イルカ156頭が原因不明の海岸打ち上げ 懸命救助も難航

2015年4月11日6時0分  スポーツ報知

 茨城県鉾田市の海岸で10日早朝、大量のイルカが打ち上げられているのが見つかった。緊急対策本部を設置した同市は、隣接する同県鹿嶋市も含め、156頭を確認。未確認や民間で海に戻した個体もいたとみられる。多くは衰弱が激しく、対策本部は処分して、死んだ個体とともに埋める作業を進めた。関連は不明だが、東日本大震災発生7日前の2011年3月4日には、鹿嶋市の海岸で、約50頭のイルカが打ち上げられたのが見つかっていた。

 地元住民から鹿島海上保安署に「大量のイルカが打ち上げられている。救助してほしい」と通報が入ったのは午前6時半ごろ。駆け付けた署員らが調べたところ、海岸のおよそ10キロ以上の範囲にわたり、156頭のイルカが点在しているのが確認された。多くは体中が傷つき、激しく衰弱していた。

 対策本部のアクアワールド茨城県大洗水族館によると、イルカの一種、カズハゴンドウとみられる。成体で体長約2・7メートル、重さ約270キロになる。1~4月は茨城県沖を回遊しており、県南部の海岸で見つかる例はよくあるという。

 イルカの生態に詳しい東海大海洋学部海洋生物学科の大泉宏准教授は「餌を追ったり、シャチに追われたりするうちに浅瀬で抜け出せなくなることもある。また海底が軟らかいと出した超音波が返って来ず、方向感覚が失われて座礁するケースもあります」と考え得る要因を挙げた。通常は数十頭から数百頭の群れで泳いでいるという。

 現場では小雨が降る中、血を流したり、尾びれをわずかに動かしたりするイルカもいた。近くに住む杉村祥悟さん(24)はウェットスーツ姿で「サーファー仲間で助けに来た。重くて、海に転がしても波に押されて戻ってきてしまう」と話した。対策本部は体力が残る7頭を海に返したが、大半は回復の見込みがなく、安楽死させ、砂浜に重機で埋める作業を進めた。

 関連は不明だが、東日本大震災の1週間前には、今回の海岸から約20キロの同県鹿嶋市の下津海岸で約50頭のイルカが打ち上げられているのが見つかった。鉾田市役所には「地震の予兆ではないか」と不安の声も寄せられており、産業経済課は「2011年の事例も念頭に置き、兆候が出た時にはすぐ注意喚起できるよう万全を期したい」と話した。

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