(泣き声)
(泣き声)
(泣き声)
(上田真紀子)助けて…。
助けて…助けて…!
(エレベーターの到着音)
(池内弘二)ちょっとお兄さんいいですか?
(門脇聡)何?ここに上田真紀子さんっていう女性がいるんじゃないかと思って…。
(門脇)そんな女知らないな。
部屋間違えてるんじゃないの?ちょっと中確認させてもらっていいかな?
(門脇)いや…!
(刑事)待て!待て門脇!
(刑事)待て!待て…!
(池内)こっち来いほら!
(門脇)やめろよ!
(刑事)おとなしくしろ!
(門脇)オラッ離せや!
(池内)じっとしてろほら。
(門脇)そんな女知らねえよ!
(刑事)おとなしくしろ!
(池内)…くらうぞこの野郎!
(門脇)オラーッ!離せ!
(刑事)門脇!おとなしくしろ!
(門脇)オラーッ!門脇!彼女は確かにいたんじゃねえか!おい逮捕だ逮捕。
(門脇)知らねえよ!2時11分現行犯逮捕。
(門脇)オラーッ!くっ…。
(鶴丸あや)はあ〜まったく何考えてるんだかねぇ…。
(鶴丸りん)ただいまー。
りんあんた遅いじゃないの。
早く帰ってくるって言うからお母さん大慌てで夕飯の支度して待って…。
あら!友子ちゃんいらっしゃい!
(成増友子)こんばんは。
(りん)友ちゃんも食べていくでしょ?ほら上がって上がって。
あっお母さん友ちゃんの分もある?うん。
あっ…私はいいわよ。
講義ノート借りたら帰るから。
いいわよ遠慮しないで。
(りん)そうよ遠慮しなくても。
ちょっと待って。
講義ノート持ってくるから。
もうねこの顔と差し向かいでご飯食べるの飽きちゃったし。
それはお互い様でしょ。
ああそうですか。
はい。
ふふふ…。
でも申し訳ないです。
ううん。
あなたが帰って夕飯作らなきゃいけないの?あっいえ…おじいちゃんは残り物でさっさと食べちゃってるし。
父はいつも帰りが遅いから大体家で食べません。
ああそう。
じゃあいいじゃない。
ねっ?ほら座って座って。
あっそうだせっかくだから何かもう1品…。
ごま和え作ろう!ねっ!ふふふ…。
お肌ツルッツルになるわ!ツルッツルツルッツル。
お待ちどおさまでした!特製ごま和えお肌ツルツル!ありがとうございます。
はいどうぞ。
ホントおいしいです。
お世辞じゃなくて。
そう?よかった。
いつも家で1人でモソモソ食べてるだけだから何食べてるんだか味も素っ気もなくて…。
りんがうらやましい。
今日はたまたま品数あるけどいつもは手抜き手抜き。
文句あるなら自分で作りなさいよあんた。
とってもおいしいです…。
ははは…何それ!ふふふ…。
時々死んだ母が白いエプロンを着けて台所に立ってる夢を見るんです。
でも私がテーブルにつくと母はパッと消えちゃう…。
ごちそうを食べ損ねるの?そう。
お腹すいて目が覚めちゃう。
お料理上手だったんでしょうねお母さん。
ねえ友子ちゃんお母さんの料理で何が好きだった?うーん…。
それがよく覚えてないんですよ。
ふ〜ん。
薄情な娘です。
成増さんは?お父さんは何が好きなの?それもよく知らないんです。
何が好きで嫌いか。
あんまり話もしないし。
うん…成増さん忙しいからね。
ずっと離れて暮らしてたからうまく話せなくて。
時間が解決してくれるわよ。
ねっ。
だといいんですけど。
(池内)どうするつもりだったんだよ?彼女を拉致監禁して。
そんなことしてねえよ!俺は真紀子と結婚するつもりだよ。
見え透いた嘘つくんじゃないよ!
(成増清剛)門脇。
お前最近宮迫とつるんでるらしいな。
知ってるんだろ?宮迫良太。
(池内)聞こえてるんだろ?返事しろよ!「兄貴兄貴」って宮迫のケツくっついて歩いてたそうだな。
あのタチの悪いホスト崩れに女から金巻き上げる方法でも教わったんじゃねえのか?
(門脇)兄貴は…関係ありませんよ。
何だ?聞こえないんだよ!ごちそうさまでした。
とてもおいしかったし楽しかったです。
何かすっかり遅くなっちゃったね。
あっお家に電話しておこうか?あっいえ大丈夫です。
またいつでも遊びにいらっしゃい。
ありがとうございました。
じゃあここで。
気をつけてね。
バイバイ。
友ちゃんお母さんが欲しいんだね。
いつ亡くなられたんだっけ?小学校3年の時って言ってた。
それからおじいちゃんとおばあちゃんに育てられて…。
(タクシーのドアの開く音)お父さんも欲しいのよ。
お父さんはいるじゃない。
いるようないないような…。
どういう意味?うん?
(ため息)
(成増清一)おかえり。
あっただ今帰りました。
あれっ友子は?
(清一)まだみたいや。
まったく…もう11時回ってるっていうのに。
大学を遊ぶところだと勘違いしてるんじゃないかな。
門限決めますかね。
(友子)ただいま。
ああおかえり。
遅かったね。
(友子)うんちょっと…。
清剛。
何も言わんのか?いやもう帰ってきたからいいじゃない。
おやすみ。
おやすみなさい。
みんなご飯ちゃんと食べてる?太田さん今朝何食べた?
(太田勇一)コーヒー1杯とリンゴを…。
まあ…それがまともな社会人の朝食?本木あんたは?
(本木恵介)コンビニでおにぎり買いました。
シーチキンマヨを1個。
3日前に賞味期限切れてたんですけどこれまだまだ全然いけましたよ。
まあ…。
それが日本のサラリーマンのブレックファーストなの?もう…。
何か食べたいものがあったら私に言って。
何でも作ってお腹いっぱい食べさせてあげるから。
だって私はみんなの母親代わり…ううん恋人代わりって思ってもらってもよろしくてよ。
うふふ…ちょっと副部長の部屋行ってきます。
何だ?鶴丸…。
突然母性に目覚めやがって。
太田さん今鶴丸検事恋人代わりって言ってましたよね。
…ってことはこれひょっとしたら一種の愛の告白ちゃいますか?ハッ…誰に?いやそれはもちろん…。
これ灰皿?違います。
灰皿?違います違います違います…。
せっかく買ったのに!
(友子)ねえりん。
りんも行かない?いいねいいね。
陽子と恵も行くんだけどほら人数多いほうが楽しいし安くなるし。
何泊?2泊。
うちはダメ。
1泊でも際どいのに2泊なんてとてもとても…。
「学生の分際で温泉なんて生意気よ」でおしまい。
適当に嘘をついて出てくれば?バレたら半殺しよ。
友ちゃんちはオッケーなの?何も言わないで行っちゃう。
誰も私に関心ないし。
そんなこと…。
山の中のひなびたとても素敵なところよ。
行ったことあるの?うん。
小さい頃お母さんとね。
(教授)おはよう。
(一同)おはようございます。
宮迫。
久しぶりだなぁ。
門脇パクったぞ。
お前知らねえのか?
(宮迫良太)チャラチャラ付きまとうんで一時遊んでやりましたけど関係ありませんよあんな奴。
けどなあの野郎お前の悪口をペラペラペラペラしゃべるからちょっと相手してやってるだけなんだよ。
ははは…!成増さん相変わらずお仕事大変ですね。
お互い様だよ。
成増さん。
お嬢さんお元気ですか?うん?確か友子ちゃんでしたっけ。
俺が成増さんと親しくさせてもらった頃は友子ちゃん確か中学生だったかな。
…ってことは今はもう女子大生?ふふふふ…。
いい女になったでしょうねぇ。
はははは…!
(伊藤冴子)良太。
ごめん遅くなって。
遅いよ。
気分悪くなったから店変えよう。
うん!払っておいて。
はい…。
(冴子)お願いします。
ええ…コーヒー1つで400円いただきます。
はい。
これで。
(店員)はい。
たまには早く家に帰ったら?って言おうと思ったのにでも酒飲んで引き止めてるっていうのは何か私矛盾してるわよね。
そうだな。
あのよ新聞の投書でな家帰って出迎えてくれるのはなペットの犬だけって言ってたんだよ。
それでよ世のお父さん連中はよ酒飲んで帰宅時間を遅らせてそれで1人寂しくこうやって帰るんだってよ。
はいはいこれ持って。
南蛮漬け。
はいはい。
はいはいはいはい…でもお宅には友子ちゃんがいるじゃないの。
あいつはな…俺より遅かったりするからな。
ええっ?あっごめん。
この間さうちでご飯食べてて遅くなっちゃったのよ。
ごめんなさい。
えっホント?うん。
それはごちそうさまでしたね。
あっじゃあ今度さ俺がおごっちゃうから。
ちょっとそんなこといいわ…そんなこと言ってるんじゃないの。
友子ちゃんねお父さんのことすごく心配してたわよ。
亡くなったお母さんの分まで自分が心配してあげなきゃって。
ほう…やさしいところあるんだな。
俺にはそうでもねえけどなうん。
成増さんが友子ちゃんにやさしくしてあげなきゃ。
うん…そうだな。
お母さんがいないんだもの。
お母さんの分もやってあげなきゃ。
うーん…。
あいつはなお母さん子だったからね。
そう…。
俺が代わりになれるかなぁ?うちはさ俺も親父も無口で口下手で…何ていうの「男は黙って何とか何とか」ってタイプだから。
(ため息)そうか…。
まあおしゃべりな男よりはずっといいけどね。
実はさ…。
うん。
うちの女房が死んだ時俺山梨県警にいたんだよ。
それで飛んで京都に帰って…。
まあ死に目には会えなかったんだけどお通夜とお葬式喪主務めてね。
でその間一度も泣かなかったってうちの親父未だに褒めるんだよ。
そんな家だようちは。
でもさ友子ちゃんは女の子よ。
成増家の家訓を曲げてでも友子ちゃんと話す機会を増やしてあげてよ。
親子なんだもん話せばわかる。
違う?そうだよな…。
うん。
(ため息)ああ急用って何?事件絡み?いや違う。
あっじゃあごめん。
後でこっちから電話するから。
今日さ仕事立て込んでて太田さんこんなんなっちゃって。
友子のことなんだけど。
友子ちゃんの?友子ちゃんどうしたの?えっ…いやぁ…昨日家に帰ってこなかったんだ。
あっ…友達のとこか何かに泊まってるんじゃないの?そっち行かなかった?えっいやうちには…。
うちの親父によると友子今まで一度も外泊したことないっていうし遅くても12時には帰ってたっていうから…。
りんに訊いてみるから。
ねっ。
(電話の呼び出し音)
(アナウンス)「ただ今留守にしております」「ピーッという音の後に…」ああ…留守電。
もう肝心な時に。
ねえ。
まったく…。
(高原純之介)おっ鶴丸検事。
あのね…。
おおこれは成増さん。
ご苦労さまです。
ええっと…じゃあねこっちが済んだら私の部屋へ。
はいわかりました。
じゃああの…りんちゃんと連絡取れて何かわかったらさあの…電話ちょうだい。
オッケーもちろん。
あっねえ成増さん。
そんな深刻になることないわよ。
もうさ理由がわかったら「なーんだ」なんて笑い話になるようなことよ。
今夜あたりけろっと帰ってくるわよ。
ありがとう…。
じゃあね。
ふふっ成増君も顔に似合わず随分ナイーブなところがあるんだなぁ。
ええっ?娘さんがたった1日帰ってこなかったぐらいでうろたえるなんてさ。
それはやっぱり心配ですよ!私だってうちのりんが朝帰りなんてことになったらそれこそもう半狂乱で…。
まして娘がかわいい男親ともなれば…。
うちにも小学生の娘が1人いるがそんな心配とはまったく縁がない。
ああリンダちゃん?おう。
うちのリンダは活動的な子でね。
ただしどこへ行くにしても私か女房にきちんと言って行く。
でも「お友達の家に遊びに行ってくる」なんて言って陰で悪さしてるんじゃないかななんて疑ったこと…。
まったくそんな心配も危惧も持ったことがない!私とリンダは深い信頼関係で結ばれているんだ。
信頼関係ねぇ…。
成増君はあれかな一緒に風呂入ったことないのかな。
誰と?うん?いやお嬢さんとさ。
あっ…やだもう。
成増さんの娘さんはもう大学生ですよ。
そんな大学生にもなって父親とお風呂に入る娘なんて…。
鶴丸検事!はい?父親と大学生の娘が一緒にお風呂に入っちゃいけないって法律はあるのか?刑法第何条何項だ!?いえいえあのその…。
あっ副部長はリンダちゃんとお風呂に入ってらっしゃるんですね。
当たり前だよ。
毎日洗いっこしてる。
ふふふ…そうだなぁ。
う〜んリンダが嫁に行くか家を出るその日まで続けるだろうなぁ。
信頼関係か…。
至福の時だねリンダとのお風呂は。
ふふふふふ…。
(宮迫の声)お嬢さんお元気ですか?確か友子ちゃんでしたっけ。
今はもう女子大生?ふふふふ…。
いい女になったでしょうねぇ。
ねえホントに知らない?
(りん)知らないわよ。
友ちゃんがどこへ行ったかなんて。
同じこと何度も訊かないで。
ごちそうさま。
ねえ学校で会わなかった?友達にも訊いてみてよ。
訊いてみるけど…当てにしないでよ。
今の子ってみんなきちんとコミュニケーション取ろうとしないから。
人は人私は私。
人のことに関心ないのよ。
ねえちょっとちゃんと訊いてよ!はいはい。
もう…。
「はいはい」って…。
(ため息)あっ友ちゃん?温泉どう?楽しんでる?明日早めに帰ったほうがいいと思うよ。
(鐘)
(鐘)上田真紀子さんと合意の上で暮らしてたっていうんだったら何で彼女をベッドに縛り付けてたんだよ!彼女が縛ってくれって言ったんだよ。
あの女そういう趣味なんだよ。
ふざけんな!往生際が悪い奴だなぁ。
お前がいくら嘘八百並べたってな裁判官はお前の言うことなんてすべてお見通しなんだよ。
成増さんこんなところでのんびりくっちゃべってていいの?宮迫の兄貴お宅のお嬢さんとよろしくやってるそうだよ。
(池内)ほざいてろ!千里眼かお前は。
中にいて外にいる兄貴分のやってることがわかるのか?
(門脇)ふふふ…それがわかるんだよ。
昨日接見に来た弁護士から聞いて…。
(ノック)失礼します。
あっ池内さんちょっとお願いします。
ああ。
(ため息)ちょっと休むか。
あんた怖いの?俺と一緒にいるのが。
うん?あんたのお嬢さん兄貴の言いなりらしいよ。
いい男だし口はうまいし。
どんな女だってコロリ。
おまけに兄貴ってテクニシャンだから俺が落とせなかった女でもいつも簡単に落とすんだ。
ふふふ…今頃あんたの娘メロメロになって…。
ははは…!女子大生だろ?あんたの娘。
はははは…。
ああ兄貴がうらやましい。
警部補もうやめてください!
(門脇)うわっ!また飛ばされますよ!うるせえんだよオラ!
(門脇)誰かー!オラ…!
(門脇)ああっ!何やってるんですか!
(門脇)折れたー!あの…検事にお話しがあるっていう方がいらっしゃってるんですけど。
ちょっと待ってもらって。
いやでも時間は取られないからと…。
やっちゃわないとほら。
検事!はい。
お嬢様です。
えっ?あんた何やってんの?温泉!?私友ちゃんに誘われたから行ったの知ってたの。
でもしゃべるとあとあと友ちゃん達との関係が微妙になると思ったから。
温泉旅行なんてもう…学生の分際で!お母さんは絶対そう言うと思ったから私は即断ったけど。
当たり前でしょ!何かその温泉って友ちゃんの思い出の場所みたい。
うん?昔お母さんと行ったって。
で友子ちゃんもう帰ってきたの?さっき自宅に戻ったってメールが。
ああもう…。
それ知らせたくて。
地検にあんたが来たからびっくりしたわよ。
そうだ。
成増さんに知らせてあげよう。
ねっ。
ええと…「な」…。
もしもし鶴丸です。
いい知らせよ。
友子…はっ?ちょっと。
もしもし?なっ…何言ってるの?ねえ池内さん何があったの?電話の話じゃちんぷんかんぷんで。
成増さん門脇っていうスケコマシの挑発に乗ってぶん殴っちゃったんですよ。
まあ成増さんらしくもない。
まあらしくないっていうか…でもこの2〜3日成増さん何か変でしたね。
寝不足のうえに深酒したみたいで顔色悪くて。
クビになったって言ってたけど違うんでしょ?ううんクビじゃないですがしばらく自宅待機ってことで。
殴られた被疑者が大騒ぎするもんで府警本部も知らんぷりできなかったんですよ。
それで休職処分に。
だけど挑発に乗るったってそんなの取り調べじゃよくあることでしょ?何言われたの?成増さん。
お嬢さんのこと言われて成増さんカーッとなって。
りんから聞きました。
皆さんにご心配をかけて…すみませんでした。
親に黙って温泉旅行なんて…感心しないな私は。
あなたがお母さんならきっと黙って行かないと思います。
りんみたいに。
母です。
お母さんのお骨?どうしてもそばに置いておきたくて分骨を。
ああ…。
おじいちゃんに早く納骨しろっていつもしかられてるけどもう少しもう少しって…。
お母さん子だったんですってね。
今回行った温泉も昔お母さんと一緒に行ったところだったんですって?母が死んだ時私ずっと泣き詰めで…。
もうこの後一生泣かないんじゃないかって思うほど泣いちゃった。
でもその後も母のことを思い出すたびに…。
バカでしょう?私。
お母さん幸せね。
そんなに愛してくれる娘がいて。
父は私と反対で泣かない。
おじいちゃんは男らしいって父を褒めるけど私は嫌い。
大嫌い。
母が死んで泣かないなんて許せない。
一昨日母の命日だったんです。
それでお母さんの大好きだった温泉へ行こうと…。
(桜井麗子)でもあそこのご主人あんなに早く亡くなるとは思わなかったわよ。
お葬式はもう済んだの?うん昨日。
(吉川香織)あそこの奥さんめっちゃ若いんちゃうん?
(漆原さやか)25って言うてたわ。
へえ〜。
(柿野たまこ)小さい子供と2人これから大変ですね。
いやでもあの奥さんさお通夜もお葬式も涙も流さずに気丈に乗り切ったわよ。
何言うてんの!こういうのはな後からグーッと悲しみがくんねんて。
そやそや。
お葬式の緊張が解けたらほんまの悲しみが…。
そうよねぇ。
涙流せば悲しくて流さないから悲しくないなんてことはないはずよ。
そうよ。
きっとさみんな同じふうにすっごく悲しくて…。
反対に悲しすぎて涙が出ないってことだってあるんじゃないかしら。
きっとそう。
どうぞ。
あったまりますよ。
何か入り用なものがあったらおっしゃってください。
おいおい…。
ああ…。
監禁された女性が見つかったって聞いたけどホシは宮迫か?いや今のところはまだ…。
これからガイシャに会います。
そうか…。
じゃあ何かわかったことがあったら教えてくんねえか俺に。
謹慎中だけどよ。
ああ。
待ってて。
(太田)あっ池内さん!ちょうどよかった。
この間の大宮の傷害事件の供述調書…。
(池内)後にしてください。
(太田)不明な点が何点か…。
(池内)後で。
(太田)確認してくださいよ!後にしてください。
忙しいんです私だって!怒られちゃうんだから検事に!池内さん!ゆっくりでいいですから思い出してみてください。
あなたをマンションの部屋に閉じ込めていた男の特徴とか人相とか…。
その他で何でも思い出せること全部話してもらえませんか?宮迫…。
えっ?宮迫良太…。
宮迫…?あなたを監禁してた男は宮迫良太なんですね?はい間違いありません…。
(伊藤耕一)冴子!冴子…。
(泣き声)
(泣き声)太田君から聞いたよ。
また脇道にそれて心ここにあらずで本来の仕事がまったくはかどってないみたいじゃないか。
成増さんのことが気になって…。
ああ。
あの休職はねすぐ解けるよ。
あの処分は府警本部が世間体をおもんぱかっての…。
いえいえ気になってるのは成増さんと娘さんの関係についてで…。
いやこんなこと言ったら副部長は一緒にお風呂に入れば解決するっておっしゃるでしょうけど…。
お風呂ね…。
はい。
お風呂はうちもダメになった…。
はっ?昨日初めてリンダに断られた。
誠に無念だ…。
あのちょっと…泣いてます?泣いてなんかいないよ!うわ…。
こんな父親だったらよかったのになぁ…。
いや成増さんと娘さんのわだかまりの原因は涙なんです。
涙?はい。
涙を流さない父親に娘さんはずっと不満を持ってて…。
話はよくわからないけども何だか難しい問題みたいだな。
それ考えるともう頭がいっぱいになっちゃって…。
女は難しいよなぁ…。
わかりやすいなぁ!失礼します。
(ため息)何?鶴丸おばちゃん。
池内さんからこちらに日参してるって聞いて。
謹慎中だからね。
もう休んでても暇で暇でさ。
散歩がてらねちょっと顔出しただけなんだよ。
いや…ちょっと聞いてると思うけど俺があの宮迫と会った時あそこの家の娘さんも一緒だったんだよ。
あの時な俺が強引にでもこう引き離しちゃえばあんなことにならなかったって責任感じてるんだけどな。
それだけじゃないでしょ?あの父親が自分に被害者が友子ちゃんに重なって見えて…。
それででしょ?俺はあんな立派な親じゃないよホントに。
(ため息)俺ホントにびっくりしたよ。
成増さんですよね?うん。
あの府警本部の成増さんですよね?俺も驚いちゃうんですけどそんなの。
だろ?成増さんがどうしたって?いや大した話じゃないです。
本木次の被疑者を。
今日はもう終わり…。
バカ野郎!嘘でも出てきゃごまかせるだろ!太田事務官。
成増さんの話って何の話?ぜひ聞かせてちょうだい。
いやいや大した話じゃないんですよ。
話して!おしゃべり九官鳥!成増さんが泣いてたって話ですよ!泣いた!?ちょっとどういうこと?えっ?どういうことよ!絞まってる…。
はいお待ちどおさま。
ああどうも。
ちょっと寝ないでよ!イタッ…暴力反対!寝ないでよまだ!いらっしゃい!あっ…!
(店員)お飲み物は?
(友子)あっ後で…。
何で中京署で油売ってたのよ?
(太田)だから言ったじゃないですか!池内さんに例の傷害事件の供述調書をチェックしてもらおうと思って…。
検事が行ってこいって言ったんじゃないかよ…。
池内さんに会いに行って何で休職中の成増さんに会ったりなんかしたの?知りませんよ!池内さんが待ってろっていうから僕はトイレで踏ん張ってたんですよ。
それでそのトイレで成増さんに会ったのね。
それで?個室から出たらね知った顔がいるぞって思ったら成増さんなんですよ。
しかも驚いたことに…。
うん。
検事あんたしつこいな。
何回同じ話を聞かせたら気が済むんだよ?だって太田さん私太田さんの話聞いてびっくりしたんだもん。
何回でも聞きたい!ねえねえさあさあさあ話して話して。
飲んで飲んで飲んで話して話して。
個室から出たらね成増さんがいたんですよ。
しかも驚いたことに泣いてたんですよあの人。
へえ〜。
(太田)しかも半端な泣き方じゃないんだ。
おいおいおいおいって感じで…。
どうして?僕も気になったんでね聞き込みをしてみた。
そうしたらねろくでもないスケコマシに監禁されてた女性が中京署に保護されてたのね。
それで引き取りに来た父親とひしって抱き合ったんですって。
それが多分ねあの人…。
急に呼び出してごめんなさいね。
でも今の話どうしても聞いてもらいたくて。
人の家のことでは泣けるのにどうして自分の家のことでは泣けないのか…。
私にはわかりません。
(池内)宮迫!
(宮迫)離せ!
(宮迫)離せ!離せ!
(池内)うっ!宮迫。
オラーッ!おい池内!俺謹慎中だから。
ワッパねワッパ。
(宮迫)ああー!うるせえな。
(蹴る音)やりすぎだよやりすぎ。
ワッパ!友子ちゃん!あなたが温泉へ行った日。
お母さんの命日。
お父さん何してたと思う?知りませんよ。
私も知らない。
でも…これは想像だけどたぶんお父さんはお母さんの仏壇の前に座って長いこと話し込んでたんだと思う。
あなたのお父さんは人の悲しみがわかる人よ。
人のために涙が流せる人。
そんな人が自分の奥さんが死んだ時に悲しくないわけがないじゃない。
そんな人だったらあなたのお母さんが惚れるわけないじゃない。
これ主婦の勘。
友子ちゃん…。
ありがとうございます。
(ふすまの開く音)ただいま。
おかえり。
悪い。
いてあげて。
お母さんのそばに…。
今日も遅かったな。
ごめんなさい…。
よし!友子門限決めようか。
夜10時でどうだ?えっ?早いよ。
早い?じゃあな10時…18分。
微妙…。
微妙か?その代わりなお父さんな酒やめるから。
そんなのしなくて…。
いやいやもう決めたの。
決めたんだから。
なっ決めた!私お父さんがお酒飲んでるところ見るの好きだよ。
あっ?私一滴も飲めないけどでもお燗つけるのうまいねって褒められたことある。
誰?おおお男…!?違うよ!大酒飲みの女友達がいて…。
だからお父さん飲んでいいよ。
私が燗つけてお酌してあげる。
そんなこと言ってお前あれだろ。
門限延長させようと思ってるんじゃないの?そんなことしないよ。
10時でいい。
ほう…。
私ホントは家でボーっとしてるのが好きなんだ。
門限10時って言えば悪い友達の誘いも断れる。
お前…悪い友達いるのか?はっ?お父さんって意外とお父さんらしいのね。
何言ってんだバカ野郎。
ふふふ…。
友子お母さんそろそろお墓に帰してやろうか。
そうだね。
私もそう思ってた。
長い間私のわがままに付き合ってくれたお母さん。
(鐘)
(鐘)あっ!おはようございます。
鶴丸検事様様。
あらあらまあまあ。
お陰さまでですねうちの娘と…。
聞かなくてもわかる!そのいい鐘の音を聞けば。
ありがとうございます。
あっおばちゃん今何時?
(咳払い)お姉さんの時計では8時ちょっと過ぎ。
あっやばい!俺な友子にな8時に起こしてくれって言われたんだ。
行かなきゃ…。
ちょっともう…。
ははは…。
急にいいお父さんぶって。
ふふふ…。
あっ!じゃあ私が一丁!
(鐘)2015/04/09(木) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
京都地検の女5[再][字]
「刑事の娘が失踪!取調室に潜む悪の罠!!」
詳細情報
◇番組内容
“主婦の勘”を武器に難事件に立ち向かう京都地検検事・鶴丸あや(名取裕子)の活躍を描く大人気シリーズ第5弾!春の京都を舞台に、事件の裏に隠された心の奥深くを描き出す大人のミステリー。
◇出演者
名取裕子、寺島進、益岡徹、渡辺いっけい、蟹江敬三 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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