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流通業は創意工夫で消費掘り起こしを

2015/4/10付
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 流通業の2015年2月期決算がおおむね出そろった。複数の主要企業が最高益を更新するなど、個人消費は増税によるマイナスの影響から脱しつつある。好調な企業には創意工夫で新たな市場を見つけたところが目立つ。今は業績不振の企業も、独自の挑戦で消費の掘り起こしに取り組みたい。

 セブン&アイ・ホールディングスは連結営業利益が過去最高となった。けん引役はコンビニエンスストアだ。大手メーカーとも協力して多少高くても質のよい独自商品や総菜を開発、シニアや子育て中の女性に客層を広げた。高齢者の増加や消費者の多忙化、健康志向などへの対応が実を結んだ。

 店舗が小ぶりで住宅街に立地する食品スーパー各社も好調だ。新鮮な食材、品質のいい加工食品、家事の時間を節約できる総菜などに力を入れたことが奏功した。総菜の強化はコンビニへの対抗策として始めた。

 一方、かつて小売業の主役だった大型の総合スーパーは不振が続く。イオンは同事業の赤字で減益となった。ユニーグループ・ホールディングスも総合スーパーの不振から最終赤字に転落したとの見通しを発表している。

 英国の大手流通業は、「高級志向」「価格志向」「自然志向」など複数の独自ブランドを持ち、1つの店内で豊富な品ぞろえを提供している。日本でも、大量仕入れによる安値販売から多様化する嗜好に合ったきめ細かい品ぞろえへと、消費者が求める店は変わりつつあるのではないか。

 不振の総合スーパー各社は立て直しのため、食品スーパーにならい地元産の食材などに力を入れていくという。コンビニや各種スーパーのこうした競い合いは消費者に歓迎され、買い物の楽しみを増すだろう。

 外国人に向けて日本の消費スタイルを売り込む試みも好決算につながった。訪日外国人への対応を強化した高島屋は、免税品の売上高が前の期に比べ約2倍に増え、増収増益の大きな要因となった。

 「無印良品」の良品計画も最高益の更新が続く。独特のデザインで内外に固定客を増やしてきた。最近は海外のファンが現地の店にはない商品を見ようと、訪日時に日本の大型店に立ち寄るという好循環も生まれている。

 客と日々接する流通業は、消費者の変化を感知しやすいはずだ。一層の創意工夫を期待したい。

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