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神戸児童殺傷事件 決定文掲載に家裁抗議4月10日 18時18分
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18年前、神戸市で小学生連続殺傷事件を起こした少年に対する少年審判の決定文の全文が10日に発売された月刊誌に掲載され、神戸家庭裁判所は、決定文を提供した元裁判官に対し、「守秘義務に反する行為で、事件関係者に多大な苦痛を与えかねない」として抗議しました。
平成9年に神戸市で小学生連続殺傷事件を起こした当時中学3年生の少年を医療少年院に送ることを決めた神戸家庭裁判所の少年審判の決定文の全文が、10日に発売された月刊誌「文藝春秋」5月号に掲載されました。
全文は、この少年審判を担当した井垣康弘元裁判官から提供を受けた共同通信の編集委員が寄稿する形で掲載され、少年の詳細な成育過程など、当時裁判所が公表した決定文の要旨には記されていない内容が含まれています。
これを受け、神戸家庭裁判所は井垣元裁判官に対し、「裁判官が退職したあとも負う守秘義務に反する行為だ。少年法で非公開とされている少年審判に対する信頼を著しく損ねるうえ、事件関係者にも多大な苦痛を与えかねないもので遺憾だ」とする抗議文を送りました。また、文藝春秋と共同通信の編集委員に対しても書面で抗議しました。
これについて井垣元裁判官はNHKの取材に対し、「社会に問題を投げかける意味で、決定全文の公表に踏み切った。当時、裁判所が公表した要旨では、少年が『重大な事件を起こした子』ということは分かるが、どういう育ち方をして事件に至ったのかというプロセスの部分、成育歴の部分だけぽっかり抜け落ちているため、少年という人間に対する理解が社会的には不十分なままで捉えられていると思う。成育歴の部分も読んで理解を深めてもらいたい。家庭裁判所の批判は全く当たらないと思っている」と話しています。
一方、「文藝春秋」編集部は、「神戸の事件は今も続く重大な少年事件の原点であり、全貌を知ることで社会がくみ取れる教訓が多いと考え、全文を掲載しました」というコメントを出しました。
また、共同通信は、「被害者感情や少年が社会復帰していることなどに配慮し、共同通信では決定全文の内容を報じていません。編集委員が寄稿する形で掲載された詳しい経緯など、事実関係を調査中です」というコメントを出しました。
全文は、この少年審判を担当した井垣康弘元裁判官から提供を受けた共同通信の編集委員が寄稿する形で掲載され、少年の詳細な成育過程など、当時裁判所が公表した決定文の要旨には記されていない内容が含まれています。
これを受け、神戸家庭裁判所は井垣元裁判官に対し、「裁判官が退職したあとも負う守秘義務に反する行為だ。少年法で非公開とされている少年審判に対する信頼を著しく損ねるうえ、事件関係者にも多大な苦痛を与えかねないもので遺憾だ」とする抗議文を送りました。また、文藝春秋と共同通信の編集委員に対しても書面で抗議しました。
これについて井垣元裁判官はNHKの取材に対し、「社会に問題を投げかける意味で、決定全文の公表に踏み切った。当時、裁判所が公表した要旨では、少年が『重大な事件を起こした子』ということは分かるが、どういう育ち方をして事件に至ったのかというプロセスの部分、成育歴の部分だけぽっかり抜け落ちているため、少年という人間に対する理解が社会的には不十分なままで捉えられていると思う。成育歴の部分も読んで理解を深めてもらいたい。家庭裁判所の批判は全く当たらないと思っている」と話しています。
一方、「文藝春秋」編集部は、「神戸の事件は今も続く重大な少年事件の原点であり、全貌を知ることで社会がくみ取れる教訓が多いと考え、全文を掲載しました」というコメントを出しました。
また、共同通信は、「被害者感情や少年が社会復帰していることなどに配慮し、共同通信では決定全文の内容を報じていません。編集委員が寄稿する形で掲載された詳しい経緯など、事実関係を調査中です」というコメントを出しました。
遺族「興味本位で見られることになり大変辛い」
事件で当時、小学6年生だった息子の淳くん(11歳)を殺害された土師守さん(59)は、「18年もたった今になって全文を公開して意味があるのか疑問に感じます。雑誌に掲載されることで、不特定多数の人に興味本位で見られることになり、遺族としては大変辛いです」と話しています。