美浜原発:3号機本格審査入り決定 断層調査結論待たずに
毎日新聞 2015年04月08日 20時05分
◇原子力規制委員会 従来の方針を転換
原子力規制委員会は8日、再稼働の前提になる安全審査の申請が出ている関西電力美浜原発3号機(福井県)について、規制委の有識者調査団が実施している敷地内断層調査の結論を待たずに本格審査に入ることを決めた。調査団の結論を受けて審査で断層の活動性を判断するとしてきた従来の方針を転換する。
美浜3号機は運転開始から38年が経過し、原子炉等規制法で「原則40年」とされている運転期限が迫った老朽原発。関電は運転延長を目指しているが、来年11月までに安全審査と老朽化対策の審査に合格しなければ廃炉になる。田中俊一規制委員長は8日の定例記者会見で「限られた時間なんです。少しでも早く軌道に乗せた方がいい」と説明し、審査期間の短さに配慮したことを認めた。
田中委員長はこの日の定例会で、調査団の議論について「重要施設の直下に活動する断層はないという一定の方向性がまとまった」と発言し、美浜3号機の本格審査入りを提案。他の委員からも異論はなかった。
しかし調査団は報告書をまとめていない。6日に開かれた調査団の会合では、活動性を否定できないと指摘する意見も一部の有識者から出た。座長の石渡明・規制委員も「(活動性を)否定、肯定という証拠がなかなか出せない。歯切れの悪いものにならざるを得ない」と述べており、「活動する断層はない」と判断した田中委員長とは見解が食い違っている。
田中委員長は判断の理由について「(会合を見た)私の印象だ」と述べ、有識者ではなく自身の判断だと説明した。有識者の一人は毎日新聞の取材に「活動性はないとはっきり言うのは大いに疑問でフライングだ。何をそんなに急いでいるのか」と話した。【酒造唯、鳥井真平】