安倍首相:辺野古移設「確固たる決意で」米国防長官と会談
毎日新聞 2015年04月09日 01時18分
◇日米防衛相会談で世界規模の同盟強調 中国へ抑止力強化へ
安倍晋三首相は8日、首相官邸でカーター米国防長官と会談し、今月末の最終合意を目指す日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定について「同盟の抑止力を強化したい」と表明した。これに先立ち、中谷元防衛相もカーター氏と会談し、新ガイドラインに「切れ目のない日米協力」と日米同盟の「グローバル(世界規模)な性質」を盛り込むことで一致した。日米両政府はこれを踏まえ、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国への抑止力を強化する方針だ。
日米両政府は27日、外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、改定で最終合意する。カーター氏は首相との会談で「日米同盟に歴史的な機会をもたらす」と評価。中谷氏との共同記者会見では「米軍と自衛隊が切れ目なく協力する機会が増える。世界中で日米両国が直面する諸課題に、柔軟に対応できるようになる」と意義を強調した。
新ガイドラインは、ミサイル防衛などに当たる米艦船への給油といった支援を平時から可能とし、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」での協力も新設。日本に直接の武力攻撃がなくても、要件を満たせば集団的自衛権を行使し、武力攻撃を受ける米艦を防護することも盛り込む。
1997年の前回改定は朝鮮半島有事を想定したが、今回は軍備拡張を続ける中国への抑止力にも力点を置く。防衛相会談では、中国の人工衛星破壊実験やサイバー攻撃を念頭に、宇宙空間・サイバー分野の協力強化も打ち出した。カーター氏はまた、沖縄県・尖閣諸島について「一方的な威嚇的行動で尖閣の施政を脅かす行為に断固反対し続ける」と述べた。
アジア重視の「リバランス政策」を掲げるオバマ政権も、南シナ海での岩礁埋め立てなど中国の動きに警戒を強めている。中国は弾道ミサイルの発射が可能な新たな戦略原子力潜水艦も配備しており、情報共有や警戒監視で自衛隊の協力を得たい考え。中谷氏は会見で南シナ海での協力について「さらに検討する」と語った。
一方、首相はカーター氏との会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を含む在日米軍再編について、「今後とも確固たる決意の下で進めていく」と強調。沖縄の基地負担の軽減に対する協力を求めた。【飼手勇介、ワシントン西田進一郎】