近なスイーツなのです。
そんなイタリアならではの楽しみ方を教えてくれたのはこの人。
イタリア料理のシェフで食文化にも詳しいカルミネ・コッツォリーノさん。
じゃあ僕ねピスタチオとチョコレートお願いします。
この日は息子のケイさんと一緒にお気に入りのジェラート店へ。
イタリア人なら誰でも大好きな味を2種類から3種類組み合わせて楽しむそうです。
海の前の…「ジェラート食べに行かない?」そう誘われれば大人も子どもも仕事や勉強の手を止めてジェラートを食べながらおしゃべりする。
そうジェラートは日常のオフを演出してくれる甘い相棒。
自分が自分らしくいられる時間を作ってくれるスイーツです。
「ジェラート食べに行かない?」とは「人生を楽しもうよ」という意味なのかもしれませんね。
イタリアの人はさ散歩したりとか大切な人と会話をしたりする時にジェラート食べるんだね。
何か俺たちってそういう時間全然持ててないよね〜。
ちょっとヘンゼルもう手が止まってるわよ!混ぜ続けて。
まあかまどもさもうちょっとゆとりを持った方がいいんじゃないの?せかせかし過ぎ!え?あんたのんびりし過ぎなのよ!よいしょ!でもいいわよね。
ゆったりジェラートを食べる風景。
うん。
いいよね。
あっねえかまど!うん?何?ジェラートっぽくなってきた!あら見せて見せて見せて!よいしょ!あのねゴムベラですくってね角が立つぐらいが目安なんだけど…。
よいしょ!お〜!角!やった出来た!ちょっとここでTeaBreak!ジェラートのいろんな食べ方をご紹介。
こちらはブリオッシュに挟むというシチリア地方の定番。
ランチでよく見かける楽しみ方です。
ジェラートにエスプレッソなどをかけて組み合わせを楽しむアフォガート。
熱いエスプレッソと冷たいジェラートのおいしい化学変化が起きるんです。
こんなアフォガートもあります。
フレッシュなミルクジェラートにオリーブオイルの豊かな香りが絡み合います。
毎日食べるジェラートだからこそさまざまな味わい方のバリエーションがあるんです。
うんいろんな食べ方があるんだね。
知らなかったな〜。
じゃあ盛りつけましょう。
よいしょ〜。
ほっ。
まあきれいな色!ねっ!すてきよ。
来たんじゃないの?これ!すてきヘンゼル!OK?うん!よし!完成!アン王女のすてきな休日を演出したジェラート。
グレーテルは気に入ってくれるかしら?
(チャイム)あっ帰ってきた。
姉ちゃんお帰り〜。
取って置きのジェラート出来てるよ〜。
イタリアの人々が素顔でくつろぐ時間を彩るジェラート。
窮屈な生活から逃げ出した王女がローマの街を楽しみながら生き生きと自分らしさを取り戻していく映画「ローマの休日」。
その中で王女にささやかな魔法をかけてくれたのがジェラートでした。
映画のラストシーン。
休日は終わり彼女は王女としての日常へと戻っていきます。
「ローマの休日」のジェラート。
それは人生を楽しみ素顔の自分に戻る豊かな時間の大切さを教えてくれるスイーツなのです。
今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?ジェラートはおいしいとか甘いとかだけではなく人生の楽しみ方を教えてくれたそんなスイーツでした。
ちょっと失礼して…。
よいしょ。
あっ…ちょっちょっちょっと自分で食べちゃうの?グレーテルジェラート喜んでくれたの?うん。
何かね仕事しながら食べてたけどかなりいい顔してたよ。
あっそう!イチゴが利いてる!うまい!何かね仕事とか勉強とかの間に食べるジェラートっていうのは本当においしいのよきっと。
おいしいよね〜。
あ〜あもういつも休みみたいなあなたにそのほっとする感じ分かるのかしらね?ほんと。
もういつもかまどはガミガミガミガミ説教ばっかりして!だって〜!もうちょっと楽しい会話しようよジェラート食べてるんだからさ〜。
何それもうやだ〜!2015/04/10(金) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど・選「“ローマの休日”のジェラート」[字][デ]
今回の主役はジェラート。あの名画の中でヘップバーンが食べていたジェラートってどんな味?職人たちの推理でイタリアの味に迫る!
詳細情報
番組内容
映画「ローマの休日」で、オードリー・ヘップバーンふんするアン王女が、ジェラートを食べるシーンはあまりにも有名。王女にとってジェラートは、自由の象徴であり、淡い恋を予感させる重要なアイテム。あのジェラート、いったいどんな味だったのか?今回、王女が食べたジェラートの味を職人たちが徹底推理!イタリアの人々の日常に欠かせないジェラートの魅力をたっぷり!また、家庭でできるイチゴジェラートのレシピも紹介する。
出演者
【出演】瀬戸康史,【語り】キムラ緑子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
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