ららら♪クラシック「つかの間の幸せの中で〜マーラーのアダージェット〜」 2015.04.09


(「アダージェット」)「ららら♪クラシック」今回は…この美しいメロディー聴き覚えのある方も多いのでは?そう!映画「ベニスに死す」のテーマ曲。

(「アダージェット」)イタリアの巨匠ヴィスコンティ監督の傑作映画の中で全編にわたり奏でられるのがこの「アダージェット」です。
この曲映画音楽ではなくれっきとしたクラシックの作品。
書いたのは19世紀から20世紀にかけて活躍した作曲家マーラーです。
この甘美な旋律はマーラーが愛する妻に宛てたラブレターと言われています。
しかしこの夫婦はやがて悲劇的な運命をたどる事に…。
今回は知るとちょっと切なくなるかもしれない名曲誕生の背景をご紹介します。
「ららら♪クラシック」今年度もよろしくお願いします。
今回はマーラーの「アダージェット」をご紹介します。
私も大好きな作品なので今日は本当に楽しみです。
ゲストは春香クリスティーンさんです。
(一同)よろしくお願いします。
春香さん今のVTRで流れていた「アダージェット」お聴き覚えってあります?大変お恥ずかしい話なんですけどないですね。
聴いた事はないんですけどただものすごくきれいな…そんな曲だなと思いながら聴いてました。
この「アダージェット」冒頭のVTRにもあったように「ベニスに死す」という映画で非常に効果的に使われていて年老いた作曲家が若くて美しい青年に向けるまなざしにこの音楽がぴったりと寄り添うような映像でしたけれどもどうです?こういう年老いたというか衣良さんぐらいの世代の作家や作曲家にまなざしを向けられたら。
びっくりはしますよね。
でも何でしょうね「ベニスに死す」の映画を見てないんですけどなんかこう時空を超えたような愛っていうのがあるのかなって。
今全国の中年男性が春香さんにグッと心をつかまれています。
時空を超えた恋が30歳年下でもある。
それを頂けただけで今日はもう満足ですね。
きれいな曲に乗せてそんな気になっちゃいますね。
この「アダージェット」って…それも非常に興味深いというか。
そうですね。
映画「ベニスに死す」。
この映画の中で美しく流れる音楽が…「アダージェット」はマーラーが書いた「交響曲第5番」の中の一曲です。
5つの楽章から成るこの交響曲。
「死の悲しみ」と「生きる喜び」を感じさせる音楽が展開されます。
「葬送行進曲」と記された第1楽章と続く第2楽章では重苦しい死の雰囲気を漂わせます。
第3楽章からは一転し軽やかで生き生きとした曲調に。
そして「アダージェット」と題された第4楽章。
ここで描かれるのは「愛の世界」です。
最終楽章は「生の勝利」を歌い上げているかのような力強い音楽で締めくくられます。
1904年に発表された「交響曲第5番」。
この曲の完成には1人の女性が大きく関わっていました。
後にマーラーの妻となり彼が生涯愛し続けたただ一人の女性です。
5つの楽章のうち…マーラーはアルマへの愛情を込め最初の計画にはなかった「アダージェット」を新たな楽章として書き上げました。
後にマーラーからこの交響曲を献呈されるほどこの曲を深く理解していた指揮者のメンゲルベルク。
彼は自分の楽譜にこんな回想を書き込んでいます。
「死の悲しみ」と「生きる喜び」を感じさせる交響曲の中にふとあらわれる「愛の世界」。
「アダージェット」はマーラー自身の思いを奏でた「愛の楽章」だったのです。
どうですか?こんな曲を贈られたら。
すごいですね。
1人の女性のために交響曲がガラッと変わったわけですもんね。
またきれいな方ですもんね。
そうなんですよね。
でもそういう交響曲の全体像を変えてしまうほどっていうのはちょっとね…。
どんな出会いだったんだろうな…。
春香さんは経験あります?特に愛する人との出会いなんかでガラッと生き方が変わるとか。
すごく私事の話になるんですけど……っていうのはすごくやっぱり世界観とか見るものが変わるなっていう感じはします。
もちろんあそこまでの日常生活が変わるとかないですけどやっぱり愛ってそういうものがあるのかなっていう。
何か違った色合いに見えてきたり…。
1人でいる時でもですか?そうですね。
そういう事が多分「世の中がバラ色に見える」とかっていう表現だったりつながってくるのかなって感じはしますね。
マーラーはいい大人で40を過ぎてましたけどでもそういう気分だったんだと思いますね。
さあそしてですねこの美しい「アダージェット」を書いたマーラー実は番組では初登場という事になりますので生没年は1860年から1911年。
そして職業まず1つ目は指揮者。
もう指揮者としては最高の地位に上り詰めたという事ですね。
そして2つ目が今日取り上げております作曲家の面ですね。
未完成となった第10番番号がついていない作品も含めるとなんと11曲の交響曲を作曲しています。
大規模な交響曲のスペシャリストという事で作品の長さも6楽章から成るような作品…スケールが大きな作品を書かせたらマーラーしかいないというぐらいのすばらしい作曲家でも指揮者でもあるという事なんですよね。
どんな人だと思います?なんか勝手な印象だと真面目で気難しいところもあるんでしょうけどすごく純粋な方なんだろうなっていう。
どうなんでしょうね?いいところをついてますね。
1860年現在のチェコの小さな村に生まれたマーラー。
兄弟は15人ほどいましたが成人したのはおよそ半分の7人。
マーラーにとって「死」は子供の頃から身近なものでした。
幼い頃から音楽の才能に恵まれたマーラーは20代から指揮者として活躍。
同時に作曲も手がけ歌曲や交響曲を書き始めました。
しかしそんなマーラーを次々と悲しみが襲います。
29歳の時両親と妹が相次いで病死。
そして6年後には弟が自殺。
自身はふさぎ込む事が多くなり健康も害します。
こうした経験がマーラーの作品に暗い影を落とすようになるのです。
苦難を振り払うかのように仕事に没頭したマーラーは数々の歌劇場で指揮者を歴任しついにはウィーン宮廷歌劇場の芸術監督にまで上り詰めました。
そんなマーラーに運命的な出会いが訪れたのは1901年の秋。
マーラー41歳の時でした。
彼女の名前は…22歳のアルマは作曲家を志す音楽家であり多くの男性の心を奪う美貌の持ち主でした。
アルマに一目ぼれしたマーラーはすぐさま求婚し4か月後には結婚。
その時アルマは既にマーラーの子供をみごもっていました。
2人は深く愛し合いアルマは夫が書いた交響曲のパート譜の作成や清書を手伝うように。
「アダージェット」もアルマの手によって清書されています。
清書っていうのはほんとに音楽的な知識だけではなく…そういう意味では…しかし2人の幸せな生活は長くは続きませんでした。
マーラーがアルマの作曲活動を禁じた事も原因で夫婦の間には亀裂が入り始めます。
更に結婚から5年後最愛の長女が4歳で病死。
2人は悲しみの底に突き落とされました。
娘の死にショックを受けたマーラーはこの年心臓病を発病。
更に10年務めた宮廷歌劇場芸術監督の座も事実上の解任となりました。
そして妻アルマは若い建築家と道ならぬ恋に走ります。
夫婦の溝は修復される事なくマーラーは50歳でこの世を去りました。
絶筆となった「交響曲第10番」の楽譜にはこんな記述が。
彼は妻の心が再び自分に戻る事を願いながら作曲を続けていたのです。
マーラーの人生で最も幸せだったひとときに書かれた「アダージェット」。
アルマとの愛の証しはこのメロディーの中で永遠に響き続けているのです。
切なすぎますね。
だって幼少期はずっとつらい思いをして最後もつらい思いをしてほんとに一瞬だけの幸せだったんだなと思うと。
ただ曲は永遠にその幸せを私たちに届け続けるっていう意味ではすごいなと思いますけど。
ほんとに切ないですよね。
そうですね。
確かに才能と美貌に恵まれたアルマなんですけれどもねマーラーの没後も建築家や作家と再婚をしてったり。
だからアルマはいつもいつもものすごく才能のある男とつきあっていたっていうのは確かですね。
そういう人が寄ってくる人だったという。
美しいっていうのもあるんでしょうけどそれ以外にもあるんでしょうね。
やっぱり知性と才能がどちらも兼ね備えてあったんじゃないですかね。
彼女がいたからこの曲も書けてるわけですし…って思うとなんかこういい人だったのかなというか男の人のいい部分を伸ばせる…。
それは感じますね。
でもこういう女性の生き方っていうのはどうですか?それだけ愛されてみたいっていうのはありますね。
しかも才能のあるいろんなジャンルの…っていうのはね。
確かにねアルマ度々名字も変わっていて85歳まで天寿を全うするわけなんですけれども…ひっそりと眠っていらっしゃるという事でね。
そう信じたいっていうところかな。
ちょっとなんかほっとするところありますよね。
ここでちょっとブレ−ク!新コーナー…毎月テーマに合わせて皆さんからお寄せ頂いたおすすの曲を発表します!第1回…皆さんからたくさんの曲をおすすめ頂きました!それではメッセージと共にご紹介します。
まずはこちら!新潟県の明訓太郎さん。
「この曲でやる気を上げて新年度も勉強頑張って下さい!」。
さあ続いては!確かに第1楽章って「始まりの季節」にぴったりかも!そして一番多くおすすめ頂いたのは!愛知県のむにょさん他多くの方から「入学式といえばこれ!」というメッセージを頂きました。
皆さんもすてきな音楽と共にいいスタートを切って下さいね!「おすすめクラシック」次回…メッセージもお待ちしています!この音楽が描いているのは「愛の世界」です。
不幸続きだったマーラーがつかの間の幸せの中で書いた…この曲はなぜこんなにも美しく響くのか。
作曲家の美濃さんが解き明かします。
「アダージェット」はなぜこんなに美しく響くのか。
胸キュンというか「ああ…!」って悶えるっていう感覚。
切なく身をよじるというかな。
それがどういうふうに曲に出るんですか?これからご紹介していきますよ。
まずは冒頭に出てくるメロディーなんですがこんなメロディーです。
さあ2回悶えポイントがあったんですけれども。
えっ悶えポイント?これ実はすごくシンプルに弾くと…。
こういう旋律が浮かんでくるんですが…。
その「ドレミ」がファに解決せずに…。
ちょっとじらしてるの分かります?なんか…。
最初に和音が出るとこで…。
こういうふうに解決した響きではなくて…。
ちょっと刺激的なこのキュン。
なんかプラスできてますよね。
早く次の解決した音が聴きたいと待ってる感じ聴き手は。
そこで「きた〜!」みたいなこの…。
待たせてるわけですねしばらく。
じらしてじらしての部分ですね。
更にゆっくりだから更にじらされてる感じがします。
これもうキスを待っているんだけどなかなかしてこないみたいな感じですよね。
たとえが刺激的ですね。
「あれ?まだかな」っていうね。
このぐらいの距離でずっといるけど…。
でも上級テクニックですよね考えたら。
そうなんですよね。
そしてそのあともソに行かずに…。
こういう事ですね。
でも確かに待ってる瞬間に「早く来て!」っていうのが…。
そうですよね。
そういう感覚。
大人の女性になるために覚えて頂きたい。
悶えですね。
さあではですね今度は今のこのメロディーの前にハープという楽器で演奏する部分ですね。
使ってる音は2つだけなんです。
全部ドとラだけですか?そうなんです。
そんなシンプルな事ありますか?ドラドラ…。
ドラドラちゃんなんですここ。
実はこれは「ファラド」という和音の基本で書かれているのでこの一番重要なファの音を抜いてドラと。
ドとラだけを使ってる事によって…宙に浮いてる感じがしますね。
モヤモヤモヤ…という。
これも一つの悶え。
これ普通に「ファラド」という3つの和音でここを弾くと…。
まあ普通だよね。
解決された感じがしますね。
でもつまらない。
ファを抜くだけで…。
曖昧な…。
霧のようなベールのような見えてきそうな。
このあと一体どんなメロディーが出てくるんだろうという事を期待させてあげく出てきたのが悶えのメロディーという作りになっているわけなんですよね。
すごいですね。
このように…是非その辺りにも注目して演奏を聴いて頂きたいと思います。
マーラーの「アダージェット」今日はカット版でお送りします。
いやあ何ていうんですかね多分マーラーの人生を聞いてきたからっていうのもあるのかもしれないんですけど切ない中に一つすごく美しくてこうベールに包まれた美しさを聴いてるような感じがしましたね。
だけど僕やっぱりマーラーってすごい天才だったんだなって思うのはもうこの幸せは壊れるんだよっていうのが分かってるようなすごく不安な感じとか何か壊れる予感みたいなのがするんですよね。
じんわりとしみてくるほんとに崇高な音楽美しさ。
でもこれはやっぱりシンフォニーの中の一曲でもあるのでシンフォニーの中でこの作品が出てきた時のまた感動も違うのでそれも是非。
最初から最後まで全部聴きたいですね。
「アダージェット」をきっかけにマーラーの奥深い世界に浸ってみてはいかがですか?2015/04/09(木) 10:25〜10:55
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「つかの間の幸せの中で〜マーラーのアダージェット〜」[字][再]

甘美な旋律で有名なマーラーの「アダージェット」。美しさのヒミツは「もだえ」にあった!?この作品に一貫して流れる愛の深さにゲストの春香クリスティーンも思わず納得!

詳細情報
番組内容
巨匠ヴィスコンティ監督の傑作映画「ベニスに死す」のテーマ曲としてもおなじみのマーラーの「アダージェット」。甘美な旋律は、マーラーが愛する妻アルマに宛てた“ラブレター”とも言われている。しかしこの夫婦はやがて悲劇的な運命をたどることに…。知ると切なくなるかもしれない名曲誕生の背景に迫る。新コーナーでは視聴者の皆さんから寄せられたオススメのクラシックを発表!「スタートの時に聴きたい」曲に選ばれたのは?
出演者
【ゲスト】春香クリスティーン,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【出演】指揮者…山田和樹,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団,【語り】服部伴蔵門

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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