(バイブレーターの音)・
(ドアの開く音)・
(吾郎)おい。
何だよこれ?
(和子)えっ?
(吾郎)クロゼットにあったんだ。
これお前のじゃないよね?
(和子)あっ。
やだわ。
これ智恵子さんの。
(和子)今日ねお茶しに来たのよ。
(吾郎)でもそれ男物だろ。
じゃあ純一さんのだわ。
一緒に来たから。
もう。
ホントにうっかり屋さんなんだから。
でもさどうしてうちのクロゼットにあったの?さあ?どうしてかしら?あっ。
と…とにかく私今ねこれ返してくる。
ねっ。
困ってるよ。
うん。
そうね。
あっ。
もしもし?翔也君?うちに携帯忘れてったわよ。
心配いらないから。
うん。
近いうちにお店行くからそのとき持っていく。
うん。
じゃあね。
(吾郎)私岩村吾郎は本日をもちまして日和食品株式会社を退職いたします。
思えば38年前高崎営業所営業部に配属されその後春日部営業所を経て本社勤務を…。
本社勤務を。
本社…。
違う違う。
春日部営業所川崎営業所を経て本社勤務を命じられこうして皆さまと共に働いてきた日々がまるで走馬灯のように思い起こされます。
・
(吾郎)人生山あれば谷あり。
私の会社人生もまた同じであります。
わが社もオイルショック。
バブル崩壊。
そしてリーマンショックと厳しい時代を経験いたしましたが先輩方の情熱的な愛社精神により乗り越えてまいりました。
・
(吾郎)会社とは何か?それは雪深い山道を歩くかのようであります。
先頭を行く者が仲間のために雪かきをしながら歩き力尽きれば次の者が。
そして再び力が尽きれば次の者が…。
ご飯できましたけど。
もう。
今一番いいところだったのに。
あら。
すみません。
しかしさぐっとくるよなこの雪道の話。
早く食べてください。
(吾郎)納豆よし。
とろろ芋よし。
いつまでも粘り強く。
いただきます。
いただきます。
ああ。
言ってあるよね?今日はお弁当いらないって。
はい。
社長主催の昼食会があるんだ。
去年はうな正の特上鰻重だったらしい。
人形町の。
そう。
デザートは毎年同じ。
岡山栄燦堂の豆大福。
ふーん。
これはな創業者の社長が大好物だったんだよ。
この大福を腹いっぱい食いたい。
その一心で身を粉にして働いたそうだ。
《その話軽く100回は聞いてるわ》しかしさ俺もここまでよく働いてきたよな。
自分を自分で褒めてやりたいよ。
いかん。
泣かないって決めたんだ。
味噌汁。
温度よし。
フフフ。
忘れ物ありませんか?ああ。
あなた。
今日までご苦労さまでした。
うむ。
いってらっしゃいませ。
今日は帰りが遅くなる。
はい。
課の連中には特別なことをやらないように言ってある。
でも送別会ぐらいはしかたがないから付き合ってやるつもりだ。
その後たぶん二次会だ。
どうせカラオケだろう。
俺はどうもあれが苦手なんだが今日は歌うよ。
河島英五。
『時代おくれ』《2年前から練習してたのにうまくならなかったわね》いってくる。
はい。
(晃司)いよいよ今日で定年ですか。
はい。
(晃司)長い間お疲れさまでした。
(吾郎)ありがとうございます。
といってもあしたからの子会社勤務でまたご一緒しますが。
(晃司)でも長い間お勤めだった会社を去るわけですから。
(吾郎)ええ。
38年です。
(晃司)38年ですか。
(吾郎)何げない景色も今日はいつもと違って見えます。
(晃司)そうですか。
(吾郎)38年。
離婚届よし。
(吾郎)・「目立たぬようにはしゃがぬように」あっ。
どうもこんばんは。
お騒がせしてます。
・「人の心を見つめつづける」
(吾郎)ただいま。
帰りました。
おかえりなさいませ。
岩村吾郎。
本日付けをもちまして日和食品株式会社を退職いたしました。
お疲れさまでございました。
社長からはさ格別なねぎらいのお言葉を頂戴したよ。
それからさ部下たちがまたいい送別会やってくれてな。
和子。
今日までついてきてくれてどうもありがとう。
いいえ。
こちらこそ。
今日までありがとうございました。
うん。
うん。
うん。
これ。
うん?私からの退職辞令です。
えっ?何かな?これ?そう。
何かな?何だよこれ?何が不満なんだよ?俺はさお前との老後をだよこれから家庭菜園とか歴史研究会とか孫の世話とかさ…。
あなたの計画に付き合っていくのが嫌になったの。
和子。
俺を捨てないでくれ。
俺はなお前なしじゃ駄目なんだよ。
これからどうやって生きていけばいいんだよ?和子。
なあ?和子。
冗談って言ってくれ。
なあ?今のは冗談って言ってくれ。
和子。
あなた。
あなた。
和子。
和子。
和子。
和子。
いかんいかん。
私としたことが。
何ふらついてんのよ?しっかりしなさい。
はい。
(吾郎)《和子。
悪いところは全部直すから。
和子》《私はあなたのちまちました生き方にうんざりしてるの》《何でも計画どおりの人生なんて面白くも何ともないわ》《もっと刺激的に生きたいのよ。
はらはらドキドキするような人生よ》《分かった分かった。
はらはらドキドキするような人生にしよう》《それに私おすし二口で食べる男無理なの》《絶対無理》《えっ?》《恋だってしてるわ。
好きな人がいるの》《骨まで溶けるようなテキーラみたいなキスをしたわ》《テキーラみたいなキス!?えっ!?》よし。
ちょっと嘘ついてるけどこれでよし。
(男性)おはようございます。
(吾郎)おはよう。
皆さん。
おはようございます。
(一同)おはようございます。
(社員)アポ取れた?
(社員)はい。
課長。
(吾郎)うん?ああ。
君にも色々…。
(社員)これ決済お願いします。
(吾郎)えっ?ああ。
ああ。
了解。
(社長)辞令。
岩村吾郎殿。
就業規則第八条により定年退職とする。
(社長)長い間ご苦労さまでした。
(吾郎)ありがとうございました。
(社長)うん。
じゃああとよろしく。
ありがとうございました。
(秘書)社長は所用で失礼しますとのことです。
(吾郎)はい。
あのう。
人形町の。
(秘書)はい?
(吾郎)いや。
結構です。
ぬるっ。
(秘書)どうぞ。
(吾郎)豆大福じゃないんですか?
(秘書)えっ?
(吾郎)あっ。
いえ。
あっちい!?
(吾郎)あれ?みんなは?
(社員)今日から食品見本市でみんな駆り出されました。
(吾郎)ああ。
・
(足音)
(社員)長い間お疲れさまでした。
どうも。
もしもし?
(翔也)カズ?翔也君。
(翔也)今日お店来てくれる?今日?
(翔也)うん。
今日はちょっと。
大事な日なの今日は。
(翔也)そっか。
じゃあ俺の携帯取りに行っていい?今日?
(翔也)来てるんだもう。
えっ!?
(翔也)外見て。
うん?あっ!?
(翔也)行っていい?うん。
いいけど。
でも…。
あっ!?駄目。
ぜ…絶対駄目。
よし。
(純一)ホントに上達した。
いい感じ。
(エリ)カッコ良かった?
(純一)腰がねすごくいい感じだったよ。
(エリ)入ってたかな?
(純一)じゃあエリちゃん。
また。
(エリ)またお店に来てね。
(純一)いい波来たらね。
バイバイ。
(エリ)うん。
(純一)どうしたんですか?こんな時間に。
会社休みですか?
(吾郎)はあ。
(純一)あれ?何ですか?その花束。
えっ?
(純一)あっ。
もしかしてあれ?定年?
(吾郎)はい。
(純一)そうですか。
しかし似合いませんね。
こういう花束。
悪かったですね。
(純一)どうですか?定年後に見る海は。
(吾郎)何も変わりませんよ。
(純一)ですよね。
海は海。
何も変わりませんよ。
あしたから第2の人生ですか?どうなんですかね?そういうのって。
何か人生を第1とか第2に分けるってのは。
それもこっちの都合じゃなくて会社の都合でしょ?何か嫌だな。
俺そういうの。
人生はたった一度っきりだからね。
60になったからといって何も変わらないと思うんですよね。
この海みたいに。
あなたには分かりませんよ。
(吾郎)38年ですよ。
ずっと会社に仕えてきたんです。
それが何の用だか知らないけど所用ができたとか安物の赤飯弁当ですよ。
豆大福もなかったし。
何が見本市だ!?
(吾郎)俺にとって今日がどれだけ大事な日だったのかあいつらには分からないんだ。
(男性)どうも。
(純一)ああ。
どうも。
こんにちは。
(智恵子)おかえり。
(純一)うん。
(智恵子)どうかしたの?
(純一)俺あの人のことあんまり好きじゃないけど今日は分かるわ。
あの人の痛みが。
(智恵子)あの人?
(純一)岩村さん。
(智恵子)岩村さんがどうかしたの?ぼろぼろだったらしいよ今日。
海岸でね…。
(呼び出し音)もしもし?えっ?どうしたの?どうしてこんなに早いの?河島英五は?歌ったの?どうして家に入らなかったの?何よ?この展開。
これじゃ計画どおりいかないじゃないの。
あなた。
(吾郎)うん?長い間お疲れさまでした。
(吾郎)ああ。
こんなとき言うのも何だけどね私…。
・
(純一)あっ。
来た来た。
(香織)おかえりなさい。
おかえりなさい。
えっ?お邪魔してもいいかしら?えっ!?
(晃司)みんなでね岩村さんをお祝いしようと思ってね。
(香織・智恵子)定年退職…。
おめでとうございます。
(吾郎)いや。
そんなあのう。
(純一)こういうときはみんなでお祝いしなくちゃ。
えっ?でも…。
(純一)大丈夫。
料理は持参しました。
(香織)うちは豆大福。
(純一)おお!おお!
(吾郎)ああー!何だよ?あんたたちだいたいさもうずうずうし過ぎるでしょ。
えっ?人の家勝手にさっさかさっさか上がりこんじゃってさ。
速水さん。
(純一)はい?
(吾郎)あんた人のうちのクロゼットで何やってたの?
(純一)えっ?何の話?
(一同)何?何何?でもさいつも本音言わない吾郎さんが何か今日いい感じよね。
(香織)そうね。
(吾郎)何がいい感じですか。
私はねこういうべたべたした感じが大嫌いなんです。
(智恵子・純一)あら!じゃあもうちょっとべたべたしちゃおうか?
(吾郎)ああ!?ああ!?やめてくれ。
(晃司)和子さん。
こっちで飲みましょう。
お料理いいから。
そうですよ。
はい。
ええ。
何よ。
これじゃ計画ぶち壊しじゃないよ。
(晃司)じゃああれ?社員の前でスピーチができなかった?
(純一)そりゃそうでしょ。
送別会なくなったんだから。
えっ?私スピーチ聞きたい。
(智恵子・香織)私も。
ねえ。
(純一)やめなさいってもう。
どうしてよ?だってせっかく練習したんでしょ。
吾郎さん。
やって。
やって!
(吾郎)ご指名をあずかりました。
(純一)えっ?やるんだ?
(吾郎)私。
私最後のスピーチをさせていただきます。
よっ!待ってました。
岩村吾郎。
イェイ!
(吾郎)私岩村吾郎は本日をもちまして日和食品株式会社を退職いたします。
(一同)うん。
お疲れさま。
(吾郎)思えば38年前高崎営業所営業部に配属されその後春日部営業所川崎営業所を経て本社勤務を命じられこうして皆さまと共に働いてきた日々が走馬灯のように頭の中をこう巡ってきます。
人生山あれば谷あり。
私の会社人生もまた同じであります。
わが社もオイルショック。
バブル崩壊。
リーマンショックと苦しいときを過ごしましたが…。
2015/04/10(金) 13:25〜13:55
関西テレビ1
プラチナエイジ #10[字][デ]【出演:宮崎美子 榊原郁恵 池上季実子】
香織(榊原郁恵)が台所のリフォームを依頼した建築家の事務所を訪ねると…。一方、和子(宮崎美子)は、智恵子(池上季実子)と遊びに行ったホストクラブに1人で出かけ…
詳細情報
番組内容
和子(宮崎美子)は朝からうんざりしていた。この日、定年退職を迎える吾郎(中本賢)が妙に浮き足立ち、会社で言う退社の挨拶を何度も聞かせていたのだ。吾郎は張り切って出かける。
吾郎の会社では定年退職をする者に恒例のセレモニーがあり、内心ではそれを楽しみにしていた吾郎だが、予定が狂って…。一方、夫の定年に合わせて離婚を切り出すつもりの和子だったが、吾郎の帰宅時間間際、予想外の訪問者が現れてしまう。
番組内容2
夕暮れ時、純一(春田純一)は海岸で肩を落とす吾郎を見かける。吾郎から今日一日のことを聞き、智恵子(池上季実子)や香織(榊原郁恵)とある計画を立てる。
出演者
伊佐山香織:榊原郁恵
速水智恵子:池上季実子
岩村和子:宮崎美子
速水純一:春田純一
岩村吾郎:中本 賢
伊佐山晃司:宅麻 伸
スタッフ
原作・脚本:清水有生
演出:阿部雄一
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
浦井孝行(国際放映)
河角直樹(国際放映)
音楽:佐藤舞希子
主題歌:郷ひろみ「100の願い」(ソニー・ミュージックレコーズ)
制作著作:国際放映
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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