(春樹)
昨日僕は人の命を救った
今日もまた人の命を救った
けれど救えなかった命もあった
それなのに僕は…
命を救う人間が恋に落ちてはいけませんか?
(千鶴)別に普通だよ。
世の独身女性と一緒。
(千鶴)普通に仕事してたら普通にこの年になってたの。
(あい)それ普通ってまずいでしょ。
うん?
(ゆうこ)千鶴は出会いとかないの?ないない。
病院と家の往復だけよ。
それにね仕事柄恋愛なんかしてる場合じゃないでしょ?
(一同)うわ!?ああ。
(いくえ)さすが千鶴先生。
もうザ・仕事に生きる女って感じだね。
そんなことないよ。
プライベートも大事にしてます。
(いくえ)じゃあそれ何飲んでんの?ぶどうジュース。
(いくえ)ほら。
ハハハ。
(春樹)オレンジジュースお願いします。
(仁志)何だよ?酒飲まないの?
(春樹)いつもの癖で。
(仁志)癖?
(春樹)24時間365日医者なんで。
(仁志)さすが守田先生。
仕事に生きる男だね。
(春樹)これ仁志先生が言ったんですよ。
(仁志)カッコイイな俺。
ハハハ。
仁志先生にはホントに感謝してます。
今回は無理を聞いてくださってありがとうございます。
(仁志)いや。
こっちこそ助かるよ。
お前みたいなやつがうちに来てくれると。
外科医としての腕を磨きたいんです。
今のままじゃ大事な人を助けられませんから。
子供はまあ好きかな。
(あい)ほら。
それ考えたらさ恋するにもタイムリミットっていうのがあんだからね。
はいはい。
(ゆうこ)もしも理想の男が現れたら?そんなの現れたことある?今まで。
(あい)ないね。
(ゆうこ)だからもしも現れたらよ。
それでも仕事優先?そういう仕事だからね。
・
(倒れる音)・
(従業員)あっ!?お客さま!お客さま。
(従業員)どうしたの?お客さま?
(従業員)こちらのお客さま…。
(従業員)どうされました?動かさないで!どうしました?大丈夫ですか?聞こえますか?
(仁志)何?彼女いないの?はい。
(仁志)そろそろ結婚考えてもいい年だろ。
まあおふくろも安心させてやりたいんですけどね。
(エレベーターの到着音)じゃあ。
(仁志)おう。
ごちそうさまでした。
(従業員)救急車は?
(従業員)呼びました。
到着するまで時間かかるようです。
こちらです。
すいません。
すいません。
すいません。
すいません。
ゆうこ。
それ取って。
ナプキン。
大丈夫ですか?あっ。
医者です。
患者状況は?私も医者。
おそらく潰瘍かバリックスの出血ね。
(呼び出し音)
(谷)江洋医大第一外科です。
近藤です。
今病院の近くで消化管出血の患者がいるんだけどうちって受け入れ可能?えっ?何?急変?そちらの状況は?昨日CFした患者がいるんだけど急変したって。
おそらく腸管穿孔ね。
オペになるかもしれませんね。
急いで向かった方がいい。
この人放って行けません。
僕が引き継ぎます。
救急車が来るまでの処置は一人でじゅうぶん可能ですから。
でも…。
あなたの患者さんなんですよね?早く行った方がいい。
大丈夫。
お願いします。
はい。
あっ。
先生。
ありがとう。
聞こえますか?大丈夫ですか?
(一同)よろしくお願いします。
舌根が沈下してます。
救急車に乗せたらすぐに挿管します。
(隊員)はい。
あと末梢ライン左上肢からとりますから。
(隊員)了解です。
試験開腹を始めます。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
メス。
(看護師)はい。
鑷子。
ガーゼ。
(看護師)はい。
電メス。
(看護師)はい。
固定してください。
(隊員)はい。
あのう。
あっ…。
あっ。
結婚式の患者さん青葉医療センターに搬送して回復に向かっています。
ああ。
それはよかった。
こっちも何とか間に合いました。
よかったです。
はい。
えーと。
うん?それを伝えるためにわざわざ?あっ。
そうだ。
これ。
うん?ネックレス。
ああ…。
えっ!?動かないで。
ゆうべ私たちは人の命を救った
特別なことのように聞こえるかもしれないけれどそれが私たちの日常
やっぱり傷が付いてる。
えっ?ああ…。
治療しておいた方がいいですよ。
ああ。
そうですね。
医者だからって特別なことなんて何もない
えーと。
あっ。
僕今日からここで働くことになりました外科医の守田春樹です。
えっ?
特別なことなんて何もない
そう。
例えばあなたと同じように…
医者だって恋をする
(渡辺)医者は恋などすべきではない。
本日付で第一外科の医局長だった坂下先生には退職していただきました。
対外的には体調不良ということになっていますが…。
(奈々)ねえ。
色恋沙汰?
(渡辺)そのとおり。
色恋沙汰。
それも不貞行為です。
(友子)首にするほどのことかね。
(渡辺)この件が発覚してから外来の予約件数が3%減少しています。
経営に悪影響を与える要素を取り払うのは当然のことです。
よろしいですか?今後院内恋愛のトラブルには厳しく対処していきますのでそのつもりで。
世間は医者に対して聖人君子を求めています。
スキャンダルが広まれば患者すなわち顧客が減少し売り上げの低下にもつながります。
こんな子供じみた規則を設けるのは組織としていかがなものかとも思いますがどうも医者というのは奔放な方が多いようですから。
それは偏見です。
(渡辺)近藤先生のことは心配していません。
色恋で問題を起こすような年齢じゃないでしょう。
それは失礼じゃないですか?謝った方がいいと思います。
(渡辺)彼は?
(仁志)ああ。
新しくうちで働くことになった守田先生です。
(渡辺)ああ。
はいはい。
今日からでしたね。
それより先ほどの近藤先生への発言は…。
始業時刻ですね。
定例会議は以上です。
ちょっと待ってください。
あのう。
お疲れさまでした。
(渡辺)お疲れさまでした。
(友子)誰?
(奈々)ねっ?
(仁志)大学病院へようこそ。
おはようございます。
(仁志)第一外科の近藤先生。
守田先生に仕事振ってあげて。
よろしくお願いします。
あのう。
初めまして。
近藤です。
初めまして。
渡辺さんには逆らわない方がいい。
あの先生何者なんですか?医者じゃない。
経営本部長。
この大学病院を赤字から救った救世主で今や教授より上の存在。
にらまれないように気を付けなさい。
はい。
今日は午前外来やってもらいます。
診察室で大根先生の指示に従って。
分かりました。
そもそもあなたには無関係でしょ?はい?さっきのは私の問題。
無関係なところに立ち入らないで。
あっ。
でもあれはさすがに…。
境界線を越えないで。
それがここのルール。
(大根)戦場だから。
俺に言わせると。
はい?
(大根)外来患者。
うちは桁違いに多いぞ。
どんどんさばけ。
だいたい紹介状持ってるから。
それに沿って。
っていうか紹介状に書いてあること以外は診るな。
(大根)返事。
はい。
(大根)ふん。
なっ?
(ぶつかる音)
(大根)痛っ。
うーん!
(涼子)何か機嫌悪いね。
大根先生。
(光弘)次の医局長千鶴先生か高橋先生になるって噂あるからじゃん?
(茜)出世コースなんですね。
(山野辺)そうそう。
うちは医局長から准教授へってのがパターンだからね。
・
(平井)近藤先生。
回診お願いします。
あっ。
はい。
・
(茜)はい。
第一外科です。
高橋先生。
オペ患者入室したそうです。
(宗太郎)了解。
俺が医局長になったら2人でお祝いする?
(茜)院内恋愛は出世に響きますよ。
(宗太郎)もちろん恋愛未満の関係で。
良性の腫瘍の可能性が高いですね。
手術の必要はありませんよ。
(橋本)そうなの?ここで手術してもらうようにって言われたんですけど。
そこまで心配するものじゃありませんから。
紹介状書いてくれた先生には僕の方から報告しておきますよ。
(大根)便通が悪いのは腹壁瘢痕ヘルニアのせいですね。
手術すればすぐよくなりますよ。
入院は1週間。
個室になると一日2万円です。
(村山)家に帰っても一人なので不安で。
そうですか。
詳しく検査しましょう。
(村山)お願いします。
村山さんのERCP。
腫瘍マーカー。
MRI。
シンチグラフィ。
オーダーお願いします。
問題ないですね。
予定どおり4日後に退院ですよ。
三浦さん。
(三浦)まだ入院していた方がいいと思うんだがな。
どっか具合悪いですか?
(三浦)ここ桜見えるだろ?もうしばらく眺めていたいんだよな。
(三浦)散り際が一番奇麗だろ?桜って。
ほら。
肉も女も腐りかけがうまいっていうだろ?お花見は退院してからにしてください。
(三浦)昔はもっと優しかったのに。
けっ。
(光弘)近藤先生。
どうしたの?
(大根)お前鳴洋病院からの紹介患者オペは不要だって言って帰したんだって?良性の甲状腺腫だったんでわざわざ患者さんの負担になるようなことする必要ありますか?
(大根)あのな。
鳴洋病院の院長はうちのOBなんだよ。
・
(ドアの開く音)
(大根)そこからの紹介オペ断るってのはな院長の顔つぶすことになるだろ。
いや。
でも…。
(大根)逆に紹介状のない軽い患者の検査に時間かけようとしやがって。
手術にならないような患者はわざわざ拾う必要ない。
そんな…。
(大根)近藤先生。
代わって。
外来。
助けなくていい患者さんなんているんですか?残りの回診お願い。
こんにちは。
(三浦)あっ!?今日から赴任しました守田です。
よろしくお願いします。
三浦さんですね?
(三浦)名前なんか覚えなくてもいいよ。
俺はすぐ退院するんだ。
おめでとうございます。
めでたくなんてないよ。
もう少しいさせてくれと頼んだんだ。
どうしてですか?何でも話してください。
横隔膜からシンスライスでお願いします。
(吾妻)はい。
・近藤先生。
追加検査したい患者さんがいるんですけど。
誰?303号室の三浦さんです。
さっき話したら動悸がするって。
患者さんが訴えてるわけですから一応…。
回診は?もう全員終わったの?いえ。
まだ半分ぐらいですけど。
与えられた仕事もしないで人の患者に口出ししないで。
境界線を越えないのがルールだって言ったはずでしょ?近藤先生はルールを守るために医者になったんですか?大学病院なの。
ここは。
一人の患者さんにじっくりと丁寧に時間をかけて寄り添いたいなら元いた病院に戻りなさい。
ちょっとがっかりです。
何が?そんなこと言う人だとは思いませんでした。
準備できました?ゆうべの近藤先生は…。
山田さん。
検査始めますね。
(宗太郎)鑷子。
(看護師)はい。
(永島)はい。
高橋先生を医局長に推そうと思ってんですよ。
私は。
(宗太郎)ありがとうございます。
教授。
電メス。
(看護師)はい。
(永島)だけどもう一つ実績が欲しいところだね。
(宗太郎)今バレット食道の追跡調査をまとめてますのでもうすぐ「メディジャーナル」に投稿できるかと。
(永島)へえー。
「メディジャーナル」?いいじゃない。
(宗太郎)3−0絹糸。
(看護師)はい。
(永島)それ私の名前で出しといて。
(永島)うん?無理なの?
(宗太郎)いえ。
永島教授のお役に立てるなんて光栄です。
(永島)ああ。
そう。
じゃあまあできるだけ早く頼むよ。
(宗太郎)はい。
(永島)あとよろしく。
(一同)お疲れさまでした。
(永島)はい。
お疲れさま。
(宗太郎)クーパー。
(看護師)はい。
(茜)オペの後はいつも激しい。
(宗太郎)アドレナリンが収まらなくてこれしないと夜眠れないんだよ。
(茜)アドレナリン?
(宗太郎)外科医ってそういう生き物だから。
新任の守田先生。
仁志准教授の推薦で入ったんですね。
(宗太郎)ただの欠員補充でしょ。
田舎の医者がいつまで持つか。
ちょっと興味あるなぁ。
(宗太郎)俺の方がすごいよ。
(宗太郎)もしもし。
(宗太郎)はいはい。
行きますよ。
続きはまた今度ね。
(くしゃみ)・
(友子)医者の不養生。
(仁志)おお。
(友子)うっす。
ビタミンC。
ナイスキャッチ。
(仁志)花粉だよ。
花粉。
(友子)ねえ。
あの新しく入ってきた先生さいきなり経営本部長に盾突いたりしてあれ目付けられちゃったね。
(仁志)面白いやつだろ?
(友子)こうなること分かってて誘ったの?
(仁志)うーん。
どうしてだろうね?年を取ると若いやつで夢を見たくなるんだろうな。
(友子)大病院のマスオさんには不満は皆無でしょ?
(仁志)うちじゃお父さんと嫁の板挟み。
(仁志)ここじゃ教授と部下の板挟み。
色々あんだよ。
(友子)ふーん。
ねえ。
たばこある?
(仁志)うん?不妊治療中だろ?
(友子)色々あんのよ。
私にも。
じゃあお互い言いっこなしで。
(友子)賛成。
ねえ。
それにしてもさ何で守田先生みたいなタイプがうちみたいな封建的なとこ入局したんだろうね?うわっ。
(仁志)俺の人望。
(友子)なっ…。
ハハハ。
(仁志)色々あんだよ。
あいつにも。
んっ…。
よいしょ。
えっ?あっ。
ああー。
あ…ありがとう。
いえ。
(平井)近藤先生。
すいません。
ちょっといいですか?あっ。
はいはい。
お疲れさまです。
お疲れさま。
あっ。
すいません。
あのさ。
あのう。
・
(大根)だから俺に言わせりゃさ足りないんだよデータが。
なっ?
(鈴木)はい。
対象患者数増やさないとですね。
(大根)なっ?
(鈴木)はい。
(大根)いいね。
高橋先生は。
順調そうで。
(宗太郎)いいえ。
全然。
まだまだですよ。
(大根)どうだか。
ねえ?
(鈴木)はい。
論文ですか?
(鈴木)はい。
ああそうですよ。
(大根)これも大学病院の医者の務めだよ。
お前も出世したかったらしこたま論文書けよ。
なっ。
おい。
聞いてる?あっいや。
僕そういうのは…。
(宗太郎)じゃあ何のためにうちに来たの?腕を磨くためです。
どんな病気でも治せる外科医になりたいんです。
(宗太郎)へえー。
・
(鈴木)はい。
第一外科です。
はい。
すぐ行きます。
急性胸痛の急患です。
えー。
誰かもう一方。
僕行きます。
行かしてください。
(鈴木)じゃあついてきて。
はい。
(宗太郎)出世には興味ないとか言って一番野心家じゃん。
(奈々)河合です。
遅くなってすみません。
今から向かいますので。
あっ。
もううちだけですか?いつもすみません。
急ぎますので。
はい。
失礼します。
(奈々)すみません。
遅くなりました。
(真人)ママ!
(奈々)遅くなってごめん。
(真人)冷たい。
(奈々)あっ。
ごめんごめん。
雨降ってきちゃってさ。
さみしかった?
(真人)ううん。
もう慣れた。
(奈々)ふーん。
行こう。
(真人)今日ねまいちゃんと手つないだ。
(奈々)えっ!?よかったね。
いいなぁ真人は。
(真人)ママは?好きな人いないの?
(奈々)えっ?うーん…。
えっ?何?いいよ。
一緒なんで。
方向。
そう。
行きましょう。
さあ。
あのう。
うん?今日は言い過ぎました。
すいませんでした。
何よ?急に。
あの本。
俺も捜してたんです。
そう。
三浦さんの検査のこと気にしてくれてたんですね。
主治医ですから。
じゃあ俺戻ります。
えっ?今日帰れそうにないんで。
お疲れさまでした。
えっ?えっ?ちょっと。
方向全然一緒じゃないし。
・
(苦しむ声)落ち着きましたか?
(女性)こうして診ていただけるだけで何だか楽になりますね。
・
(涼子)守田先生。
見回りは看護師がやりますから。
ごめんごめん。
(涼子)先生。
うん。
(友子)ゆうべ見たよ。
何を?
(友子)相合い傘。
(奈々)何?誰誰?
(友子)守田先生。
(奈々)えっ!?いや。
そういうんじゃなくて。
たまたま帰る方向が一緒でね。
いや。
一緒じゃなかったんだけどね。
結局。
(奈々)意外とお似合いかもね。
(友子)うん。
(奈々)ご飯大盛りで。
(友子)守田先生ってさ…。
これドレッシングなしにしてもらっていいですか?
(友子)昔の千鶴さんにちょっとね近いもんがあんのよね。
やめてよ。
あっ。
ポテトサラダを頼んだんだけど?
(友子)いやぁ。
でもやっぱちょっとまずいか。
渡辺本部長から恋愛禁止令が発布されたばっかだもんなぁ。
だから…。
(友子)いただきます。
(奈々)あれって本気なのかな?すごい困るんだけど。
いただきます。
(友子)高橋先生に迫れなくなっちゃうもんね。
(奈々)はあ?あんな誰彼構わず手出す人旦那候補に入りません。
(友子)病院内はやめといた方がいいと思うよ。
(奈々)何でよ?おしどり内科医夫婦の友子さんじゃない。
(奈々)はい。
(友子)セーフ。
(奈々)分かった。
すぐ行く。
ノルアド0.1ガンマで開始しといて。
(奈々)食べていいよ。
いってらっしゃい。
(友子)頑張ってね。
(奈々)うん。
やっぱりあれが普通かな?
(友子)うん?こないだ友達の結婚式で言われたんだよね。
独身だったら奈々みたいに男を探すのが普通かな?やっぱり。
(友子)まあね。
まあシングルマザーの奈々があれだけがつがつしてんだからそろそろ千鶴さんもこう重い腰上げた方がいいんじゃないの?うーん。
(友子)あら?もしかしてまだ引きずってる?そんなわけないでしょ。
8年前だよ?もう。
即答できちゃってるし。
何年前か。
フフフ。
(友子)《恋をしろとは言わないけどもう恋しないって決める必要はないんじゃない?》
(宗太郎)剥離鉗子。
(看護師)はい。
(大根)電極拭いて。
(看護師)はい。
(宗太郎)サテンスキー。
(看護師)はい。
(宗太郎)ケリー。
ガーゼ。
(看護師)はい。
(看護師)先生。
拭きます。
(大根)吸引して。
はい。
(宗太郎)そこじゃない。
もっと利かして。
はい。
(大根)3−0絹糸。
(宗太郎)ケリー。
(看護師)はい。
(宗太郎)メッツェン。
(宗太郎)エンドGIAちょうだい。
(看護師)はい。
・
(仁志)おう。
どうだった?うちでの初オペは。
勉強になりました。
やっぱすごいですね大学病院は。
高橋先生は特に早いからな。
でもどうしてなんでしょうか?
(仁志)うん?あんなに優れた技術を持ってる人たちなのにどうしてみんな病院の利益だとか出世だとか…。
(仁志)経営本部長に逆らったら職を失うことになるからな。
でも患者さんを救うことが一番大切なはずじゃないですか。
(仁志)病院がつぶれたら終わりだぞ。
まずは自分を守らなきゃ患者だって救えない。
いろんな矛盾を抱えながらそれでも患者を治すために働いてるよ。
大学病院の医者たちは。
(仁志)俺が教授になったら経営本部長の言いなりにはならないから。
それまで我慢してくれよ。
なっ?でも我慢することになるのは患者さんだと思います。
そうかもしれない。
・飯塚さん。
(隊員)飯塚君子さん。
37歳女性。
急性腹症の患者さんです。
(一同)大丈夫ですよ。
着きましたからね。
(涼子)入ります。
柵下ろします。
(宗太郎)移すぞ。
(一同)1・2・3。
(宗太郎)モニター。
ライン。
急げ。
エコー。
胸の音聴きます。
おなか触りますね。
(宗太郎)血ガスもとって。
(飯塚)痛い!大丈夫ですか?私は。
守田先生は?平気です。
あっ!?右手を?大丈夫です。
でも…。
(宗太郎)出てください。
動けないなら邪魔だ。
足押さえて。
・はい。
(宗太郎)早く出て。
すいません。
(一同)足押さえてますね。
大丈夫ですよ。
落ち着いてください。
大丈夫ですからね。
患者さんは?癒着性のイレウスみたいだけど何とか落ち着いた。
来週高橋先生がオペするって。
よかったです。
な…何あれ?ああ。
寝袋です。
何で?回転率を意識しろって話もっともだと思うんです。
ここにはホントに大勢の患者さんがいますから。
で僕なりに考えたんですけど一人一人ちゃんと診るにはもう家帰ってる場合じゃないなって。
ふーん。
そう。
はい。
できた。
ありがとうございます。
よいしょ。
理想の医者だね。
守田先生は。
えっ?困っている人を見たらほっとけないでしょ。
まあでも医者ってそういうもんじゃないですか。
これありがとう。
うん?この前の傘とその前の上着。
ああ。
はい。
それからさっきは本当にありがとう。
ごめんなさい。
ああ。
全然。
大したケガじゃないですから。
なかなかできることじゃないよ。
医者だからってあんなこと。
近藤先生は理想の医者だと思いますよ。
えっ?結婚式の会場で患者さんを助ける姿すてきでした。
三浦さんの件なんですけど…。
・はい。
第一外科。
何歳?分かりました。
すぐ行きます。
急患ですか?大丈夫。
軽度の熱傷。
(大根)拡大手術に変更になる可能性があると考えています。
えー。
今週予定されてるオペは以上です。
(仁志)はい。
では今日のカンファレンスはこれで…。
ちょっと待ってください。
(仁志)どうした?303号室に入院中の三浦さんの全身検索をさせてもらいたいんですが。
(仁志)理由は?動悸と呼吸困難感を訴えています。
(宗太郎)だから入院してんだろ。
膵臓がんの患者さんです。
他に原因がある可能性があります。
(仁志)肺に転移してるってことか?分かりません。
分からないから検査したいんです。
(渡辺)ちょっとよろしいですか?主治医は近藤先生ですか。
この顧客は明日退院予定ですね。
はい。
(渡辺)では一度退院していただいて再度外来という形で検査を受けに来てもらいましょう。
どうしてですか?
(大根)DPC制度。
(渡辺)一度の入院で請求できるのは一つの病名に対する医療費のみ。
それも定額です。
検査処置投薬についてはすればするほど病院側の損失になります。
おまけにもしも入院中に2つの病気を治療しようものなら原則的にどちらか一方の治療費しか請求できない。
つまり別の病気の分はわれわれはタダ働きしなければならないんですよ。
お金のことを気にしている場合ではないと思います。
(渡辺)急を要する検査なのですか?だからそれを確認するために検査したいんです。
(渡辺)申し訳ありません。
私は医療に関しては素人なので分かりやすくお答えください。
現状500人いる入院患者1日1,000人訪れる外来患者の対応を後回しにして病院に損をさせてそれでも今日やらなければいけない検査なんですか?患者さんのためにできること全てやるのが医者の務めだと思います。
(渡辺)「思います」?あなたの思いはどうでもいい。
医者なら客観的に答えてください。
主治医の近藤先生はどのようにお考えですか?大学病院の医師としての冷静な判断をお聞かせください。
退院後検査を受けに来てもらいます。
いいんですか?これで。
別の病気が見つかるかもしれないのに。
検査しないって言ってるんじゃないんだから。
退院した翌日にすぐに来てもらう。
でも三浦さんのためを思ったら。
主治医は私です。
境界線を越えないで。
何度言ったら分かるの?それで平気なんですか?まだ病気を抱えてるかもしれない患者さんがいるのに利益のために放り出すなんて。
大学病院の先生はそれで平気なんですか?平気なわけないでしょ!本当は何の不安もない状態で退院してもらいたいよ。
医者なんだから。
だったら…。
患者さんはたくさんいるの。
三浦さん一人を特別扱いできない。
世話になったね。
(光弘)お元気で。
(三浦)ああ。
ありがと。
あした必ず検査受けに来てくださいね。
(三浦)気が向いたらな。
何かあったらすぐに連絡くださいね。
(三浦)はい。
ありがと。
(光弘)これが大学病院の限界ですよね。
(永島)進んでますか?
(宗太郎)あっ。
お疲れさまです。
(永島)ああ。
いい。
うん。
(永島)あした私ねあのう鳴洋病院に招かれて肝門部胆管がんのオペをすることになってるんだ。
(宗太郎)はい。
やはり教授の腕を頼りにしている患者は多いですから。
(永島)いや。
それがさっきね脳転移が見つかったっていう連絡が入ってオペしても予後が期待できないんだよ。
(宗太郎)そうですか。
(永島)それでも手を尽くしたっていう事実をつくりたいということなんだな。
(永島)君あした代わりに行ってください。
(永島)ありがとう。
(奈々)何してんの?
(宗太郎)おう。
ここ来ると癒やされるんだ。
(奈々)子供好きだったっけ?
(宗太郎)一応子を持つ親だよ。
(奈々)そっか。
お子さん今何歳?
(宗太郎)6歳。
(奈々)たまに会ったりしてる?
(宗太郎)最後に会ったときはまだこんな感じだったかな。
(奈々)どうして別れたの?そういうプライベートな質問にはもっと親密な関係になったら答えてあげるよ。
(奈々)ホントは年上が好きなくせに。
(宗太郎)はっ?
(奈々)でも勇気がなくて自分より下にばっかり手を出す。
俺の何を知ってんの?
(奈々)カワイイね。
・
(芹香)千鶴先生ってあんなに冷たい人だったんですね。
(谷)ああ。
知らなかった?鉄の女で有名だよ。
(芹香)えっ。
何か三浦さんでしたっけ?患者さんがかわいそう。
・もしもし。
どうしたの?
(和佳子)どうしたじゃないよ。
(和佳子)1日1回は電話よこしなさいって言ったでしょ。
いや。
毎日は多いでしょ。
(和佳子)そんな親不孝なこと言うかね。
一人暮らしの母に。
はいはい。
分かりました。
じゃああしたから毎日かけますよ。
(和佳子)マザコンはモテないよ。
じゃあどうすりゃいいんだよ?
(和佳子)どうでもいいから早く安心させてよ。
いい人見つかった?新しい病院で。
早く孫の顔見せてちょうだいよ。
仕事ばっかりしてないで。
仕事するために来たの。
私だってもう長くないんだから。
母さんは当分元気だよ。
(和佳子)医者が適当なこと言うんじゃないよ。
まあ何かあったらさすぐこっち来ればいいよ。
俺が治すから。
そのためにここに来たんだから。
(和佳子)じゃあ無理しないように。
うん。
じゃあね。
(鈴木)お願いします。
(渡辺)お疲れさまです。
今日も威厳を持ってよろしくお願いします。
顧客が喜びますから。
(渡辺)パンダになったつもりで。
(アナウンス)ただ今より永島教授の総回診を開始いたします。
・
(駆ける足音)
(涼子)失礼します。
(永島)何?
(涼子)318号室の飯塚さんが急変しました。
バイタルは?
(光弘)血圧60台。
意識レベルも下がってます。
(飯塚)うっ!?腹膜炎ですね。
花岡君。
ストレッチャー。
(光弘)はい。
(仁志)患者は飯塚君子さん。
37歳。
2日前に救急搬送され来週腸閉塞のオペを行う予定だったが緊急オペに切り替える。
主治医の高橋先生が不在のため執刀医を早急に決める。
(鈴木)大根先生。
どうですか?
(大根)まあ俺しかいねえよな。
(芹香)何で誰も名乗り出ないの?
(平井)高橋先生の患者だからでしょ。
万が一のことがあれば高橋先生だったらって言われ続けるからね。
(芹香)貧乏くじってことか。
(大根)まあ確かにな。
よし。
決まりだ。
執刀医は近藤。
第一助手は守田。
(奈々)飯塚君子さん。
RSIで麻酔導入しました。
カテコラミンで血圧は維持しています。
いつでもどうぞ。
ではイレウスの試験開腹術を行います。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
メス。
(看護師)はい。
鑷子とガーゼ下さい。
鑷子。
ガーゼ。
(看護師)はい。
電メス。
(看護師)はい。
(宗太郎)敗戦処理から帰還しました。
(茜)あっ。
高橋先生。
(宗太郎)うん?
(宗太郎)状況は?
(仁志)イレウスの原因は骨盤内腹膜炎だ。
右の卵巣にもひどい炎症が起きてる。
(宗太郎)えっ?続けましょう。
近藤先生。
(宗太郎)おいおいおい。
守田先生。
昨日の今日だよ。
2つの病気をいっぺんに治そうとするなって言われたばっかりでしょ。
(宗太郎)そもそも卵巣領域は第一外科の範疇じゃない。
婦人科に回さないと。
(鈴木)婦人科の人間は学会であしたまで出払ってます。
(宗太郎)じゃあ閉じよう。
腸の癒着だけ剥がしてこんなに炎症のひどい卵巣そのまま閉じろっていうんですか?
(宗太郎)それがルールだ。
(鈴木)他の科の領域に手を出すと後々問題になります。
それはこっちの都合じゃないですか。
(奈々)うちの婦人科もめるとかなり面倒だよ。
患者さんの負担を考えたら今やった方がいい。
(宗太郎)決めるのは執刀医だ。
君じゃない。
責任を取るのは執刀医だ。
責任なら僕も一緒に取ります。
さてどうする?千鶴先生はそんなにバカじゃないですよ。
付属器摘出術なら長野の病院で経験があります。
付属器摘出とイレウス解除。
2つともやりましょう。
大丈夫。
イレウス解除後婦人科領域の付属器摘出を同時に行います。
はい。
俺の患者だぞ!患者は医者のものじゃありません。
執刀医は私。
外野は黙ってて。
ツッペル。
電メス。
30に下げて。
(看護師)はい。
(看護師)電メス3030です。
はい。
強弯ケリー。
(看護師)はい。
3−0絹糸。
もうちょっと先を利かせて。
はい。
3−0バイクリル。
メッツェン。
お疲れさまでした。
(一同)お疲れさまでした。
(奈々)やるじゃん。
(仁志)申し訳ありませんでした。
(渡辺)病院の方針に背いて手術を断行したと。
(永島)困るよ仁志先生。
私は君の推薦だったから彼の入局を許可したんだから。
(渡辺)このままルールを無視し続けるとなると守田先生には病院を去ってもらわなければなりませんね。
(仁志)いや。
それは。
(渡辺)万が一問題が起きたときにはお二人の責任でもあるということを自覚してください。
(永島)えっ。
痛むの?今ごろになって急に。
・
(駆ける足音)
(光弘)三浦さんが!
(光弘)《ショック状態で緊急搬送されました》《公園のベンチの前で倒れていたところを発見されたそうです》
(大根)くそ!駄目か!代わります!戻ってこい。
三浦さん!
(大根)何で一人で公園なんかに?戻ってこい!戻ってこい!もういい。
もういい。
もうやめて。
やめてあげて。
(大根)近藤先生。
死亡確認しましょう。
死亡時刻午後9時12分。
寒くないですか?桜。
桜は散るときが一番奇麗だって三浦さん言ってた。
初めての患者さんだったの。
三浦さん。
16年前もこの病院に入院してて私の初めて担当した患者さんだった。
慰めとかいいからね。
昨日僕は人の命を救った
今日もまた人の命を救った
けれど救えなかった命もあった
それなのに僕は…
命を救う人間が恋に落ちてはいけませんか?
2015/04/09(木) 22:00〜23:09
関西テレビ1
[新]<木曜劇場>医師たちの恋愛事情 #01[字][デ]【斎藤工がセクシーな外科医に!!】
「ルールと衝突!熱血ドクターが恋に落ちたのは鉄の女!!」
斎藤工 石田ゆり子 相武紗季 伊原剛志 生瀬勝久 板谷由夏 平山浩行 三宅弘城 ほか
詳細情報
番組内容
外科医の守田春樹(斎藤工)は、腕を磨くために、江洋医科大学附属病院の第一外科准教授の先輩・仁志祐介(伊原剛志)を頼り、同病院に移籍することになった。ホテルで仁志と会っていた春樹は、披露宴会場で来客のひとりが吐血して倒れたことを知り、現場に駆けつける。すでにそこでは、披露宴に出席していた江洋医科大学附属病院の外科医・近藤千鶴(石田ゆり子)が処置にあたっていた。ところがそこに、千鶴の担当患者の容体が
番組内容2
急変したとの知らせが入る。春樹は、ここは自分が引き継ぐと千鶴に申し出る。
あくる日、江洋医科大学附属病院を訪れた春樹は、千鶴と再会し、一緒に働くことになったことを伝える。朝、カンファレンスルームでは、シングルマザーの麻酔医・河合奈々(相武紗季)、第一外科講師の高橋宗太郎(平山浩行)、内科医・市川友子(板谷由夏)らスタッフの前で、経営本部長の渡辺幹夫(生瀬勝久)が話をしていた。渡辺は、不貞行為を
番組内容3
働いた医局長を退職させたことを報告し、今後は院内の恋愛トラブルに厳しく対処すると宣言する。春樹は、先輩医師の大根良太(三宅弘城)から、紹介状に書いてあること以外は診るなとの忠告を受け、さっそく外来患者の診察にあたる。しかし春樹は、紹介オペの患者を自分の判断で帰してしまい、大根と衝突してしまう。そんな折、春樹は、千鶴の担当患者で、間もなく退院予定だった三浦が体の不調を訴えていることを知り・・・。
出演者
守田春樹: 斎藤工
近藤千鶴: 石田ゆり子
・
河合奈々: 相武紗季
高橋宗太郎: 平山浩行
大根良太: 三宅弘城
・
市川友子: 板谷由夏
・
仁志祐介: 伊原剛志
渡辺幹夫: 生瀬勝久
他
スタッフ
【脚本】
秋山竜平(『流れ星』ほか)
坂口理子(『私が恋愛できない理由』ほか)
小山正太(『ビター・ブラッド』ほか)
【プロデュ−サー】
中野利幸(フジテレビドラマ制作センター『ディア・シスター』『ラスト・シンデレラ』ほか)
【演出】
田中亮(フジテレビドラマ制作センター『医龍4』『ディア・シスター』ほか)
平野眞(フジテレビドラマ制作センター『HERO』『ディア・シスター』ほか)
スタッフ2
関野宗紀(『ディア・シスター』ほか)
【制作】
フジテレビ
ご案内
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対象ドラマ:月9『ようこそ、わが家へ』火10『戦う!書店ガール』水10『心がポキッとね』木10『医師たちの恋愛事情』
詳しくは各ドラマのHPをご覧ください!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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