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衛星打ち上げ 欧州企業が日本でアピール4月9日 18時57分
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人工衛星の打ち上げビジネスで世界的に受注競争が激しくなっているなか、ヨーロッパ大手の企業のトップが9日、都内で会見し、開発中の次世代ロケットでは低いコストでの打ち上げが可能になるなどとして、日本の企業からの受注をさらに増やしたいという考えを示しました。
都内で記者会見したのは、ヨーロッパ10か国の企業と政府機関が出資している「アリアンスペース」社のステファン・イズラエルCEO=最高経営責任者です。
この中で、イズラエルCEOは2020年に1号機の打ち上げを目指して開発している次世代のロケット「アリアン6」について、部品の共通化などによってロケットの製造コストを今の半分程度に抑えることを目指すと説明しました。そのうえで、イズラエルCEOは「日本には安定的な需要がある。受注競争は激しくなっているが、それを乗り越えて日本での受注をさらに増やしたい」と述べました。
アリアンスペースのロケットは、ロシアのロケットとともに世界の人工衛星の打ち上げビジネスで高いシェアを持ってきましたが、アメリカのベンチャー企業「スペースX」が低価格での打ち上げを武器に受注実績を急速に伸ばす一方、低価格での打ち上げに向け次世代ロケットの開発を進めている三菱重工業も受注の拡大を目指していて世界的な競争が激しくなっています。
この中で、イズラエルCEOは2020年に1号機の打ち上げを目指して開発している次世代のロケット「アリアン6」について、部品の共通化などによってロケットの製造コストを今の半分程度に抑えることを目指すと説明しました。そのうえで、イズラエルCEOは「日本には安定的な需要がある。受注競争は激しくなっているが、それを乗り越えて日本での受注をさらに増やしたい」と述べました。
アリアンスペースのロケットは、ロシアのロケットとともに世界の人工衛星の打ち上げビジネスで高いシェアを持ってきましたが、アメリカのベンチャー企業「スペースX」が低価格での打ち上げを武器に受注実績を急速に伸ばす一方、低価格での打ち上げに向け次世代ロケットの開発を進めている三菱重工業も受注の拡大を目指していて世界的な競争が激しくなっています。
トップセールスに動く
「アリアンスペース」社のイズラエルCEOは、7日の来日以降、日本の企業を訪問して次世代ロケットによる衛星打ち上げの受注に向けたトップセールスを行っています。
このうち、8日は都内にある衛星放送会社「スカパーJSAT」を訪問しました。この中で、イズラエルCEOは、高田真治社長に「アリアン6」について「性能がアップするだけでなく、打ち上げの価格も大幅に抑えることができる」などとアピールしていました。
会談のあと、高田社長は「われわれが衛星を打ち上げる企業を選ぶうえで、打ち上げ成功の実績があるという信頼性に加えて、価格が重視なポイントになる」と話していました。
一方、イズラエルCEOは「関心を持ってもらえて、実りの多い会談だった。受注に向けた競争は激しいが、日本は安定的な衛星の打ち上げ需要がある重要な市場だし、日本の衛星の打ち上げ実績があると、アジアの国々へのアピールにもなる」と話していました。
このうち、8日は都内にある衛星放送会社「スカパーJSAT」を訪問しました。この中で、イズラエルCEOは、高田真治社長に「アリアン6」について「性能がアップするだけでなく、打ち上げの価格も大幅に抑えることができる」などとアピールしていました。
会談のあと、高田社長は「われわれが衛星を打ち上げる企業を選ぶうえで、打ち上げ成功の実績があるという信頼性に加えて、価格が重視なポイントになる」と話していました。
一方、イズラエルCEOは「関心を持ってもらえて、実りの多い会談だった。受注に向けた競争は激しいが、日本は安定的な衛星の打ち上げ需要がある重要な市場だし、日本の衛星の打ち上げ実績があると、アジアの国々へのアピールにもなる」と話していました。
「打ち上げビジネス」競争激しく
ロケットを使って人工衛星などの打ち上げを請け負うビジネスは、日本航空宇宙工業会によりますと、2005年以降、ヨーロッパの「アリアンスペース」社のロケット「アリアン5」と、ロシアの「プロトン」が世界で高いシェアを持ってきました。いずれもこのビジネスに参入した日本の基幹ロケット「H2A」と競合するロケットです。
この2強に割って入ったのが、電気自動車メーカー「テスラモーターズ」のCEOを務めるイーロン・マスク氏が経営するアメリカのベンチャー企業「スペースX」社の「ファルコン9」です。去年の打ち上げ実績は6件で、5件だったアリアン5、2件だったプロトンを抑えてトップとなりました。スペースX社が受注を伸ばした背景には、人工衛星を宇宙まで運ぶ運賃に当たる打ち上げ価格をライバルより低く抑えるとアピールしたことがあります。
価格を武器にした会社の参入で激しくなった世界的な受注競争。さらに今後、放送用や通信用などとして、新興国から人工衛星の打ち上げの需要が増えると見込まれるため、受注の獲得に向け各社は打ち上げ価格を低く抑えられる次世代ロケットの開発に取り組んでいます。
この2強に割って入ったのが、電気自動車メーカー「テスラモーターズ」のCEOを務めるイーロン・マスク氏が経営するアメリカのベンチャー企業「スペースX」社の「ファルコン9」です。去年の打ち上げ実績は6件で、5件だったアリアン5、2件だったプロトンを抑えてトップとなりました。スペースX社が受注を伸ばした背景には、人工衛星を宇宙まで運ぶ運賃に当たる打ち上げ価格をライバルより低く抑えるとアピールしたことがあります。
価格を武器にした会社の参入で激しくなった世界的な受注競争。さらに今後、放送用や通信用などとして、新興国から人工衛星の打ち上げの需要が増えると見込まれるため、受注の獲得に向け各社は打ち上げ価格を低く抑えられる次世代ロケットの開発に取り組んでいます。
日本はどう対抗する
日本は人工衛星の打ち上げビジネスで実績を挙げ始めている段階です。
日本の基幹ロケット「H2A」は、JAXA=宇宙航空研究開発機構の前身の一つである「宇宙開発事業団」が開発し、三菱重工業が製造を請け負いました。そして、打ち上げなどの運営が移管された2007年に、人工衛星の打ち上げビジネスに参入しました。
最初の案件となったのは、2012年5月、日本政府の水観測衛星「しずく」と一緒に、韓国政府の多目的衛星を打ち上げたのです。そして、ことしの後半にはカナダの衛星運用会社から受注した人工衛星を打ち上げる予定です。このほか、中東のUAE=アラブ首長国連邦からも受注しています。このうち、ことし後半に行われる予定のカナダの衛星の打ち上げに使われるのは、H2Aの改良型のロケットです。改良型は初めての打ち上げで、愛知県飛島村にある工場では、組み立ての作業が急ピッチで進められています。
ただ、激しい受注競争に割って入るには、打ち上げのコストを下げられるかが大きな課題となります。そこで会社側はJAXAと共に新型基幹ロケットを開発しています。2020年度の1号機の打ち上げを目指しているこのロケット、自動車向けや航空機向けの汎用部品を採用することで特注品を減らすことなどを検討。ロケットの打ち上げの価格を現在の半分の50億円程度に抑えようとしています。
三菱重工業の二村幸基執行役員フェローは「打ち上げ価格を大幅に引き下げる一方で、利益も確保するためには、コストを大幅に下げた機体に仕上げる必要がある。丁寧なものづくりによって、日本のロケットがいちばんよいと評価されるようにしっかり頑張りたい」と話しています。
日本の基幹ロケット「H2A」は、JAXA=宇宙航空研究開発機構の前身の一つである「宇宙開発事業団」が開発し、三菱重工業が製造を請け負いました。そして、打ち上げなどの運営が移管された2007年に、人工衛星の打ち上げビジネスに参入しました。
最初の案件となったのは、2012年5月、日本政府の水観測衛星「しずく」と一緒に、韓国政府の多目的衛星を打ち上げたのです。そして、ことしの後半にはカナダの衛星運用会社から受注した人工衛星を打ち上げる予定です。このほか、中東のUAE=アラブ首長国連邦からも受注しています。このうち、ことし後半に行われる予定のカナダの衛星の打ち上げに使われるのは、H2Aの改良型のロケットです。改良型は初めての打ち上げで、愛知県飛島村にある工場では、組み立ての作業が急ピッチで進められています。
ただ、激しい受注競争に割って入るには、打ち上げのコストを下げられるかが大きな課題となります。そこで会社側はJAXAと共に新型基幹ロケットを開発しています。2020年度の1号機の打ち上げを目指しているこのロケット、自動車向けや航空機向けの汎用部品を採用することで特注品を減らすことなどを検討。ロケットの打ち上げの価格を現在の半分の50億円程度に抑えようとしています。
三菱重工業の二村幸基執行役員フェローは「打ち上げ価格を大幅に引き下げる一方で、利益も確保するためには、コストを大幅に下げた機体に仕上げる必要がある。丁寧なものづくりによって、日本のロケットがいちばんよいと評価されるようにしっかり頑張りたい」と話しています。