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 原爆投下から70年。被爆者たちは12日、体験を世界に伝える「証言の航海」に再び出る。すでに7回の航海を重ねてきたが、核兵器は今もなくならない。高齢になった被爆者は焦りを抱えつつ「核の非人道性」を訴え、思いに応えようとする若い世代も旅に加わる。

 「天国で『核がなくなったよ』と報告できないと、死んでも死にきれない」。岩本麻奈未(まなみ)さん(21)=堺市=の心から離れず、前へ進む原動力になっている言葉がある。広島で被爆し、今は埼玉で暮らす服部道子さん(86)から聞いた。

 京都の大学に通っていた昨年春、岩本さんは「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加していた服部さんと出会った。高校生のとき、空襲体験を話してくれた祖母の姿を描いた絵が美術展で賞をもらった岩本さん。「自分の目で世界を見たい」と考え、一般客として船に乗り込んでいた。