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 韓国珍島(チンド)沖で沈没した旅客船セウォル号について、韓国海洋水産省は9日、「引き揚げは技術的に可能」と発表した。朴槿恵(パククネ)大統領も、船体引き揚げについて「技術的に可能だと結論が出れば、積極的に検討する」と述べており、実施される可能性が高まった。

 海洋水産省によると、船は水深44メートルの海底に沈んでいる。船体の重さは水中では浮力があるため、8400トンだが、水面に持ち上げた場合、約1万200トンに達する。腐食などで船体が弱くなっている部分もあり、沈没する過程で貨物が動き、重心も変わっている。世界的にも過去に例のない引き揚げ作業で、さらに詳細な検討も必要だという。作業期間は1年~1年半、費用も1千億ウォン(約110億円)以上かかると予想している。

 昨年4月に沈没した事故では高校生ら295人が犠牲になり、残る9人の行方不明者の捜索は昨年11月に打ち切られた。引き揚げには巨額の費用がかかることなどから政府やメディアには慎重な意見もあった。しかし、家族らは行方不明者を捜し、事故原因を究明するには引き揚げが必要だと集会やデモなどを行って強く要求。最近の各種世論調査でも引き揚げへの賛成は6割を超えた。(ソウル=東岡徹)