日米防衛相会談:辺野古移設方針確認…指針改定へ協議加速

毎日新聞 2015年04月08日 21時38分(最終更新 04月08日 23時00分)

 ◇4月末の最終合意に向けて方針一致

 中谷元防衛相は8日、防衛省でカーター米国防長官と初めて会談し、1997年以来18年ぶりとなる日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定で、「切れ目のない日米協力」と日米同盟の「グローバル(世界規模)な性質」を盛り込むことで一致した。日米両政府は新ガイドラインを踏まえ、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国への抑止力を強化する方針だ。両者はまた、今月末の最終合意に向け、協議を加速させる方針を確認した。

 日米両政府は27日にワシントンで外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、ガイドライン改定で最終合意する。カーター氏は会談後の共同記者会見で、新ガイドラインについて「米軍と自衛隊が切れ目なく協力する機会が増える。世界中で日米両国が直面する諸課題の全ての領域に、柔軟に対応できるようになる」と意義を強調した。

 新ガイドラインは、ミサイル防衛などの対処に当たる米艦船への給油などの支援を平時から可能とし、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」での協力も新設。日本に直接の武力攻撃がなくても、要件を満たせば集団的自衛権を行使し、武力攻撃を受ける米艦を防護することも盛り込む。

 97年の改定は主に朝鮮半島有事を想定したが、今回は軍備拡張を続ける中国への抑止力にも力点を置く。8日の会談では、中国の人工衛星破壊実験やサイバー攻撃を念頭に、宇宙空間・サイバー分野での協力強化も打ち出した。カーター氏はまた、沖縄県・尖閣諸島について「一方的な威嚇的行動で尖閣の施政を脅かす行為に対し、断固反対し続ける」と述べた。

 アジア重視の「リバランス政策」を掲げるオバマ政権も、南シナ海での岩礁埋め立てなど、中国の動きに警戒を強めている。中国は南シナ海で、弾道ミサイルの発射が可能な新たな戦略原子力潜水艦も配備しており、情報共有や警戒監視で自衛隊の協力を得たい考え。中谷氏は会見で南シナ海での協力について「さらに検討する」と語った。

 8日の会談ではまた、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設について「普天間飛行場の継続使用を回避するための唯一の解決策」との認識を確認。中谷氏は沖縄の負担軽減への協力を要請した。【飼手勇介、ワシントン西田進一郎】

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