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SKE48とNMB48、同日リリースの楽曲を徹底比較 両グループの傾向を読む

リアルサウンド 4月11日(土)16時12分配信

参考:2015年03月30日〜2015年04月05日のCDシングル週間ランキング(2015年04月13日付)

 今週のオリコンランキングでは、3月31日に発売されたSKE48『コケティッシュ渋滞中』とNMB48『Don’t look back!』が、1位・2位にランクイン。48グループ内の直接対決は、SKE48に軍配が上がる形となった。

 ただ、セールスの数字を見ると、SKE48『コケティッシュ渋滞中』が64.0万枚と過去最高の売り上げを記録し、NMB48『Don’t look back!』も44.7万枚とキャリア史上2位となっている。そもそも期末までに売り上げを立てたいというレコード会社の思惑が寄与したのが今回の同日発売だったわけで、そういう意味では「どちらが勝ちか」と言うよりも、両者共にプラスとなる結果になったと言えそうだ。

 というわけで。この記事では、いつものように「誰がセンターか」とか「世代交代」とか「組閣」とか「総選挙」とか、そういった48グループ特有の物語性を置いておいて、あくまで楽曲の音楽的な傾向からこの2曲を分析していこう。というのも、この2曲、なかなかに好対照を見せているのだ。

 まずSKE48の「コケティッシュ渋滞中」は、アップテンポなディスコ歌謡ナンバー。四つ打ちのリズム、ファンキーなベースラインやカッティングギターをベースに、ピアノやホーンセクションやストリングを配したノリのいい曲調になっている。ここ数年のJ-POPにおけるディスコ歌謡と言えばAKB48「恋するフォーチュンクッキー」が代表的だが、「恋チュン」のBPMが122であるのに対し、この曲はBPM140。より高速で、ライブ現場での盛り上がりを重視した仕上がりになっている。

 一方NMB48の「Don’t look back!」は8ビートのタテノリのリズム、ダウンストロークのディストーションギターを活かしたロックテイストなナンバー。〈振り向くな! 昨日より前に出ろ!〉と力強い歌詞が印象的なこの曲だが、こちらのBPMは184。かなり疾走感ある曲調だ。

 そして、この「高速四つ打ちディスコ歌謡」と「疾走8ビートロック」は、SKE48とNMB48双方のグループにとってシングル表題曲の定番となっている。季節やテーマ性によって様々な曲調を見せるAKB48や、ガールポップやバラードソングも多い乃木坂46との大きな違いはそこにある。SKE48、NMB48共に、テンポや曲調の振り幅がほとんどないのだ。

 気になったので、これまでのシングル表題曲(SKE48は現レーベルに移籍後の「パレオはエメラルド」以降)11曲のBPMを調べて、ざっくりとしたリズムパターンや曲調と共に一覧表にしてみた。

(曲調については、ギターが16ビートでカッティングだったら“ファンク“、8ビートのダウンストロークだったら“ギターロック”くらいの非常に大雑把な分類なので、正確には当てはまっていないところは多いと思います。ご留意を)

 これらの22曲では、BPMは138から190の幅に収まっている。ミドルバラードの「不器用太陽」を除いて、リズムパターンもほぼ四つ打ちか8ビート。これらの曲が様々な作り手によりコンペを経て提供されていることを踏まえても、かなり徹底して画一的な曲作りが成されている、と見るべきだろう。

 せっかくなので、SKE48、NMB48のそれぞれ11枚のシングルのBPMの平均値も計算してみた。すると、SKE48は153.0、NMB48が155.5。思った以上に近似である。

 自分でもこの結果にちょっと驚いてしまったが、SKE48とNMB48は音楽性の面においても(そして今回の記事では分析していないが、おそらくHKT48も)、正しく「姉妹グループ」と位置づけることができそうだ。

柴 那典

最終更新:4月11日(土)16時12分

リアルサウンド