安保関連法案:7月末成立へ 政府・与党が方針

毎日新聞 2015年04月09日 03時00分

 ◇15年度予算案は9日に可決、成立へ

 政府・与党は8日、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案について、7月末の成立を目指す方針を固めた。2015年度予算案は9日の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立する見通しで、焦点は安保法制の審議に移る。与党は審議時間を確保するため、6月24日までの通常国会の会期を、8月上旬まで延長する方向で調整している。【水脇友輔】

 安倍晋三首相は8日の参院予算委員会の集中審議で、安保関連法案について「法整備の具体的内容はまだ検討中だが、与党から示された方向性に即し、法案化作業を進めていく」と述べた。政府は5月14日か15日に法案を閣議決定して国会に提出する方針で、首相は記者会見を開き、国民に直接説明することも検討している。与党は、衆参それぞれに特別委員会を設けて審議する方針だ。

 法案の中身と合わせて注視されているのが審議時間だ。過去の安全保障に関する法案では、1992年の国連平和維持活動(PKO)協力法=約193時間(衆院約88時間、参院約106時間)▽99年の周辺事態法など日米防衛指針(ガイドライン)関連法=約161時間(衆院約94時間、参院約67時間)▽03年の武力攻撃事態法など有事法制関連3法=約144時間(衆院約92時間、参院約52時間)−−で、いずれも衆院で90時間前後を確保している。

 自民党の佐藤勉国対委員長は、今回の衆院での審議時間は80時間程度との考えを示しているが、与党内では丁寧な審議に応じる姿勢を示すため、「それ以上の時間が必要だ」(国対関係者)との声も上がっている。

 後半国会では、ほかにも労働者派遣法改正案など与野党の対決法案が目白押しだ。

 通常国会の会期延長は1回しかできないため、与党は他の法案審議への影響もにらみ、延長幅を決める構えだ。

 これに対し、民主党の岡田克也代表は「戦後の安全保障政策の大転換であり、過去のことは全く参考にならない」と反発。

 今国会での成立を急ぐ与党の姿勢を批判し、対決姿勢を強めている。

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