道徳ドキュメント「あやちゃんの卒業式」 2015.04.09


池上さんちゃんとこっち見て!はい。
ピース。

(テーマ音楽)大阪市のある小学校で卒業式が行われました。
卒業生の先頭には女の子の写真。
2年前になくなった…あやちゃんとよばれていました。
「卒業証書梶原文乃」。
あやちゃんと同級生たちの短くも深い心の交流をたどります。
あやちゃんが通っていた淀川小学校。
取材を始めたのは卒業式の2か月前です。
6年1組の教室にはみんなを見守るようにあやちゃんの写真が置かれていました。
なくなってから2年。
あやちゃんは今もたいせつな同級生です。
あやちゃんには生まれたときからダウン症というしょう害がありました。
ダウン症とは知のうや体の発達がおくれるしょう害です。
あやちゃんも生まれて半年で心ぞうの手じゅつを受けました。
入学式をむかえてもあやちゃんはしゃべることができません。
いじめられるのではないか。
母の澄美乃さんは心配しました。
やっぱりやることもゆっくりですしもちろんそのときもなんですが話ができないのでコミュニケーションがとれないと子どもってどうなるんやろうって。
はたしてこの子はやっていけるんだろうかという不安はもちろんありましたし。
入学してすぐ心配はいらなかったことがわかります。
同級生たちがあやちゃんをむかえに来るようになったのです。
「あやちゃんおはよう」みたいな。
そうそう。
ほんでここの近くにおった友達が「あやちゃん来た!」って言って来んねん。
みんな集めに。
ほんだらあやちゃんが「おはようおはようがんばろう」って言うねん。
とびっきり明るいあやちゃんの笑顔に同級生たちはひかれました。
遊びの輪の中心にはいつもあやちゃんがいました。
かわいかった。
よく笑ってた。
いっつも笑ってた。
いっしょにおったらなんかめっちゃ楽しい。
楽しい。
あやちゃんが来るのが楽しみ。
病気でもちゃんと笑って生きてがんばってる子がいると思って。
あやちゃんも同級生たちが大好きでした。
下校のときもっと友達と遊んでいたいと泣きだすこともありました。
しかし楽しいときは4年生の春まででした。
内ぞうの働きが悪くなりきん急入院。
2008年9月あやちゃんは息を引き取りました。
もうそれからあとはまるっきりのぬけがらで自分が生きてるのか死んでるのかもわからない。
なんでわたしはここにおんのやろうというかまるっきり目的を見失ってしまってて。
(チャイム)は〜い。
悲しみにくれる母澄美乃さんを救う出来事がありました。
あやちゃんのおそう式から10日ほどたったとき同級生がたずねてきたのです。
それから2年たった今も学校の出来事やあやちゃんの思い出を話しにやって来ます。
君はちょっとだまっときなさい。
同級生たちはここに来ればあやちゃんの笑顔にふたたび会えるような気がすると言います。
例えばプリキュアになりたいとか。
(笑い声)それほいくえんとかようちえんの子が言うことやんか。
あやちゃんが笑うと自分も笑いたくなるみたいな。
そういう感じになんねん。
でなんかなぐさめてくれるけど…。
あやちゃんおって横でなぐさめてくれるねん。
ほんでかたトントンしてだきついてくるねん。
でむっちゃなぐさめてくれるから勇気っていうか元気もらえる。
月命日とかなくなった日とかになるとあやちゃんのにおいがすんのや。
あれびっくりしたホンマ。
うれしいわ。
同級生たちのほう問に最初はびっくりしたと言う澄美乃さん。
今は心待ちにしています。
みんなはふつうにしてるしどういう感覚なんかなって…。
1年生のときから同じクラスの青山誠君はあやちゃんと特に仲がよかった一人です。
覚えてる覚えてる。
笑ってた。
あやちゃんが育てた畑がここ。
校しゃのうらにある畑はあやちゃんのお気に入りの場所でした。
青山君とならんでよく花をながめていました。
しゃべることができないあやちゃんは悲しいことがあると青山君の服にしがみついて泣きました。
うれしかった。
人にたよられるそんざいになったんやなと思って。
「あやちゃんはおれが守る」。
いつもそう言っていた青山君。
おそう式に出席してもその死を受け入れられませんでした。
あやちゃん見ても真っ白やったから気が遠く行っちゃいそうだった。
信じられんかった。
そのときは見てなみだが止まらんかった。
卒業式の2週間前。
小学校最後の遠足です。
4まいもらえませんか?
(店員)4まい?青山君は遠足に来られないあやちゃんのために記念のシールを集めることにしました。
キティがあるんですか?ありますよ。
ついでにキティももらっとこうか。
キティも4まいで。

(チャイム)ひょっとしてそのまま来た?ほんならちょっと入るか?どうぞ。
遠足から2日後青山君はあやちゃんの家をたずねました。
(澄美乃)出た!「あやちゃん来たで」。
あやちゃん来たで。
あやちゃん来たで。
あやちゃんのお父さん?
(澄美乃)ランドセルおろしたら?
(青山)シール持ってきたで。
(澄美乃)ありがとう。
どこの?ユニバー…あスヌーピーや。
(青山)集めれてん。
自由に取るやつを集めてきたん?へえ〜。
おれらのはんだけやで取れたん。
ほかのはん取り方わからんかってんみんな。
ありがとね。
いつも全力で笑い全力で泣いていたあやちゃん。
青山君の心の中に生き続けています。
母の澄美乃さんは卒業式をきっかけに決めていることがありました。
あやちゃんへの思いに一区切りつけようと考えていたのです。
しかし青山君たち同級生の様子を見ているうちに考え方が少し変わりました。
ホントにこれからもずっとみんなの中で生きていくんだろうなというのは感じますね。
だから区切りをつけなきゃとかって思ってたけどもうそれもやめることにしました。
やっぱりそのうちお友達も大人になって…なったら今みたいなことはたぶん無くなるんでしょうけどそれまではいつでもウェルカムで待ってたいですね。
(はくしゅ)
(司会)1組梶原文乃。
あやちゃんにも卒業証書が用意されていました。
「卒業証書梶原文乃。
あなたは本校において小学校のかていをおさめたのでこれを証します。
平成23年3月18日大阪市立淀川小学校長高島邦夫」。
おめでとう。
ありがとうございます。

(はくしゅ)卒業生は1人ずつ6年間の思い出を語ります。
(はくしゅ)
(司会)青山誠。
はい!あやちゃんと6年間楽しい思い出がいっぱい作れて楽しかったです!
(はくしゅ)ありがとう。
また遊びに来てな。
いつでも待ってっから。
みんな卒業したなホンマ。
終わったななんかな。
でもこれからや。
まだまだ。
6年間いっしょにすごした小学校生活。
みんなでいっしょにむかえた卒業式です。
2015/04/09(木) 09:50〜10:05
NHKEテレ1大阪
道徳ドキュメント「あやちゃんの卒業式」[解][字]

大阪市淀川小6年1組には、2年前に亡くなった梶原文乃さんの写真が飾られている。あやちゃんと呼ばれ親しまれた文乃さんは、皆の心に生き続けている。(2011年取材)

詳細情報
番組内容
大阪市立淀川小6年1組には、2年前に亡くなった梶原文乃さんの写真が飾られている。生徒たちは、亡くなった直後から放課後には文乃さんの家に遊びに行くようになった。最初は戸惑った文乃さんの母・澄美乃さんも、今では子どもたちと話すのを心待ちにする。「おかげで悲しみから立ち直ることができました。」一緒に迎える卒業式…皆の心に文乃さんは生き続けている。友情の尊さ、命のかけがえのなさを伝える(2011年取材)
出演者
【語り】堀伸浩

ジャンル :
趣味/教育 – 幼児・小学生
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
情報/ワイドショー – 健康・医療

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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