石原孝、玉置太郎、長野佑介
2015年4月11日12時16分
高校入試に使われる中学3年の内申点評価に際して、大阪府教育委員会は10日、文部科学省が実施している全国学力調査(全国学力テスト)の学校別成績を活用することを決めた。内申点の「公平性」を保つためと強調する府教委だが、対象のテストは21日に迫る。教育現場からは批判や戸惑いの声があがった。
「3年生の内申点の指標としては、全国学力テストしかない」。10日の会議で府教委幹部は学力テストの活用に理解を求めた。
府教委が新たに導入するのは、3年生については学校ごとの学力テストの平均正答率を府全体の平均正答率と比較して、学年全員の内申点平均を引き上げたり引き下げたりする仕組みだ。各校は定められた内申点平均の範囲に収まるように、個々の内申点をつける。1、2年生については1月実施の府内統一テストの結果でそれぞれの内申点を修正する。
府教委は来春の高校入試で使われる内申書から、校内のほかの生徒との比較を元にする「相対評価」(10段階)から、生徒ごとの目標到達度を評価する「絶対評価」(5段階)に切り替える。このため学校による評価のばらつきを防ぐため、公平性を保つ方法を検討してきた。向井正博教育長は「これで極端に(内申点が)高くなるのを防げると思う」と報道陣に語った。
一方、下村博文文科相はこの日の記者会見で、本来の学力テストの趣旨を逸脱する恐れを指摘。「学力テストは生徒の能力差を把握するような設計ではない」「児童生徒や学校の状況に合わせて柔軟な実施体制をとるようにしている」などと述べた。
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